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虎無双、虎無双。  作者: BB
7章

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100/112

第100話「虎が、伝説を呼び覚ます」

# 虎無双、虎無双。


## 第100話「虎が、伝説を呼び覚ます」


---


島長の館へ向かう道すがら、

ダイスケが荷物から、

おにぎりを取り出した。


ダイスケ「……歩きながらでも、食っておけ」

虎「もらう」


……………………………………………………………………………………………


虎は一口食べた。


虎「……」


塩気だけのシンプルな握り飯だったが、

米の甘みが噛むほどに、

はっきりと出てきた。

急いで用意したものだとわかる、

少し不揃いな形が、

かえって作った人の焦りを、

そのまま伝えてくるようだった。


虎「……うまい。急いで握った感じが、味に出ているな」

ステラも一口食べた。


ステラ「……確かに、温かみのある味です」


……………………………………………………………………………………………


ダイスケが、

布に包んだものを、

さらに広げた。


キュウリと、

ニンジンのぬか漬けが、

並んでいた。


……………………………………………………………………………………………


ダイスケ「これも、食え。歩きながらでも、いい」


虎はキュウリを、

一口かじった。


虎「……」


しゃきしゃきとした歯ごたえと、

ぬかの発酵した香りが、

一緒に広がった。

塩気が、

おにぎりの甘みを、

うまく引き締めてくれる。

ニンジンの方は、

噛むほどに、

甘みと酸味が、

交互に感じられた。


虎「……これも、いい。歩きながら食べるには、ちょうどいい」

ダイスケ「……うちの村の、伝統の味だ」


……………………………………………………………………………………………


ステラも、

ニンジンを一口食べた。


ステラ「……緊張している時ほど、こういう素朴な味が、支えになりますね」

ダイスケ「……そうだな」


虎(この味、覚えておこう)


……………………………………………………………………………………………


道を急ぐうちに、

島長の館が、

見えてきた。


大きな石造りの建物で、

入り口に、

守衛らしき人物が、

立っていた。


……………………………………………………………………………………………


虎「島長に、緊急の用件がある」

守衛「……エンブレムを、確認させてもらう」


虎が三枚のエンブレムを、

見せると、

守衛の表情が、

変わった。


……………………………………………………………………………………………


守衛「三つ、揃っているとは。だが、それより先に、事情を聞こう」

虎「時間がない。火山が、目覚めかけている」


……………………………………………………………………………………………


守衛が、

すぐに、

中へと案内した。


館の中央広間で、

すでに、

三人のエリアリーダーが、

集まっていた。


……………………………………………………………………………………………


レイナ「……お前、なぜここに」

タクミ「何かあったのか」

ガクト「その顔、穏やかじゃないな」


……………………………………………………………………………………………


虎は、

手短に、

これまでの経緯を、

説明した。


伝説のケモンガのこと、

ダイスケたちの計画のこと、

そして、

封印がすでに緩んでいること。


……………………………………………………………………………………………


三人のリーダーが、

顔を見合わせた。


レイナ「……本当なのか」

ダイスケ「……本当です。俺が、原因です」


ダイスケが、

深く頭を下げた。


……………………………………………………………………………………………


ダイスケ「みんなを、巻き込んだのは、俺です。今からでも、止めたい」

ガクト「……お前、あの、勝てなかった連中の、リーダーか」

ダイスケ「はい」


……………………………………………………………………………………………


タクミが、

静かに言った。


タクミ「……お前たちの気持ち、わからなくはない。この島は、強さだけで、評価されすぎていたのかもしれない」


虎(タクミも、何か、思うところがあるようだ)


……………………………………………………………………………………………


その時、

奥の扉が開いて、

島長が姿を現した。


年老いた、

だが、

鋭い目をした人物だった。


……………………………………………………………………………………………


島長「……話は、聞こえていた。急がねばならんな」

虎「島長か」

島長「そうだ。だが、今は、名乗り合っている場合ではない」


……………………………………………………………………………………………


島長が、

杖を、

強く床に打ち付けた。


島長「全員、火山へ向かう。伝説のケモンガが、完全に目覚める前に、封じ直さねば」


……………………………………………………………………………………………


レイナ「私も、行きます」

タクミ「うちの村の、ケモンガも、力になれるはずだ」

ガクト「力比べなら、任せろ」


……………………………………………………………………………………………


虎は、

三人の様子を見て、

少し安堵した。


虎(一人じゃない。これなら、間に合うかもしれない)


……………………………………………………………………………………………


ダイスケが、

島長に向かって、

再び頭を下げた。


ダイスケ「……俺も、行かせてください。自分の、始めたことです」

島長「……当然だ」


……………………………………………………………………………………………


一行は、

すぐに、

火山へ向かって、

出発した。


道中、

地響きが、

どんどん、

激しくなっていく。


……………………………………………………………………………………………


ステラが、

ハクの背に乗りながら、

上空から言った。


ステラ「虎様、火口が見えます。赤い光が、噴き出しています」

虎「間に合うか」


……………………………………………………………………………………………


モチが、

虎の緊張を、

感じ取ったように、

形を鋭く尖らせた。


虎「モチ、頼むぞ」


……………………………………………………………………………………………


火山の麓に到着すると、

すでに、

ダイスケの仲間たちが、

儀式のような輪を作って、

座り込んでいた。


女「……リーダー、なぜ、ここに」


……………………………………………………………………………………………


ダイスケ「みんな、聞いてくれ。この計画は、間違っていた」

女「……リーダー、やっぱり」


……………………………………………………………………………………………


その時、

火口の奥から、

巨大な咆哮が、

轟いた。


地面が、

大きく揺れる。


……………………………………………………………………………………………


虎(来る)


虎は、

火口を、

じっと見つめた。


赤い光の中から、

巨大な影が、

姿を現し始めていた。


……………………………………………………………………………………………


島長が、

低い声で言った。


島長「……伝説のケモンガだ。目覚めてしまった」


その姿は、

虎たちが今まで見てきた、

どのケモンガよりも、

はるかに大きかった。


……………………………………………………………………………………………


虎(この島全体を、変えるほどの力、というのは、大袈裟じゃなかったんだな)


虎は、

モチを見た。


虎「モチ、俺の姿になれ。今から、みんなで、封じ直す」


……………………………………………………………………………………………


モチが、

虎の姿に、

すっと変化した。


ステラも、

ハクの背から、

決意の表情で、

虎を見た。


……………………………………………………………………………………………


ステラ「虎様、私も、加勢します」

虎「頼む」


三人のエリアリーダーと、

ダイスケも、

それぞれのケモンガを構えた。


……………………………………………………………………………………………


伝説のケモンガが、

巨大な咆哮を、

再び上げた。


火山全体が、

その声に、

共鳴するように、

揺れていた。


……………………………………………………………………………………………


虎(全員で、力を合わせれば)


虎(この島を、守れるはずだ)


ゴウゴウと。

赤い光が

夜空を焦がす。


決戦が、始まる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステラ「切迫した状況ですが、今回で100話です」

虎「俺たちの、話がか」

ステラ「ええ、ここまで読んでくれた皆様、誠にありがとうございます」

虎「ありがとう」

虎「これからも、よろしく頼む。」

ステラ「戻しまして、伝説のケモンガ、ついに、目覚めてしまいましたね」

虎「大きな相手だ」

ステラ「おにぎりとぬか漬け、緊張の中で、支えになりました」

虎「あの味、忘れないな」

ステラ「島長さんたちと、力を合わせるんですね」

虎「全員で、封じ直す」

ステラ「……おおむね、これが、最大の山場です」

虎「おおむね、か」

ステラ「おおむね、です」

虎「次の予告をしてくれ」

ステラ「次回、『虎が、力を合わせる』」

虎「みんなで、勝ち取るぞ」

ステラ「はい。行きましょう」

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