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島流しにされた第三王子は、遺跡から発掘された幼女と古代文明の島で開拓スローライフする  作者: あけちともあき
書籍を探しに王国へ行く

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第28話 妹とちょっと話す。ついでに刺客を蹴散らしておく

 王城の門も開いた。

 俺の顔を見た兵士たちは怯え、命を懸けて戦う気持ちもない。

 これはつまり、マルサイ王は彼らの忠誠を得られていないということでは無いだろうか。


 アースユニ王国、危ないぞ。

 まあ、俺は遠島伯なので守備範囲はルナス島。

 深くは関わらない……。


「おじさまがいると楽ですねえ」


「まあねえ。内乱で大暴れしたのがここで生きてきたな。俺を個室に閉じ込めて殺そうとしたのだが、この部屋を俺が破壊してな。ほら、あそこあそこ」


「あー、なんかお城の形が歪だと思ったら! あの辺りを壊しちゃったんですか」


「ああ。お陰で外に飛び出して大立ち回りをすることになった。ほら、あの城壁の一部が仮設状態になってるだろ。あれは極楽鳥で破壊してソードティンダーで燃やしたんだ。危うく城が全て灰になるところで……」


「ハイザット様がとんでもない話をしてますけど」


「うむ……私は、殿下がどれほど孤独だったのかという事が伺えるよ。果てしなく深い孤独が、あの数々の技を産んだのだろう。天才は孤独が作る。殿下の底知れぬ強さこそが、あのお方の独り歩んでこられた道なのだ」


「えーっ、おじさまがそんな大変なことに!?」


「考え過ぎじゃないかなあ」


「ちょっとジーンと来た。ジムニが大変深いところまで洞察してくれていて助かる……」


 絶対守るぞ、うちの領民!

 俺は決意を強くする。


 こうして城の中を堂々と歩く。

 誰も俺を止められない。


「うわーっ!! ハイザット様が練り歩いてる!!」


「なんで島流しになったはずのハイザット様が!!」


「もうダメだ、誰も止められねえよ」


「なんか連れてるぞ」


「ちっちゃい女の子がいる」


「ハイザット様の隠し子かぁ?」


 バカな!

 俺は誰か女性と親密になったりなどしていないので、隠し子などできるはずがないのだ。


「ゼータがいると勘違いされてしまうな」


「あら! 私はおじさまをおじさまと呼ぶだけの特別な間柄なんですから! ある意味では的を射ているんじゃないですか?」


「そんなバカな!」


 これでは島に帰ったあと、俺に隠し子がいるという話が大きく広まってしまうのではないか。

 いや、今更自分の評判を気にする立場でも無いのだが。


 しかし、見事に会う人間会う人間、みんな俺を恐れている。

 第一王子派はほとんど粛清されてしまったようだな。

 マルサイ兄上の派閥に属する人間なら、俺が恐ろしくて堪らないはずだ。


 お陰で何の妨害もなく、多くの図書が収められた書庫へ向かうことができるのだが。

 書庫の前には、何の守りも施されていなかった。

 知識や伝承、物語と言った物を、マルサイ王はあまり重要視していないのだ。

 現実主義者だったからな。


 焼かれてなかっただけ幸運と思おう。


「ここは何も変わっておりませんな。いや……懐かしい……」


 ジムニが目を細めた。

 書庫にずらりと並ぶ数々の書籍。

 ルナス島では絶対に見ることができない光景だ。


「ジムニ、ゆっくり選んでくれ。量としては……お前さんの体重くらいの量まではゼータの魔法で運ぶことができる」


「任せて下さい!」


 えっへん、と胸を張るゼータなのだった。


「ありがたい!!」


 ジムニがじっくりと本を見定め始めた。

 俺たちはまったりするだけである。


 そこへ、パタパタと足音がする。


 はて、俺がいるという書庫に、わざわざ近づいてくる人間とは。


「姫様ー!」


「姫様やめてください!」


「ハイザット様がいるんですよ! 死んじゃいますよ!」


「なーにを言っているのです!! ハイザットお兄様が私になにかするわけがないじゃありませんか!」


 モネとゼータが俺を見た。


「なんかすごい人が来るみたいですけど!?」


「話に聞いてた、おじさまを説伏したという妹姫様ですね!」


「ああ。この大きい声と場内をダッシュする豪胆さ。妹のべーティア以外にはおるまい」


 すぐに彼女は現れた。

 ダッシュからの急ブレーキで、舞い上がっていた豪奢なドレスが重量を思い出したかのようにストンと落ち着く。

 深い緋色の髪に、大きな目と青い瞳。

 間違いなくべーティアだった。


「お兄様!」


「べーティア!」


「戻ってこられたのですね……! でも、復讐はやめてもらえると助かります!!」


「復讐ではないぞ。領民のジムニが元役人なのだが、彼が領地で勉強を教えていたんだ。だが、彼の記憶がそろそろ怪しくなってきた。ということで、テキストとして本を何冊かもらいに来たのだ」


「そのために、ルナス島からここまでわざわざ戻ってきたのですか!?」


「そうだ。しかもまた島に戻るぞ!!」


「豪胆ですねえ……。ちなみに我が国はどういう状況なのか、お分かりでいらっしゃいますか?」


「戦争しそうってことだけは分かった」


「その通りです。既に状況は一触即発。しかもズクシア帝国は魔人の力を使うという暗殺教団、ガルーダ十神将と契約を結びました!」


「なんだって、あのガルーダ十神将と!? 実在したのか!!」


「おじさま、おじさま。私たちが置いてけぼりなんですが。どういうことなのか説明して下さいな」


 ゼータが俺の服の裾を引っ張った。

 ごめんごめん。

 兄妹で盛り上がってしまったな。


「ハイザット様みたいなお姫様がいるんだ……。すぐに兄妹だって分かっちゃいましたよ私。凄くそっくり」


「そう?」


「お兄様! そちらの小さい女の子はなんですか!? ま、まさかお兄様の隠し子!」


「時間的に隠し子ができるわけないだろう。詳しい説明は省くが、彼女は俺の相棒だ。ともにルナス島を開拓し、領地を広げているんだ。ああ、ゼータ。ガルーダ十神将というのはだな……」


『ほっほっほ……。ちょうど我らの事を話題にしていたようですね……』


 ああもう、また新しい登場人物だ!

 ジムニ、気にせずに本を選んでくれてていいからな!


「誰だよ」


『誰だとはご挨拶ですね……。わたくしめはガルーダ十神将の一人、神出鬼没、幽玄のアーシムです。戦いになる前に状況を終わらせるべく、我が霊体レイスフォームにて罷り越した次第。ちょうど王族がいるようですね。死になさい』


 ぼんやり半透明な、黒いローブにジャラジャラと装飾品を身につけた男だ。

 顔だけは真っ白に塗られており、唇ばかりが血のように赤い。

 それがニタリと笑いながら、べーティアを指さした。


『わたくしめの力は、人の命数を削り取る力。ライフドレイン!』


 もにゃもにゃとした不可視の攻撃が放たれたのを察知したぞ。

 させるか。


「ほりゃ、闇鴉!」


『ライフドレインにカウンターしつつ、わたくしめに攻撃を? そんなものが通じウグワーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』


 絶叫を上げてアーシムとか言うのが消えた。

 全く何だったんだあいつは。

 話の邪魔をして。


「お兄様が今、サラッと倒したのが噂の十神将ですね!」


「そうなの? 霊体だって言うから、非実体を切れる攻撃を、本体までダメージが遡ることも計算してちょっと強めに当ててみたんだけど」


「だとしたら死んでますね! これでズクシア帝国はいきなり十神将を一人消されて、慎重になることでしょう」


「そうかそうか。じゃあ俺、島に戻ってもいい?」


「はい! お兄様に、何か手助けをお願いするつもりだったのですが、大丈夫になりました! ですけどお兄様。このことは外部へ大っぴらにはできないのです!」


「マルサイ兄上の顔を立てねばならないもんな。分かった。秘密にしていいよ。その代わり、俺達が帰る邪魔をしないでな」


「はい、約束します!」


 書庫の入口には、兵士たちが大勢集まり、全員でハラハラとしながら見守っている。

 何、ジムニが本選びを終えたら、すぐに帰るからな。

 気にしないでいいぞ。



 

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― 新着の感想 ―
国王軍3割を倒して幽閉された密室から力尽くで脱出して城に放火w 国家予算級の賞金首になりそうだがw どうやったらコイツ倒せるんだw(毒ガスがなんか斬って無害化しそうだから ソーラレイかコロニー落としし…
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