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始まりの地、風呂場での出来事
風呂とは、疲れを癒す最高の場所である。生まれたときの姿へ舞い戻り、心と体のの汚れを落としていく。今の世の中、風呂に入ったことがない人なんているのだろうか。
「……ふぅ」
それは、俺こと八尋運河であっても同じである。
17歳まであと僅かであるが、それを祝ってくれる家族は今いない。子供をおいて、長い旅行に旅立っている。
高校はなんだかんだ行っておらず、長い暇な時間はいつも本やテレビを見て過ごしていた。
「……上がるか」
あまり長いこと浸かっていてものぼせるだけであるため、五分ほどで風呂から離れる。
「しっかし、今日も暇だったな。何か面白いことでも起きればいいんだが」
日々の鬱憤も、いつもここで話している。といっても、いつもこの内容であるが。
「あーあ、いいよな、アニメは。異世界とか絶対楽しそうだし」
後ろの壁が光っているのに、全く気づいてない。
「あーあ、いいよな、ラノベは。可愛い女の子ばっかでさ」
天井、床、あらゆるところが光り始めるも、まだ気づかない。
「あーあ、いっそーー」
タオルで顔を覆い、視界が黒く染まる。
そして、その言葉を口にした。
「ーーいっそ、異世界に行けたらいいのに」
光が、全てを包み込んだ。




