第21話 改変される世界
二つ目のダンジョン攻略を終え、攻略報酬の神器で世界を改変した後、帰還用魔法陣で地上へ転移した。
突如、天から無機質な声が響き渡る。その声は、能力値上昇やスキル獲得通知の際に聞こえるものと酷似していた。
『神器により、〈世界改変の権利〉が行使されました。世界の理を改変します』
『第一の理を改変します。現存する人間およびこれから生まれてくる人間に、ステータスを付与します』
『第二の理を改変します。レベル100に到達した人間に対し、種族進化を促します』
『第三の理を改変します。SSランクダンジョンを生成します。最初の出現国は、インド、中国、ロシア、日本、アメリカの五カ国です』
『人間よ。さらなる高みを目指し、我を楽しませよ』
上から目線の物言いで、最後の言葉は締めくくられた。声の主は十中八九、俺の能力値やユニークスキルに干渉してきた神だろう。
だが今は、それよりも種族進化の通知に意識を向ける。
『個体名:松原唯人は、レベル100に到達しています』
『条件を満たしました。個体名:松原唯人を”人族”から”戦人族”へ進化させます』
突然、俺の身体が淡く発光した。
柔らかな光が全身を包み、皮膚の奥から何かが書き換わっていくような、奇妙な感覚が走る。
やがて徐々に光が収まり――
『進化が終了しました。“戦人族”に進化したことにより、内臓機能および免疫力が強化され、最大で500年の寿命を獲得します』
通知が鳴り止むと、手をグーパーと開閉し、身体の感覚を確かめる。進化前との明確な差異は感じられない。
肉体強度はレベル上昇で十分に強化されているし、〈到達者〉の恩恵で制限付きの【物理攻撃無効】と【魔法攻撃無効】も得ている。
つまり、種族進化による実質的な恩恵は寿命延伸のみ――ということになる。
とはいえ、医療技術の発達で100年生きられる現代において、500年という寿命は破格だ。
悪い話ではない。
その直後、大地が激しく揺れた。
30秒ほど続いた激震は、やがて完全に収まる。
周囲の者たちは「いきなりなんだ!?」と動揺を隠せない様子だったが、俺は至って冷静だった。
先ほどの改変通知には、「SSランクダンジョンを生成する」とあった。
この規模の地震が発生したということは、五カ国にSSランクダンジョンが出現したのだろう。
出現国には、日本も含まれている。
今日は日本へ戻るべきかもしれない。
現状の日本に、SSランクダンジョンを攻略できる者はいない。スタンピードでも発生すれば、国家が崩壊する危険すらある。
俺が定期的に間引きをしておく必要があるだろう。
戦闘痕の残る広場を抜け、オリヴァーさんの元へ向かう。
素材売却の代行を依頼し、ギルド出張所のカウンターにウルヴヘジン十体分とワルプルギスの素材を並べた。
職員たちの検分が終わり、買取額は7,743,600ドル――日本円でおよそ12億円。
売却を済ませた後、車の後部座席に乗り込み、オリヴァーさんの運転でギルド本部へ向かう。
顔合わせの際、ギルドマスターから「住居や女性を用意しておきましょうか」と提案され、それを了承していた。
まずは住居と女性を確認し、その後日本へ戻ってSSランクダンジョンを攻略するつもりだ。
公になれば面倒なことになりかねないため、秘密裏に動く予定だが、仮に露見しても構わない。
アメリカでは俺は〝王〟だ。
文句は言わせない。
アメリカのSSランクダンジョンには〈狩猟王〉が二人在籍している。
おそらく問題はないだろう。
後部座席の背もたれに身を預け、目を閉じる。
車が滑らかに走り出す中、思考は静かに未知のSSランクダンジョンへと向かっていた。
目標2,000PTを目指しています!
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