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307/307

クリスタル・ロード 0307  帰還を祝って

 戦が始まった?  その国とはもしかすると。


「竜王国が仕掛けた国・ですか」


あの国から?


「あれっ? 知ってた?  情報が早いね~。  私、相当急いで来たんだけどね」


そうだろな、この人の馬がかなりへばっていたのを見たし。

それにしても自分達のように転移魔法じゃなくて、遠い国から馬で来たのに早いな。


「本当に早いですね、こちらに情報が入ったばかりですよ」

「そりゃもう、アイリスに会うため馬を何頭も乗り継いてすっ飛ばしてきたから、あっはっは」


何頭も使ったと・・ それでは金をだいぶ使ったことだろう。


「おかげで路銀(ろぎん)をおおかた使っちゃった。 兄貴、お金ちょうだい!」   

「やらんわっ、 ギルドで働け! たわけがっ」


 そんな話の結果、とりあえずギルドの解体職をすることに決まった。


「解体職?~~  私、強くなったから魔物狩りのほうがいいな~~! 大物狙いで~~」

「お前の話は当てにならん。 威勢良いだけのひよっこが!!」

「ブ~~、 ブ~~~」

「黙って働け!」


 やはり想像とだいぶ違う。 アイリスのお母さんなら儚(はかな)げな人と思っていたのに。

体が弱くて苦労しているとか、療養中とか?

多分リーシャもそうに違いない。 苦笑しながらも黙っているから。


「あの、もしよかったら今晩お母さん帰還のお祝いをしようかと思うんですが、どうでしょう?」

「えっ、ホント?」

「気を使わんで良いんだぞ、 こいつにはこれから仕事を仕込まなきゃならんし」

「まあまあ、今日の所はアイリスとのんびり過ごしてもらうということで」


ちらりとリーシャを覗(うかが)うと、察してくれたらしく目配せをした。


「そうよね、このあいだ捕れた大物の肉がまだいっぱいあるし、食べ切れなそうだからあれを!」

「えっ、焼肉?! 、大物? きみが獲ったの?」

「仲間とですが、 半分以上残ってますので食べるのを手伝ってもらえますか? ギルド長も」

「やった~ 、手伝う手伝う!」

「やれやれ、だな」


 

 その夜、家の庭でいつものようにパーティとなった。   

主賓はアイリス親子、付き添いにギルド長。  出席者はグロフ達などおなじみのメンバー。

しかしジャンヌさんはギルドの残業で参加できないとのことだった。

 うちの両親やリーシャの親はアイリスのお母さんを知っているそうだが、今までそんな話を聞いたことが無いのだけど伝えるとまずいことでもあるのだろうか。


 「アイリスのお母さんのご帰還を祝って!」

「「「「「「「「「かんぱ~い」」」」」」」」」


でもまあ、追求はすまい。  アイリスが嬉しそうだし野暮なことは言わないでおこう。


「でも久しぶりね~、 ホントに。 前に見たのはいつだったかしら」

「おかあさん、 知り合いなんだ?」

「若いときに一緒に出かけたことあるのよ、魔物狩りにねぇ」   

「そうそう、はっちゃけたよね~~ 楽しくて無茶してね」


 リーシャの母さんは若い時、冒険者として相当荒っぽかったと聞いている。 仲間だったか?


「無茶するのは大抵こいつと旦那でな、あいつは死んじまったし」

「なによ~ 、あの人は勇敢でどんな時だって真っ先に飛び込んで行ったんだからね」

「勇敢と無謀は違うぞ。 突っ込めばいいってもんじゃない、そろそろ理解しろ!」


ギルド長も一緒に行っていたらしい。 この人も元冒険者だそうだし同じチームだったのかな?


 「相変わらず元気良いわね、 まだ冒険者をしてるの? ずっと外国で」

「そうよ~ 、国を渡り歩いていてね傭兵だってした事あるから」

「まったく無茶ばかりしおって。 アイリスのことも少しは考えろ」


うちの母さんは荒事はしないタイプだが、関わりはあるらしい。 ギルドで顔を合わせていたのだろう。


「なによ、アイリスのことを考えたから急いで戻ってきたのよ。 あんな戦にまきこまれてたまるもんですか!  お土産だって買ってきたしね~ アイリス!!」

「うん」


口数が少ないが、アイリスは隣の席で黙々と食べながら終始機嫌が良い。

ギルド長のしかめっ面とはかなり対照的なほどに。


「戦に巻き込まれたとは危なかったな、 かなりひどい様子だったかい」


 父さんが向かいの席で、エールのジョッキを持って飲み干し聞いた。

父さんは酒を飲んでいれば機嫌がいいし、焼肉は山盛りなほどある。


「ドラゴンがね~~ 、手当たり次第にそこらを焼き払って街は混乱してさ大変だったよ。 だからこそ出国はしやすかったけどね、どさくさに紛れてさ」  

「ほう、手当たり次第とは」

「城だろうが倉庫や空き地だろうが、お構いなしさ。 作戦も何もあったもんじゃないね、ありゃ」


作戦がない? あの王子なら考え無しかとは思うがそれほどとは一一一一一

いよいよ極まったのか?


「ドラゴンに乗った王子が見えたけど、癇癪(かんしゃく)起こしてたみたいに一人で喚(わめ)いてた」




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