20,日常そしてトランプ
あの日に魔女が何をしたのかはアタシにはわからない、でもあの日から色々と気になることがある。
1つは有栖の反応。アタシにひどく怯えるようになった。更にわかったことは、記憶をなくしている。魔女の力化、それとも他の要因があるのか。
2つ目は魔女のこと。聖奈に聞いても全く知らないらしい。でもアタシは別に特別な出生じゃないし、アタシに出て聖奈に出ないのは一体何の違いが?
「いってらっしゃーいお姉ちゃん」
「有栖のこと、頼むな」
まだ、ちゃんと有栖に謝れてないな。
―――
「はーい有栖さんこれなーんだ」
聖奈は菊花の家にあるトランプで有栖と戦おうとしていた。今までは一人でまたはお母さんとなにかするしかなかったのだが、一時的にとはいえ家にお友達が増えたのだ。この期を逃す手はない。
「・・・」
それにしても無口だ、無口相手に一生ボケ続けると自分が本当に頭おかしいんじゃないのかと錯覚してしまうから止めてほしい。
ババ抜きをやっているのだが、なぜだか有栖のカード毎ターン揃って減っていく。
イカサマ!?チート!?なぜこんな事になっているの???
魔法少女のちからは使うまいと思っていたのだが・・・
「フフフ・・・どうやら私を本気にさせたみたいね、この代償は高く付くわよー」
心理戦開始!
「これがージョーカーですね?」
有栖の体温、心拍、動脈の動き、呼吸、それら全てを魔法少女の力を利用した人間では到達不可能な領域で感じ取る。
ふむ・・・これはジョーカーではない、か。バイタルは至って正常。何ジョーカーを引かなければこのゲームは絶対負けない仕組み。私が負けることなどありえませんのよオホホホ
「んなぜジョーカー!???」
引いたのはまごうことなくジョーカーだった。
おかしい。何も異変はなかった。もしかして記憶喪失のせいで感情とかまで失っちゃってる感じ?いやババ抜きを理解する脳みそがあるから喜怒哀楽がついてるのは確実、それを私の五感が感知できないわけがない。それを掻い潜れるとしたら・・・魔法?
いやいやそんなわけない。昨日探知した2人の魔法少女もおそらくお姉ちゃんの言ってた魔女っていうやつのせいで2人分探知されたんだ。有栖さんが魔法を使えるはずがない。ならば導き出される結論はこの人は生粋のギャンブラー!?バイタルをも完全にコントロール、マスターしているというの!?
「負けた・・・まだ勝負はついてないけど・・・負けたっ!」
「有栖ちゃーん、聖奈ちゃーん。下でお昼にしましょう」
お母さんが扉を開けるとふんぞり返っている聖奈と、ボーッと窓の外を見ている有栖がいた。
2人は一階へ降り、お母さんが作ったカレーを食べ始めた。
ポタポタと有栖が泣き始める。今朝の朝食もそうだったが食卓でご飯を食べ始めると泣き出してしまう。その時食卓にお姉ちゃんはいなかったが。折角のお姉ちゃんとの時間を!
お母さんはあえてか何も聞かない。多分それは有栖がとても美味しそうに、嬉しそうにご飯を食べてくれるからだろう。
「有栖ちゃん、なんで菊花と喧嘩してるか知らないけど、また仲良くしてあげてほしいな。有栖ちゃんにとってなにかひどいことをしたのかもしれないけど、話を聞いてあげて。フフッ。きっと今日の授業何も耳に入ってこないかもしれないわね。私がそうだったもの。有栖は本当に優しい子なの、話せばきっと分かる。また前の関係に戻れるわ」
お母さんは有栖にそっと微笑みかけた。
それにしても・・・喧嘩してる相手の家で普通寝泊まりなんてするかしら・・・?
有里瞬です。
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