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レインキス  作者: 七瀬 夏葵
第二章「加速する想い」
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Act.20「キスの雨」

※病気・医療・ドナーに関する描写は現実と異なる場合がございます。

恐れ入りますが、予めご了承の上お読み頂けますよう宜しくお願い致します。

「あんた今、自分が何言ったか解ってるの!?」


「そうわめくなよ。俺がお前の事を好きだと、何か問題あるのか?」


「大ありよ!だって、あたしは・・・・」


彼女は言い淀み、その瞳の奥が揺れた。


「お前が何をそんなにためらってるのか知らない。話したくない事なら無理には聞かない。だけど俺は、たとえ何があっても、お前の手を離してやるつもりはない」


多少強引にでもいい。コイツが俺のものになるなら、どんな手だって使ってやる。

コイツを一人で泣かせるなんてもう、したくない。


「お前は俺の妹で、俺のいちばん大事な女だ。ずっとそばにいて欲しい。もっとも、嫌だって言っても諦める気はさらさらないけどな」


きっぱりと言い放った俺の言葉に、彼女はしばらく沈黙し、やがて小さく言った。


「・・・・でも・・・・だってそんな・・・・信じられない・・・・・・」


瞬間、俺は彼女を抱き寄せ、もう一度その唇を塞いだ。


「んっ・・・・んんっ・・・・」


小さな抵抗を見せた彼女の手を掴み、俺はその唇を貪る。

口角を割って舌をすべりこませ、彼女のそれと絡ませていく。

漏れる吐息は熱を増し、やがてそれは身体中に伝染していく。

抱き寄せた彼女の身体からスッと力が抜けたところで、ようやくその唇を解放した。


「・・・・これでも、信じられない?」


囁いた俺に、彼女は小さく呟いた。


「・・・・・・・ばか」


頬を赤く染めてうつむく彼女はあまりに可愛らしく、俺は少しだけ意地悪がしたくなって、その耳にふぅっと熱い息をかけた。


「ひゃんっ!」


ビクリと震えたその身体を優しく抱きしめながら、その耳に囁く。


「・・・・・・好きだよ」


腕の中で小さく震えたその全てを、激しく愛しいと思った。

再びその唇を塞いだ時、彼女の腕が、俺の背中に回るのを感じた。


「・・・・んっ、ふっ・・・・」


熱が増して行く。

耳に響くのは微かに漏れる吐息と、遠くに聞こえる雨の音だけ。

世界に二人だけのような甘い錯覚の中、俺達はキスの雨に身を委ねるのだった。

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