閑話】ヨークシャー師とミミム、それぞれの…
ちょっと閑話、短くなっちゃった
・ヨークシャー師の報告書
…はあ…全く次から次に…
ついさっきも銀色の女性型ゴーレムがリヒテルと一緒にやってきて服を要求してきた。qゴーレムの中身はさっき護符がどうのと騒いだゴーストだとか…
理屈がわかれば今まで誰も思いつかないのがおかしいぐらいの発想なのだが、いったいどこで思いついたのか。これで今までのゴーレムのように複雑な命令を組んで魔石に書き込んでも簡単な行動しか覚えさせられない、なんて弱点は克服されるし、問題は乗り移るゴーストをどうするかだけ…
奴は他にも魔法は一度見せればあっと言う間に習得し、さらにアレンジまでしてしまう。錬金術に至ってはさっきの銀のゴーレムに使われた金属は見たことがないほど質が良くしかも錆びないとか。やはり奴が前の世界から持ち込んだ知識によるものなのか…王都の師匠に報告する事が次から次に増える。
「失礼いたします、サリーのメイド服は予備から見繕い、支給しました…しかしよろしいのですか?」
ノックされて入ってきた執事の報告を受け、頷く
「うむ、ご苦労…食事や給金が要らないメイドと思えば今は良かろう。これも錬金術の発展に寄与するはずだし」
「左様でございますか、では周りの者にも普通のメイドとして接するように申し付けます」
「うむ、頼む」
「そろそろお休みになりませんか?」
「もう少し報告書を仕上げてから眠る」
「出過ぎたことを言いまして申し訳ありません、お身体を大事に…」
そう言って執務室を後にするリヒテルを見送り、再び紙面に意識を戻す。
…最初に会った時も度肝を抜かれたな、ドラガンからの帰り道、突然大きな破裂音がしたから誰か魔法使いが大型の魔獣にでも襲われてるのかと駆けつけてみれば、鋼の魔獣が馬車を襲ってるように見え、助けに入るまでもなくあっと言う間に周囲の人間を追いちらし…いよいよ馬車を襲うのか?と思えばゆっくり近づいて…馬車の護衛に追い払われてしょんぼり立ち去る姿を見て思わず声をかけてしまった。
魔獣が話せるだけでも驚愕の事態なのだか話しかけてみれば意外に気さくで、体内まで見せてくれたがそこでもさらに驚きが…確かに基本構成はゴーレムそのものだが書き込まれてる術式が遥かに高度、特に何も無いところから砲弾が生成されるのはどうなってるのか理解も出来ない。奴の戦闘能力に至っては一体で数十の盗賊や狼型の魔獣を軽々と蹴散らし、大型の熊や猪等パーティを組んでやっと狩れる魔獣を単体で何十匹も狩ってる。最近は解体も覚えて一人?でもやっていけそう。いや、しかしアレを一人でほっとくと何をしでかすか…
自律稼働ゴーレムの事をチラッと言っただけでアッサリ実現させるし、その場にある材料で誰も思いつかなかった料理をいとも簡単に作り出す。自分は食べられないにもかかわらずだ。最初は信じられなかったが今では異世界、前世の記憶があると言うやつの言葉が嘘ではないと確信してる。
ただ、腑に落ちないのがドラガン落盤事件で自ら助けに坑道に潜った事。確かにあの鉄の身体ならそうそうダメージは受けないだろうし土魔法も会得してるのは奴だけだったから最適かもしれなかったが、知らない他人のために頼まれたわけでもないのに危険な坑道に飛び込んで行き、見事救助を成功させるなんて…あの後、宴で何故そこまでするのか?とそれとなく聞いてみたが
「なんとなく、出来そうだったし」
それだけで命が掛けられるのか?まあ奴の場合、命と言えるのかどうか微妙だが。
もうひとつ、奴が目覚めたと言う洞窟だが…今まで生きてる古代遺跡なんて見た事も聞いた事も無い!そんな物が突然現れるなんて…
ふう、残りはもう少し考えをまとめよう…書類から顔を上げて目の間を揉みながら星空が広がる夜空を窓から見上げる。
確かにトリー氏には古代文字と言ったが…本当に古代のモノなのか、見たことのなどまったく無い文字列だった。全く検討もつかなかったがトリー氏は作者の名前『ベラビア・モイスター』だけ読めたと言う…本当に?本当は全て読めるのでは無いか?疑うわけでは無いが判断材料が無さすぎる…今の所、トリー氏に裏表のあるような所は見受けられないが…それにあの『戦車』と言うトリー氏の身体についても…トリー氏はどのように運用されるのか『戦車』とはなんなのかわかってると言う…今の所は出来るだけのことを報告して師匠の判断を仰ぐことと古代文字の研究家を送ってもらうことだけしか手が無いな。あの師匠なら変な人に漏らしてしっちゃかめっちゃかにするなんて事は無いだろう。
そろそろ寝よう…残りは明日早めに起きて報告書を仕上げ早急に送ってもらうか。
◇◆◇◆◇
・ミミムの独り言
…最初、アイツを見た時は大きな亀の魔獣かと思った。ギルド長のクソオヤジに面倒な仕事を押し付けられて、あーあ、めんどくセーなぁとしか思ってなかった。でもアイツははそんな生易しいモノなんかじゃなかった。
走り出せばその辺の馬車よりブッチぎりではええし、グレイウルフもレッドベアーも盗賊なんかも全然へでもない。おまけに解体の手伝いって依頼だったはずなのにあっという間に簡単なものは覚えちまった。出番なんて全く無いよな。ったく。
その上…アイツラ…魔物ども…クソゴブリンどもをブッ殺さずに逃しちまいやがった!俺たちの村を焼いたくせに…隣のメルやアンリ兄もみんな…みんな…クッソ!何なんだよ、アイツラも熊に追われてたからって言って…
結局、あのお人好し?は狩った狼や熊の肉までやって、薬草を貰っただけで済ましちまいやがった。なんなんだよ!その上、村長のヒゲオヤジとの話を押し付けやがって!もームカつく!!
その後も狩った獲物の代金は等分だし、他人の厄介ごとに首を突っ込むし、勝手に料理作って人気者になるし…意味わかんないよ。
でも…アルが見つかった時は…こんなカワイイーのに連れて行かないなんて無いよな!な!でもログの奴、どこから連れてきたんだろ?…でもいいの!今はあたしのアルなんだから!ふふふっ、あーるぅ♪ぎゅぅぅー
「く、苦しいたん」
明日は普通にお話進めます




