クリスタル・ロード 0028 表現て、何?
「魔法を表現してください」 そう言ったよな?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・表現? ・・・ なにそれ?
回りもそう思ったようで、ざわついている。
そりゃそうだ、魔法の表現て・・何?
そう思っていたら、リーシャが戻って来た。
「間に合ったー、お菓子の追加焼けたから大丈夫ー」
「お疲れ様、早かったね」
エプロン姿でクッキーの香りがする。
この4人の後、休憩かな?
昼休みは全員終わってからだろう。
「今、どうなってるの?」
「Dランクのテストが始まるとこなんだけど、あの小さい娘を含めて」
その4人が戸惑っているのか、目の前の物と他の三人を交互に見ている。
「魔法を表現しろ ってテストなんだけどねー」
「表現?」
やっぱり 「?」 に、なるよなー。
自分らでもそうなんだから、あの娘はなおさらのようで、キョトンとしている。
フレアとリーシャ母さんが、説明しているようで物を指さしながら話しだすと、あの子はうなずきながら聞いている。
「あんな小さい娘、できるのかな?」
「うーん、他の人も悩んでるのでは・・ 自分だって、何をすればと思う」
他の3人もまだ考えている どうなるやら。
「なるべく攻撃以外で、自分の魔法を表現してください、難しく考えず」
笑顔でリーシャ母さんは言うが、魔法の表現て言われてもな?
「では、自分が・・」と一人手を挙げる。
おお、勇者だ。
20代の細身の人が小さな杖を持って前に出る。
「ドキドキ!」
リーシャが声に出して期待している 自分もだけど。
詠唱が始まり、杖をふるうと前に置かれた丸太が、パン!と割れた。
? 「あれは攻撃では?」 と声が聞こえる。
火や水の魔法ではないが・・ 辺りがざわつくが、まだ終わっていないのか詠唱が
続いている。
「あれからどうなるんだろ?」リーシャも言うが、はてさて?
すると割れた丸太がそれぞれさらに割れた つまり4本になった。
次は8本、次は16本である、しかも同時に割れている。
辺りはますますざわつく、「おい、凄いぞ!」と声が上がる。
単純だが、これはすごい 次は32本、次64本と同時に割っている。
攻撃とすれば64か所へ同時である 素人でも、かなりの制御技術とわかる。
しかも詠唱速度が上がっている。
128本まで行ったとき、「ふう!」と息をついて止まった。
回りはざわめきからどよめきになって、かなり騒がしい。
「はい、お疲れさまでした、 お見事ですよー」
「ど、どうも」
拍手に包まれて、本人は肩で息をしながら赤くなっている。
「すごーい」とリーシャも笑顔で拍手してる。
なるほど、これが表現か、確かに技術を現していた。
これがDランクなのか、強さだけではないか。
「それでは、次、やってみる人いますかー?」
すると残り3人の全員が手を挙げた。
あの小さい娘もだ、できるのか? 今のようなのが?
回りの人達もそう思ったのか、またざわついている。
フレアがあの子に近づいて何か聞いていると、うんうんと頷いている。
「あの子、するんだー」
リーシャが驚く。
フレアが寄り添って前に出ると、あの子は重そうな杖を掲げて詠唱を始めた。
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