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世界を救ったのは剣豪でもなく陰陽師でもなく薬師?だったんですよ!  作者: 氣愛注入


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三つの卵

巨大な広間。


青白い炎が静かに揺れている。


召喚士達が、

魔法陣を囲むように並んでいた。


その後ろでは、

鎧を纏った兵士達が固唾を飲んで見守っている。


中央には、

三つの卵。


その下には、

複雑な紋様が幾重にも描かれた巨大な魔法陣。


見ただけでは、

何に使うものなのかわからない。


二つの卵は、

縦に並んでいる。


そして、

最後の卵。


何故か、

横向きになっている卵。


「では、

これより開封の儀を開始します」


最初の卵。


その下の魔法陣が、

赤く発光し始める。


次の瞬間、

一本の光が真っ直ぐ卵へ落ちた。


バキィ!!と音が響き、

卵が真っ二つに割れる。


「せいっ!!」


中から現れた男は、

木刀を振り下ろした状態だった。


ビュン!!


勢い余って、

そのまま床を叩く。


男は木刀を持ったまま、

周囲を見回しながら、


「拙者は、

外で素振りをしていたはずだが……」


召喚士が何かを書き込む。


「一体目、確認」


続いて、

二つ目の卵。


今度は、

下の魔法陣が紫色へ変わる。


パキ……


静かに殻が割れた。


「きゃっ!?」


中から少女が転がり落ちてきた。


片手には番傘、

もう片方には食べかけの串団子。


少女は首を傾げた。


「あれ?

歩きながら食べていたら……」


番傘を閉じながら、

周囲を見渡す。


「あれ?

ここどこです?」


兵士達がざわつく。


召喚士が再び書き込む。


「二体目、確認」


そして、

最後の卵。


「……横向き?」


召喚士達の顔色が変わる。


杖が向けられる。


最後の卵の下に描かれた魔法陣。


白→黒→白→黒


と、

魔法陣が不気味に点滅している。


「……なんだこれは」


ピキ……


卵にヒビが入る。


バキィ!!と音が響き、

殻が割れた。


そこには、

一人の男が横になって寝ていた。


しかも。


「ンゴー……」


どうも、

イビキをかいている。


兵士達が息を飲む。


「……寝てるぞ」


「なんだこいつ」


一人目は、

木刀を振ったまま。


二人目は、

団子を食べたまま。


なのに三人目だけ、

普通に寝ている。


召喚士が戸惑いながら書き込む。


「三体目……確認」


その時だった。


男がゆっくり目を開ける。


「……ん」


ぼんやりしたまま、

少し身体を動かす。


床に触れた手が止まる。


冷たい。


固い。


半分寝ぼけたまま、

周囲を探る。


布団がない。


「……あれ、

まだ夢みてる?」


ゆっくり身体を起こした瞬間、

兵士達のざわめきが一気に耳へ飛び込んできた。


「目を覚ましたぞ!」


「成功したのか……!?」


ワイチ


「……は?」



召喚士が、

奥へ手を向ける。


「まずはそちらの御方、

こちらへ」


木刀の男が前へ出る。


怪訝そうな顔のまま歩いていくと、


そこには、

巨大な水晶が置かれていた。


男が、

水晶の前で立ち止まると、

召喚士が静かに告げる。


「水晶に手を」


男は眉をひそめながら、

巨大水晶へ手を添える。


水晶が、

まばゆく光った。


空中に文字が浮かぶ。


【職業:剣聖】


兵士達がどよめいた。


「剣聖……!?」


木刀の男は、

浮かぶ文字を見上げる。


「けんせい?」


眉をひそめる。


「何を言っておる」


木刀を肩へ担ぎながら、


「俺は宮本武蔵という名だ」


ワイチ


「えぇぇぇぇ!?」


武蔵がワイチを見て、


「貴様、

拙者を知っておるのか」


ワイチ


「知ってるも何も、

超有名人だよ!!」


兵士達は、

意味がわからず顔を見合わせる。


続いて。


番傘の少女が、

恐る恐る前へ出る。


巨大水晶の前で立ち止まると、

召喚士が静かに告げる。


「水晶に手を」


少女は、

そっと巨大水晶へ手を添える。


再び、

水晶がまばゆく光った。


空中に文字が浮かぶ。


【職業:Bard】


兵士達がざわつく。


「バード……?」


「支援系か?」


少女は首を傾げながら、


「ばーど?」


浮かぶ文字を見て、

不思議そうに笑う。


「うちは出雲のお国どすえ?」


広間が一瞬静かになる。


兵士の一人が、

思わず小さく漏らした。


「……かわいい」


ピシッ。


すぐ横の上官が、

後頭部を叩く。


「こら!

私語を慎まんか!!」


兵士


「はいっ!?」


周囲の兵士達が、

慌てて咳払いをする。


ワイチ


「……わかる」


武蔵だけが鼻で笑う。


「腑抜けた顔をしておるな」


兵士達の視線が、

ゆっくりワイチへ集まる。


「……あの装束」


「見たことがない」


「異界の勇者装束では……?」


ヒソヒソ声が広がる。


武蔵も、

初めてワイチの服を見る。


「妙な生地だな」


お国も不思議そうに言う。


「その服、

どこの国のです?」


ワイチ


「え?

いや普通の部屋着だけど……」


異世界側には通じない。


黒い長袖。


見たこともない生地。


奇妙な文字。


三人の中で、

唯一完全に異質。


兵士達の視線が、

一斉に集まる。


「もしや……」


「勇者様では……」


ワイチが、

思わず一歩下がった。


「いや、

俺ただの学生だし……」


召喚士が静かに頷く。


「こちらへ」


ワイチが、

恐る恐る前へ出る。


巨大水晶の前で立ち止まると、

召喚士が静かに告げる。


「水晶に手を」


ワイチは、

恐る恐る巨大水晶へ手を添える。


水晶が光る。


光が揺れた。


白→黒→白→黒


水晶の光が、

不気味に切り替わる。


広間がざわつく。


「まただ……!」


「なんだあの光は……!」


空中に文字が浮かんだ。


【職業:薬師?見習い】


「えーーーーー!?」


広間中から、

一斉に声が上がる。


その直後。


「はぁぁぁぁぁ……」


まるで合唱でもしたかのような、

巨大なため息が広間を包んだ。


兵士達が肩を落とす。


召喚士も額を押さえている。


ワイチ


「薬師?見習い?」


誰かが小さく呟く。


「薬師?の……見習い?」


「勇者様……

ではなかったのか……」


広間に、

なんとも言えない空気が広がる。


「結局、

今回も勇者様はいないのか……」


ワイチ


「いや、

俺の前で落ち込むなよ!!」


武蔵が笑う。


「はっはっは、

一番弱そうだな」


ワイチ


「うるせえ!!」


お国は団子を食べながら、

ぽかんとしている。


「なんや、

みんな急に元気なくなりましたなぁ」


その時。


奥から、

ゆっくりと一人の男が現れる。


豪華な服を纏った、

年老いた大臣だった。


「皆様」


広間が静まり返る。


「これより、

この世界についてご説明いたします。」

次回予告!

武蔵だ!いきなり変なところに来たと思ったら、変なやつと一緒になった。強そうには見えないが

次回、六人の転移者と王との謁見


強いやつはいないかー?

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