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狂戦士とドラゴンの語らい

 神話のモンスターや怪物のありふれた世界。


 その男は何処からともなく現れ、魔物と死闘を繰り広げていた。


 ミノタウロスとの一騎打ちにオーガの群れへの単騎決戦。


 他にも様々な死闘を演じて来た。


 そんな男が最後に向かったのはマグマ漂う火山に住んでいるドラゴンの元であった。


 そのドラゴンに知恵があったらしく、彼の脳内に直接問う。


【何故、この様な場所を訪れたのか】と……。


 男は応える代わりに雄叫びを上げてドラゴンに突っ込んで行く。


 男の拳がドラゴンを捉え、叩き込まれる。


 しかし、それはドラゴンの強固な鱗に阻まれ、逆に男の拳が鈍い音を立てた。


 今まで感じた事のない痛みが男の腕を走り、叩き込んだ拳がひしゃげる。


 あまりにも強固なドラゴンの鱗に男の拳が砕けたのだ。


 それでも男は攻めるのを止めない。今度は反対の拳を叩き込み、膝蹴りを見舞う。


 しかし、それは哀しいかな、ドラゴンに傷一つ着ける事が出来なかった。


【何故、そなたは戦うのを止めないのか】とドラゴンが今一度、問う。


 それに対して男は再び雄叫びをもって返した。


【愚か物め!!】


 知性の欠片すら感じさせぬ男にドラゴンは一喝した。


 次の瞬間、男の足元から魔方陣が浮き上がり、強力な重圧が男にのし掛かる。膝をつく男。


 そんな男にドラゴンは興味を無くした様に目を瞑ると翼を大きく広げ、再び男の脳内に直接語り掛けてくる。


【闘争本能に支配された憐れな狂戦士よ。私は平穏を望んでいる】


【そんなに戦いたくば、それ相応の世界へ送ってやろう】


 ドラゴンはそう男に語り掛けると飛翔し、火口の中へと姿を消す。


 それを合図に男の身体は光輝き出し、空の彼方へと消えて行った。


 しばらくして男が目を開くと其処は血の臭いと噴煙の舞い上がる戦場であった。


 男は立ち上がると前進を開始する。


 此処が何処で何なのか……。


 そんな事は男には関係なかった。


 男はただ、ひたすらに前進する。


 まるで此処を死場所に選んだかの様に……。



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