表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
1 迷いの章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/200

クリスタル・ロード 0041  上級の戦い (3)

 少し目を離すといつの間にか観客がまた増えている。


そしてパンの屋台からその人等に飲み物やパンが売られていて、中には()けをしている人もいるようだ。

そんなイベントではないのだが。


 どこから持ってきたのか太鼓がドンドンと鳴らされ、声援が上がる。

グループで応援している人もいるし、一人で叫んでいるのも、旗をひたすら振り回している人もいるしで、まるで闘技場のようだ。


 試合は膠着(こうちゃく)状態か? 土のゴーレムは体をツタでほぼ覆われ、ぎりぎりと締め上げられぼろぼろと崩れ出している。

そして木の方は両足と片腕を無くし、動けず防御も精一杯で、石弾を食らって少しずつ体が削れていく。   


 だが、ここで終わりではなかった。

主の両者が歯を食い縛り、相手を睨みつけながら詠唱を始めているのに気付いた。


何が起きるかと見ていると、土ゴーレムの足元からツタを押し上げながら何かが出て来る?

それは尖った岩のように見える。


 そして木のゴーレムの近くにはツタが伸びて来る

  あたりの木からいつの間にかツタが出ていて向かって来るのだ。


?  このツタは攻撃ではないはず、なぜこちら、自分の方へ伸ばすのか?

しかも四方の木から伸びているとは?    


 そう思っていたら土ゴーレムのさっきの岩がついに出て、跳ねるように転がり木のゴーレムへ向かう、2mほどの長さの細い物で、(つらぬ)く気だろうか?!

これでトドメなのか?


 が、木のゴーレムは伸びて来たツタに腕を(つか)まれ宙に浮いた!

無くなった足の代わりにツタで移動するわけか。

転がる岩は(はず)れて地面に突き刺さった。


 しかも木のゴーレムはある程度移動すると、今度は別のツタに掴まれ方向を変えるので転がる岩は追いかけるが、当たる直前に外されてしまう。


 観客からおお~ っと歓声が上がる。   

岩と木ゴーレムの鬼ごっこである、 これで時間を(かせ)ぐようだ。

土ゴーレムはツタで締め付けられ、動けず崩れる一方だから。


 観客の一部は 勝ったー と大喜びの人や、頭を抱えて嘆いているのもいる。

あれはたぶん()けをしている人達だろう。

まだ勝負はついてませんよ!


 土ゴーレムの主は顔を真っ赤にして両腕を振り回して魔法を放つと、岩は徐々に大きくなって縦に割れて、2本になった!


今度は2本の岩が別々に追いかける。

攻撃に集中するようだ。


 歓声がさらに大きくなった! 逆転のチャンスと見たようだ。   


 対戦者二人は汗を流し髪を振り乱して杖を振るう。

追う方も大変だが、逃げる方も大変でツタを次から次へと飛び移り、目まぐるしく方向を変えて飛んでくる2本の岩をよけている。


しかし徐々にどちらも制御が荒くなっていくのか、方向がずれるようになってきた。


観客の近くまで行くこともあり、危なくなってきたような?

おっと、 木のゴーレムがこちらまで飛んできたし、追って来た岩も近い!


 しかし観客はますます盛り上がり、叫びながらも喜んでいるようだ。

これではお祭り騒ぎである。

太鼓に(かね)まで鳴って、ますます騒々しくなっている。      


 隣のレフとジョーイまで何やら叫んで応援しているところである。


 皆熱くなりすぎて、やばくないかな?

そう思ったとき、ポケットの災い感知器が、反応した!

それがかなり熱くなっている。


 取り出すと前方を示し、大きく光る、眩しいぐらいに。

先生に言おうと立ち上がると、勢いの付いた木ゴーレムがツタから外れ、観客に向かって飛んでいくところだった。


 フレアと先生が慌てて防御魔法を発動し、シールドで観客を守る!

ゴーレムが激突し、爆発するように砕け散った。   


 そして制御の荒くなった岩は こちらへ勢いあまって飛んでくるところだった。

それも2本だ。

回転し、弾みながら向かって来た。


「 伏せろっ!」

隣のレフが叫んでジョーイと伏せ、こちらはリーシャをかばいつつ倒れると、上を風切り音と共に飛んでいく。


 もう一本は、どこだ? 見失った! どこへ? どこへ行った?

すると斜め後ろでドン! と 大きな音がした。

2本とも外れた、ほっ と息が出た  もう大丈夫。


そう思ったとき、後ろから大木が倒れて来る気配がした。   




 めきめきと木の折れる音、枝と葉がこすれる音、嫌な振動、空気が揺らぐ、立ち上がろうとするが少し遅い、一度気を抜いてしまったせいか、お祭り気分で緩んでいたか?  完全には避けられない。


運が良ければ(みき)にも枝にも当たらないが、どうなるか?!


4人で硬直していると、倒れる途中の大木がピタリと止まった。



 離れたところでこちらに杖を向けた一人、今まで黙って見ていただけの魔法使い、Bランクの若い男が魔法を発動したようだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ