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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
1 迷いの章

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クリスタル・ロード 0043  上級の戦い (4)

 まだフレアはむくれている。


観客は盛り上がるが、渋々フィールドに向かい先生は両者の間に立った。


木偶(でく)を事前に造っておいて構いませんか?」

フレアが渋い顔で、Bランクさんを見つめて口を開いた。


「どうぞ、ご自由に」

事前にとは、試合前か? そうか、造ってる間に攻撃されると不利だから?


相手は木偶(でく)無しだから、攻撃だけをできるか。


相手は、余裕の態度で待っている。

先生は期待するような、温かく見守るような目をしているが、どうだろうか?


 仲間のレフとジョーイは屋台で買いこんだお菓子を山ほど抱えて、バリボリと食べているし平気なようだが、こちらは試合が気になり彼らが分けてくれた物に手を付けられていないのだ。


 「これ、もう少し砂糖多い方がいいかな~」

 リーシャはお菓子をかじりそんなことを言っている。


あの屋台はリーシャが働いてるパン屋のだったっけ?

 菓子造りにも関わっているのか、うーん、気になるのはわかるけど今は試合中だからね。


 いや、「どう?」って食べさせられてもね、え?、

自分はこれでいいんじゃないかと思うけどね、甘すぎない方が。

お隣の二人は何見てるんだよ、お菓子の味見してるだけだよ。   


 そんな事思っている間に、フレアはゴーレムを大体作っていた。


土や木で、大体の形を作り、石やタイルを埋め込みで表面を強化しているのか?

見た目は悪いが丈夫そうで、しかも大きい! 5mほどあるだろうか、しかもまだ終わっていないのか?  魔法をかけている最中だ。


 どんな魔法かと思ったら、水をかけ凍らせている。

みるみると全体が凍っていくがいいのだろうか? これだと動けないのでは?


氷の像のようになってしまっているぞ、動かす気がないのか?


「なるほど、防御特化だな! 木偶(でく)は動かさず攻撃を受けるだけにして、か」

レフが言う  ジョーイはうんうんと頷きながらお菓子を食べている。

    

「それじゃ、準備できた?」

先生が確認して、いよいよ開始か?


またもや歓声が上がり、闘技場のようになる。

フレアはゴーレムから離れて立ち、相手を睨みつけた。


 

「では、試合開始!」

フレアは杖を抱えて詠唱を始めている が、相手は黙って見ている。


様子を見ているかのようだが、いいのだろうか? 

魔法使い同士だから、剣などの攻撃は無いだろうし間合いをとっているとはいえ・・


 するとフレアの方へ水の塊が宙に浮き、そこから短い氷の槍ができて相手に向かって次々に飛んでいく。

    

 でも相手は平気な顔で見つめている いいのか?


 しかし当たる直前、彼は杖であっさりと払い落した。

一歩も動かずに2本を弾き、もう一本は外れている。


あれは物理的にそらしただけなのか? 無詠唱の魔法も使っているのか?


観客から おお~っ と感嘆の声が上がる、地味ながらも凄さが素人にもわかった。

さすがはBランクだ。

フレアは凄く(くや)しそうだ。


 だが、めげずに次の詠唱をしている それに反して相手は黙って待っているのか詠唱してるようには見えない、好きなように攻撃させるつもりか?


 レフとジョーイは黙って見ているし、お菓子をかじる音だけだ。   


 フレアは長めの詠唱で気合を込めると、さっきより大きな氷が数十本、一気に相手目がけて放った。

これは杖で弾き返せるか?



 しかし彼はやはり弾いた。

氷に向かって体をひねって回転しながら風を(まと)うように、体を(おぼろ)にしながら氷の束を弾いたのだ  ガギイィン と音を立てて!


 「強化魔法だな!」

レフが言う、 体や道具を魔法で強化することか。


「そうだね、しかも早いし、身のこなしもいい!」 

冒険者が言うからには、相当なんだろう  これが上級か。


 フレアは外されるのは想定済みの様で、次々に攻撃する。   

相手は(はず)むように走りながら回転し、弾き、迷走するように動く。

しかし、徐々にゴーレムとの間合いを詰めているようだ。


 だがいつの間にか氷だけでなく、水が混じっている そのせいか足元が怪しくなってきたような、いくらか滑っているようだ。

しかもその先があった、フレアは地面に杖を突きさすと凍り始めた。

濡れた地面が、そこからどんどんと凍っていき、辺り一面が氷に覆われた。


 「でたな、フレアの得意技」

「これやると、寒いんだよねー 私苦手!」

仲間二人が言う、凍らせる手か?


「魔物ならすぐ凍り始めるが、魔法使いはどうかな?」 

魔力防御が有るし、火魔法で打ち消すか? 普通はそうするはずだ。   


 そこでまた歓声が上がった。 

彼の動きが変わって、地面を滑っている  スケートのように、しかも速い。

すぐに間合いを詰めてゴーレムに迫ると、攻撃をした。

ゴンッ と低く大きな音が響き、破片が飛ぶ  強化魔法だろう。


「やっぱり堅いか、ずいぶん丈夫に造ったな」

と笑っているが余裕ありげだ 

よく見るとゴーレムにひびが入っていた。


 彼は滑りまわりながら杖で突き、フレアの攻撃をかわしつつまた突き、ひびを入れる。


しかしこれでは壊れそうにないし、先にやられるのではと思ったら火魔法を使い始め、凍りかけていたゴーレムを鋭い炎で焼き、煙を上げた。   


「その程度では壊れませんよ!」

 フレアはむきになってますます大きな氷の槍を上から突き刺していき、地面に穴をあけ辺りに響かせ彼はかわし続ける。


 と、いつの間にか霧が出てきて地面を覆っていき、彼の姿が薄れてきていた。

これではすぐに姿が見えなくなるだろう。

これは偶然だろうか?


 「フレアが出したわけじゃないよな?」

「違うでしょ、自分に不利になるよね、敵? 偶然かな?」

仲間二人が話しているが、相手が使う魔法なのか?


 「寒ーい」

リーシャが震えているが、氷で冷えて霧が出て来たのか?

本当に寒くなって来た、霧が濃くなっている。    

姿が見えなくなったが、彼の攻撃の音は断続的に続いている。


 姿が見えなくなったフレアは(いら)ついているようだ。

杖を振って叫ぶと急に風が吹いてきた、しかも強風だ   寒い!


観客たちも寒い寒いと大騒ぎだ ただでさえ寒いのにこれは厳しい。

しかし霧が飛ばされて、彼の姿が見えた。

ゴーレムの足元にいる。


 また、氷の攻撃をするかと思ったが今度は違った。


 フレアは勝負に出たのか、単なる癇癪(かんしゃく)か以前見た大波だ。


津波のような大波がこちらに向かっていた。

    


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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