クリスタル・ロード 0087 杖との出会い
最近インフルエンザが流行っているそうですね。
自分も少し風邪気味ですが、お気を付けください。
今年も頑張って書きます。
壁が奥へ凹んだと思うと、ゆっくりと横へ動いていき、ズズズズと音を立てる。
「「開いた!」」
「おいネビィ、今どうやったんだ?」
「え? その、触れてるうちに開いただけで・・・」
皆、声が聞こえなかったのか? あれは何だったのだろう。
するとやや狭い通路が見え、奥の扉もゆっくり横へ動き開いている。
その向こうに部屋が見え徐々に明るくなっていく。
部屋は色々な物があるが、何かわからない物が多そうだ。
通路と違って地味ながらも装飾的な色、形の手すりや壁で、住人の趣味を感じさせる。
「これは・・今までとだいぶ違うな」
「ホントですね、いい雰囲気の部屋です」
本棚にぎっしりと色々な本があり、古そうだがこれはもしや高価な物では?
それに使い方のわからない物が色々だ。
フレアがアイテムや本に興味を示しているようだ。
「これはもしや魔法の道具・・ですかね?」
「う~ん、 そうかなと思ったんだけど、私の知ってるのとだいぶ違うわね、これは
体系からまるで別なのかも」
「へえ、古代魔法なのか? これも価値が有りそうだな」
レフの目が輝く、金になりそうならならと鷹のようだ。
呪術なら領主の狙う物だし・・・しかし先ほどの声が気になる。
持ち出して大丈夫なのか?
あの声の主はどこだ? 人気は無いがどこから出たのか?
「貴族の部屋なのか? その割には地味ではあるが」
「そうね~ でもこの階層にいるなんて変じゃない? もっと下のはず」
「そうだな、どちらかというと学者の部屋のようだが・・書物が多いし、貴族ならもっと広い部屋だろう」
魔法関係の学者なのか?
それなら参考になる本が多いはずで、領主が喜びそうだ。
部屋の奥の方を探してみるが、色々な物があるがあの声の主らしきのは無い。
まだ部屋があるのだろうか?
仕掛けが有るのか? 机か? 本棚か? 壁か?
壁にランプがあるが、そこの艶が微妙に違っているので閃いた。
ランプを触っていると上に少し動いて、そこから横にずれた。
すると奥の本棚から音がした。
今度は本棚に触れると横に動いていき、そこが入り口となった。
やはり奥にまだ部屋がある、隠し部屋が現れた。
「「おおっ」」
「何々?! 今度こそお宝? 財宝? きゃー ♪」
しかしなぜか違う気がする、カンだけど。
奥の部屋は更に雰囲気が違い、神聖な場所の様でもしや礼拝所なのか?
ビロードのような絨毯で、正面の小さな壇の上に飾られているのは杖か?
多分あれが声の主だろう、根拠は無いが気配がある。
ゆっくり近づこうとするとフレアに手を掴まれた。
「待って! あれ・・・」
やはりフレアも感じたようだ、あの存在を。
「たぶん、大丈夫、 ・・・あれが導いたように思うので」
敵意は無い、ここを壊す気も無いと念じながら近づいていく・・・そうすべきとなぜか感じたので。
杖の前で立ち止まって見つめる、敬意を示すように。
フレア達が何か言って来るかと思ったが、皆黙っているのがありがたい。
ここで邪魔されるとまずいと思ったので。
『触っていいだろうか』
そう心で語りかけたが、通じるだろうか?
少し待っていると、声が聞こえて来た。
「あなたが私の主となるのか?」
主? 持ち主か? 前の持ち主がいなくなったからか。
何と答えるべきか? ただイエスでいいのか? 意志がある杖だ どうするか?
少し悩んでしまうが、答えができないのもまずそうだ。
『自分が主としてふさわしければ、それを望む」
そう答えた。
少し待たされたのでダメなのかと思ったら、声がした。
「そなたを新たな主と認めよう」
やった! と内心でガッツポーズだ、外見は恭しく杖を掲げたが。
これは以前手に入れた剣よりもはるかに価値が有るだろう。
持った瞬間に気配でわかったが、相当な力を持っている。
今回の最大の獲物になるのでは?
しかしこれを売るわけにはいかないだろう。
譲るのもできるかどうか、主と決められてしまったので。
領主が納得してくれるだろうか?
フレアが、恐る恐る近づいてくる。
「これ、何か凄い杖ね、見るだけでわかる・・・体が痺れるようだわ・・」
レフ達もわかるらしく、黙って見つめていて、余計な事など言わない。
そうして他の物も全て運び出すことになった。
それを杖が許可してくれたのだ。
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