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水晶の勇気(仮)  作者: ゆずさくら


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勇気と告白

 俺はカフェに来るまでの場所を、注意深く往復した。

 人が騒いでいたり、不審な様子がないか、とか。

 しかし、ソウタの姿は見つけられなかった。

 簡単にCode変更した体内時計で、俺はカフェを出てからの時間を知った。

 二分。

 俺はソウタの捜索を切り上げて、カフェに向かった。

 お茶をしていたはずの席に、アオイがいない。

 書いた原稿にはウェイトが置かれているだけだ。

 資料も広げたまま……

「アオイ?」

 見渡すが、他の客は俺の視線に驚いたような顔をするし、店員もいない。

 奥を覗き込むが、店長のリリーの姿も見えない。

 俺はは慌ててCode探査した。

 石の反応も無い。

「アオイ!」

 俺は店の奥へ進み、開いている扉を通じて外に出た。

 建物の壁に背中を預け、足を放り出しているアオイを見つけた。

「アオイ! アオイ!」

 彼女は呼びかけに目を開いた。

「どうした!? 怪我はないのか?」

「ええ…… 怪我は大丈夫みたい。お茶に眠り薬が入っていたんだわ」

 アオイは胸に手を当てると言った。

「それより、ペンダントを取られた」

「もういい。もういいよ。ペンダントがなくても…… それがなければ、もう狙われずに済む」

 そう言って俺は彼女を抱きしめた。

「けど……」

「ペンダントの代わりに俺が君を守る」

 アオイは小さい声で言った。

「ドラゴン石が悪い者の手に渡って、この世界が終わったら?」

「君がいれば、それでいい」

「……」

 アオイは答えなかった。

 しばらくして、アオイが俺の背中を、ポンポン、と叩いた。

「石が戻ってきたわよ」

 俺はびっくりして、振り返った。

 そこにはソウタがペンダント握って、立っていた。

「道に迷ってた…… よね?」

「この通り、ペンダントが道案内してくれたわ」

「ペンダントを取った奴って…… ソウタ、じゃないよね」

 ソウタはこれまでの経緯を話してくれた。

 気がつくとアオイの手を離していたこと、道に迷っていたこと。

 迷った末にハルバルドと出会う。

 怪しいと思ったソウタは、ハルバルドが隠れていたあたりを探っていると、店長のリリーが出てきて、突然、逆ギレされたらしい。

「あまりに意味がわからなかったので、Code探査したよ」

 それで経緯が分かり、ペンダントを取り戻したらしい。

「あまりに敵意がなくてペンダントが反応できなかったみたい」

「とにかく、よかった」

 ソウタからペンダントを受け取ると、アオイは首にかけた。

 ソウタが俺とアオイの顔を見て言った。

「なんとなくだけど。二人ともはっきりさせておくことがあるんじゃないの?」

 アオイは言った。

「私は特に無いけど、あるとしたら柏木(かしわぎ)くんじゃない?」

「えっ!?」

 今、アオイは俺のことを『柏木』と言った。

 いつ俺が柏木だと気づいていたのだろうか。

 これを説明してからじゃないと、告白できないと思っていた。

 転生前、成人式に出たかったのは、俺の目の前にいる『山星(やまほし(あおい)』に会いたかったからだ。

 会って伝えたかった。

 君が好きだと。

「いつ俺が『柏木』だと?」

「なんとなくは思ってたんだけど、本当に気づいたのはドラゴンに乗って女王の城に戻ってきた時よ。髪色が戻ってきたのを見ているうちに、気づいたの」

 これ以上、俺が伝えたいことを引き延ばすわけにはいかない。

 ここで勇気を振り絞る必要がある。

 俺は目を閉じて、口を開きかけた。

「やっぱり待った!」

「な、なんだよ、ソウタ」

「続きはカフェでやりましょう。リリーは私がCode変更したから、当分、カフェには戻ってこない。こんなしけた裏路地で話すような内容じゃ無いでしょ」

 アオイは笑った。

「そうね」

 俺たちはカフェに戻った。

 そしてソウタにけしかけられて、俺とアオイは向き合って立っていた。

「もっと早く説明しておけばよかった」

「なんで『柏木』くんだって言わなかったの」

「当時のスクールカーストが違い過ぎたんだよ」

 違いすぎて、話すのがはばかられた。

「そういうの気にするタイプだったんだね」

「上位の人は気にしないんだろうな」

「別に自分が上位だとは思ってないけど……」

 俺は自分の言ったことを打ち消したくなって、必死に手を振った。

「と、とにかく、説明するのが遅れちゃった」

「で?」

「死なずに成人式でアオイと再会できたら、言おうと思っていたことを今、いいます」

 俺はつばを飲み込んだ。

 今度こそ言うんだ。

 彼女が転生して、俺も奇跡的に転生したから、今ここで二人が出会えている。

 本当に二度とないチャンスなんだ。

「俺は、アオイのことが好きだ。付き合ってほしい」

「付き合うかは別として、気持ちは受け止めました」

「……」

 俺がどっちなんだ、という顔をしていると、ソウタが言った。

「それってYESなのNOなの?」

「これからじっくりやっていきましょう、ってこと」

「アラタはそれでいいの?」

 俺は破顔していて、言葉が出なかった。 

「答えは返ってこないけど、いいみたいね」

 俺の人生は、まだ転生したばかりだ。

 うまく行っても、いかなくても、勇気を持って立ち向かうしかない。

 これからも、ずっと。

 Thank’s 20th





 おしまい



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