15日目
月曜の朝。
いつもなら重い瞼も、今日は一段と軽かった。昨日は1日中3人で笑いあった。諦めていたけど、望んでいたもの。求めていたけど、叶わないと思っていたもの。
それは不意に訪れてきた。わたしはたいした努力はしていないけど。
お父さんが本当は何を考えているのか、お母さんが何を隠しているのかは分からない。
でも、昨日は確かに笑いに満ちていた。バラエティ番組の様な、用意された乾いた笑いじゃなくて。水分をしっかりと含んだ確かな笑いが。
「いってきま〜す」
「お、いってこい」
「あなたも、早くしないと遅刻しますよ」
「あ、今日は朝から会議だった。りさ、ちょっと待って、お父さんも一緒に」
「え〜、先行ってるよ〜」
大丈夫だ。
特に根拠はないけど、不安もない。
「おはよう〜」
「おはよう、りさ。どしたの、月曜からテンション高いね」
「月曜だから高いのだよ、マユミ」
「なんか、あったの」
「なにも。なんもないよ」
「もしかして、田中くんとなんかあった」
「なんで田中くん。田中くんは関係ないよ」
新品の下着がずれた気がした。
「ふ〜ん、まあ、りさが笑顔なら別に良いんだけど」
マユミは満足そうに髪を揺らしながら、席に戻っていった。入れ替わりに、先生が来てホームルームが始まった。
「え〜、田中は今日は欠席だ」
そう先生に言われて、やっと隣の席の違和感に気がついた。主のいない椅子と机は、少し寂しそうだった。金魚がぴちゃんと跳ねた音がする。ご飯をあげるのを忘れてた。急かされている気がして、わたしはやっと浮かれているんだなと自覚する事ができた。
今日の空は、嫌なくらいに真っ青だった。




