――てない その9 ―オチ―
「おい」
との声で
「ぱちり」
――と目覚めるのです。
そこには
――そばには
"ジュネス・ドレ"がいました
――見下ろしていました
――影
――曇り
――ひとつない
そのヒト。
若さの溢れた
――経験に性格を損なわれていない
――しかし、<キャラクター>の無い
――"ルィェ"ではない
――感情が顔に現れている
――ディレクトな
同級生。
"摂"氏は、辺りを見ます。
場所に変化はありません
――状況に変化はありますが。
他人がいる
――かどうかではなく
部屋は、光
――しかし、それは電気のそれではなく
――<朝の陽光>…。
天井を見上げると、
――電気が点いたまま。
それは
――見なければわからない程
微かでした。
「そろそろ起きないと」
そして、"摂"氏は従います。
外は輝いていました。
芝は萌え
プールの水
――それらの漣
そして、水色に、澄んで拡がる、背景。
綿雲が薄く
――点
――点
とあります。
前日の繰り返しの予感……
――暑い日の始まり
――しかし、"摂"氏にはわかっていました
――同じ事が繰り返されても、それは最早、<同じではない>のだと。
"ジュネス・ドレ"は何度も
――勝手に<離れ>に入った事に対する
言い訳をします
――謝罪はしません
――外から何度も声をかけた事
――ノックした事
――鍵が開いていた事
その時の"摂"氏には、どうでも良い事。
["ジュネス"の家なのですが、<寝室>というプライベートを侵害したという意識があったのでしょう……
育ちが良いのでしょうね]
"摂"氏には、考える事がたくさんありました。
考えながら――
同時に
――"摂"氏は、<それ>について
――いくら考えても
――もう、どうしようもない事に気付いていました
――後付で考えても、その問題に関しては、意味が無いのだと
――それは既に<在>り、それはもう、改変しようがないのだと
――"摂"氏が出来ることは、<それ>を保存する事だけ
――そして後で、別の機会の際に役立たせるだけ。
"ジュネス"邸<母屋>に行き
――ダイニングルームへ行くと、
"ジュネス"夫人がいました。
挨拶をされ
――"摂"氏はお辞儀を返し
――"ジュネス・ドレ"に
「ウチの母親」
――と紹介されて
――"摂"氏は己の身元を代わりに明かし
――そして"ジュネス"夫人は、ダイニング・ルームから出て行きました。
「今朝帰ってらしたのですか?」
と"摂"氏が同級生に尋ねると、
「昨日、オレ等が寝た後に帰ったんじゃね?」
とのこと。
「知らね――親父はもう、仕事に出たらしいから」
その後にサーブされた朝食は、前日と同じでした
――味も、同じでした。
そして
――二人は急いで片づけをして
"ジュネス"邸を後にするのです。
その後、二人が学校で、テストを
――どう迎え
――どの様な結果を得
――たかは、どうでも良い事。
――『――てない』の了――
[次回は、『葬式』という話を予定しています。
これまでの<ながーい>
①『実力と、それを包む邸宅』と
②『はじめての闘い』、そして
③『――てない』
以上の三つが展開した夏の<一週末>から
――時間は飛ぶので
――これで一応、形あるオチ、とします
――しかし、話は続いているのでしょう
――知りませんけど]




