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エセイストのエッセイ  作者: 貴州 育 (きす はぐ)
7/9

無理を通した先に有るもの







  無理を通せば 道理が引っ込む


  そんな言葉を ご存知でしょうか?



  

  血の繋がった、

  実の父母(ちちはは)と私との関係は

  その言葉が

  しっくりくる気がします


  いつも

  当然とばかりに

  無理を通されていた気がします



  お前は

  そう思っていないかもしれないけど


  自分から望んで

  誰を親にするのか選んで

  (ワタシ)のお(なか)に入り


  自分たちの元に

  現世、人として孝養を尽くす為に

  生まれて来たのだよと…



  そんな風に

  ずっと言われ続けて

  そんな考えを

  植え付けられて


  子供時代を過ごしました

  

  

  信仰や宗教によっては

  そんな考え方も

  あるのかも(アリなのかも)しれませんが


  私の場合

  それは、とても


  親である父と母にとって

  都合の良いものであるなぁとの

  

  違和感を拭えずに育ちました



  父と母の

  様々諸々(さまざまもろもろ)の行ないの結果

  表面化、具現化した不始末の

  尻拭(しりぬぐ)いを


  親孝行として延々と(私は)し続ける


  そんな、

  これまでの人生だった気がするのです




  どんなひどい親でも、親は親

  子どもが親を選んで生まれてくる


  だから、親孝行するのは当たり前



  これは

  母から繰り返し

  何度も何度も聞かされた言葉



  新興宗教に入信していた父と母

  とても熱心な信者であった父母


  ものごころつく以前(まえ)から

  母に手を引かれ

  その信仰の教義と

  多くの信者さんの姿を見て育った私は


  父と母の言うことや

  周りの信者さん達の行動や

  親切心から()される指導などが


  たとえ

  間違っていると心の中で感じても


  逆らうことは出来ませんでした



  

  北京で発生した

  人びとに恐怖を与えるウィルスが

  音もなく静かに


  世界に拡がり始めていた

  2020年、今年の初めのまだ寒かった頃


  母から

  電話が掛かってきました



  母に近い

  ある人から吹き込まれた

  「 母に対する私の本心 」

  と言うものを


  それが本当のことなのかどうか

  本人である私に

  確かめることすらせず

  信じ込んだ様子で


  電話が繋がるや否や


  頭ごなしに

  私を責めたてる言葉を

  

  消火放水を浴びせるような

  強烈な(いきお)いで

  投げつけてきました




    哀しかった。



  ただ、哀しかった



  


  母や父と

  考え方や信じるものが

  深いところでは

  違っていても


  決して否定はせず

  出来得る限りの孝行をして

  精いっぱい、尽くしてきました




  でも

  

  他人の口から吐き出された

  たったひと言で


  母は

  私の気持ちを

  私のこれまでを

  無かったものにした



    もう、いいや。



  どれだけ真心を尽くそうが

  母には

  認めてもらうことができないし

  

  彼女(はは)

  私に対する誤解を解くために

  努力することが

  無駄でしか無いと思うと

  つらすぎて


  実を結ばない努力、と言うものに

  心の底から

  疲れてしまったのです


  弁明や否定の言葉や

  そんなものは一切何も口にせず


  まだ猛烈に私を責め立てる言葉を

  聴くことができずに


  通話を切りました  

  


  



  無理を通し続けた先に待っているのは

  何なのでしょうか


  母が私を責める言葉の裏には

  かつて

  私に対して彼女が行なった事への

  うしろめたさ


  それが

  ずっと(ぬぐ)えずに

  消えることなく

  (おり)のように重たくある気がします




  因果応報と言うものが

  もし、本当にあって


  ひとに

  悲しい思いや 苦しい思いをさせたなら


  それは

  同じくらいか

  あるいは、それ以上に

  自分の身に跳ね返ってくると思うのです




  筋の通らないことが、嫌いです




  決して

  こちらから

  縁を切ったつもりはないけれど


  あれ以来、

  母と私の間には

  静かに距離が置かれています









    




  

  

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