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現実主義者の俺が青春ラブコメに巻き込まれる  作者: 小西 悠人
いじめられっ子吉田拓郎
24/91

【19話】作戦最終日(上)

土日に投稿できなくてすいません。


バイトで死んでました。


吉田編は明日で完結です。


ぜひ、ブックマーク、評価、感想待ってます。


 金曜日になった。作戦最終日。

 

 僕、吉田拓郎は最近学校に行くのが楽しみになってきた。


 今まで、僕にとって学校とはとても居心地の悪い場所(とこ)だった。


 友達は誰もいなく、話し相手すらいない。いつも独りぼっちだった。


 勉強や運動で特段優れているわけもなく、容姿も良くなく、コミュニケーション能力も低い陰キャラだったため、常にカースト最下位で馬鹿にされ、いじめられ続けた。


 悪口を叩かれ、揶揄われて、教科書を隠されたり、体育の授業ではボールをわざとぶつけられたりなど嫌がらせも日常茶飯事だった。


 時には、殴る、蹴るなどの暴力を振るわたれた。トイレの個室に入ってたら、上から水をかぶせられた時もあった。クラスの前で、何度も辱めを受けた。


 自分ではどうにもできず、クラスの人に助けを求めたが、誰も手を差し伸べてはくれなかった。だから、先生や親に頼った。先生からの注意、両親からの叱責により、一時的にはいじめは止むが、しばらくしたらまた、僕はいじめられる。


 これをなんども繰り返してきた。


 高校でも一緒だ。一年ではいじめられはしなかったが、誰とも会話をしなかった。露骨に遠ざけられ、遠巻きに陰口を言われ続けた。

 「あいついつもひとりぼっちだよな」

 「陰キャで根暗なぼっちって感じ」

 「絶対オタクだよね」


 僕は常に一人だった。


 だから、何か打ち込めるものが欲しかった。


 それが僕にとってアニメや漫画であり、イラストを描くことだった。


 物語の中のキャラクターは現実の僕とは違い、とてもきらきらと輝いており、羨ましかった。そんなキャラクター達を綺麗に描くことが好きになった。


 しかし、この趣味は学校という環境ではあまり受け入れられなかった。

 

 何度「オタクだ」「キモイ」と罵られたことか。


 だから、僕は周りとの関係を遮断し、常に一人でいた。


 そして、高校二年生になってすぐ、僕は陽キャの三人組にいじめられるようになった。


 今までと同じように、趣味をバカにされ、悪口を言われて、嫌がらせを受けていた。


 放課後にその三人組にいじめを受けて「僕はいじめられる側の人間なんだなあ、これからも一生」と思っていると、一人のクラスメイトがそこにいた。


 確か名前は、笹原君。


 僕と一緒で学校ではほとんど一人で机に向かって勉強をしている。頭も良くて、常に学年上位だと聞いた。


 そんな風に一人でいることが多いのに、彼には朝比奈さんや工藤君といった友達がいる、彼は僕と違って胸を張って生きている、いじめられないで学校生活を送っている。


 ぼっちであることは一緒なのに、僕と彼はなにが違うのか


 そんな彼に、僕は助けを求めた。いじめをやめさせるためじゃなくて、いじめられない人間に、彼のように胸を張って生きるために。


 初めに断られた時は、絶望しかけたけど、助けることを約束してくれて、なにより僕が大切にしているイラストを褒めてくれたのがとてもうれしかった。



 僕は彼に教えてもらった。簡単な身だしなみの整え方、姿勢の正し方、コミュニケーションの取り方、自分のことを相手に伝える術を学んだ。


 そして、この一週間他人とコミュニケーションをすることをチャレンジしてみた。


 初めて話すクラスメイトと挨拶を交わした。


 初めて話すクラスメイトと学校の話をした。


 隣の女の子とペアワークをした。


 アニメ好きのクラスメイトとアニメの話で盛り上がった。


 美術部のクラスメイトとイラストを見せ合った。


 初めてできた友達とカラオケでアニソンを熱唱しあった。


 始めてクラスメイトに自分のアニメ好き、イアラストを描くのが趣味なことを話した。


 初めてのことづくしの一週間だった。もちろん全部が上手くいったわけでもないし、笹原君や工藤君、朝比奈さんにも何度も手伝ってもらった。


 僕は初めて知った。僕が今まで一人だったのは、僕が周りのことを拒絶したからだ。周りが僕を拒絶したのでなく、僕が拒絶したからだ。


 僕の趣味を受け入れてくれるはずがない、僕のことなんて気にも留めてくれない、僕なんていつもぼっちで寂しい人だと決めつけていた。


 だけど、笹原君に会って僕は変われた。恐れながらも自分のことを相手に伝えて、相手のことをよく知るようにした。


 そして、同じ趣味の友達ができて、クラスメイトのみんなに自分の趣味を知ってもらって仲良くなることができた。この一週間、あの三人組にもいじめられることはなかった。


 


 僕は変わることができたんだ。この一週間で。いじめられない人間に



 

 今日も学校に登校して、クラスメイトと挨拶を交わす。


 休み時間になれば、仲良くなったクラスメイトと授業のこと、部活のことなど他愛のない話をして盛り上がった。


 昼休みになれば、アニメ好きでイラストを描く同じ趣味である友達になった阿部君とアニメの話で盛り上がりながら、昼食をとる。


 授業では、まだ慣れないけど、笹原君のアドバイスを意識しながら女子とペアワークをする。


 


 そして、放課後になった。


 僕はこの一週間、笹原君にあの三人からいじめに遭わないように、放課後は笹原君か工藤君、朝比奈さん、阿部君と一緒に帰っていた。


 でも、今日は工藤君と阿部君は部活で、笹原君と朝比奈さんは用事があるらしく一緒に帰れないらしい。


 笹原君はごめんと謝っていたが、僕は全然大丈夫だ。


 もう、今までの僕とは違う。僕は前と違って、友達もできたし、クラスメイトと交流もできた。コミュニケーション能力も身に着けたし、自分の趣味に自信を持つこともできた。


 笹原君も僕のためにいじめ防止の集会も催してくれた。


 もう、大丈夫だ。いじめられることはない。



 僕は部活に行く前の阿部君と少し話して、クラスメイトが部活や委員会、家に帰ったりなどして誰もいなくなった教室で帰り支度をする。


 だけど、そこである異変に気付く。


 僕がいつも愛用しているスケッチブックが無くなっていたのだ。


 学校生活でいつもぼっちだった僕を支えてくれたイラストを描く大切なスケッチブック。


 机の中を探してもどこにもない、ロッカーの中にもない。今日は移動教室もなかったため、絶対教室の中にあるはずなのに。どうして無いんだ。


 すると、机の中にノートの切れ端が入っていた。そこには


 「学校裏の公園で待ってる」

 

 と書かれていた。


 僕は僕をいじめたあの三人組のことが頭をよぎった。


 あの三人が嫌がらせで、僕の大切なスケッチブックを奪ったんだ。


 どうして!僕は変わった!友達もできたし、クラスメイトに自分のことを知って認めてもらったし、見た目や能力も身につけられた。


 もう、いじめられてきた自分と違うはずだ、変われたはずだ、なのになんで?!



 僕は重い足取りで、学校裏の公園と向かう。


 天気は今にも雨の降りそうな曇天で、まるで今の僕の気持ちを表現しているみたいだ。


 季節は春、みんなが新しいもの挑戦を迎える明るい季節なのに、僕の気持ちは沈んでいる。


 公園に着くと案の定、僕をいじめてきた清原と井野と大原の三人組だった。


 彼らはジャングルジムの上から僕を見下すように眺めている。


 「よくきたな、吉田よ」


 気味悪い笑みを浮かべながら、僕を見定めている。


 「僕のスケッチブック盗んだのは君たちなの?」


 「スケッチブック?ああ、これのことか」

 

 そういい、バックから僕のスケッチブックを無造作に取り出した。


 「だって、お前調子に乗ってんだもん。オタクで陰キャでぼっちのくせによ」


 三人組はジャングルジムから飛び降りる。


 「見た目変えたり、友達を作ったり頑張ってるみたいだけどさ、お前みたいなやつは変われないんだよ」


 「なんで、僕をいじめるんだ!僕は君たちに何もしてないだろ!」


 僕は変わったはずだ。僕なりに努力して、笹原君に言われたいじめられる条件、クラス内でのコミュニティの作成、キャラの周知を達成したはずだ。


 笹原君も手伝ってくれて三つ目の条件、いじめが許容されている空気を換えてくれた。


 なのになんで、まだ、僕はいじめられないといけないんだ。


 「そんなの簡単だろ、お前がいじめやすいからだよ」


 そんな風に言い放ち、笑いあう三人組を見て理解した。





 僕は、ただ、いじめられやすいからいじめられきたということを。





 どんなに友達を作ったとしても、どんなにクラスで人気になったとしても僕はいじめられ続けるだろう。


 僕の本質は変わっていない。いじめられる人間なんだ。


 「つーか、お前よ、いじめられてること黒瀬にチクっただろ」


 僕は、笹原君には助けを求めたが、黒瀬さんには何も話していない。


 「黒瀬のやつが俺らにくぎを刺してきたし、昨日の集会も黒瀬が主導でやったらしいしな。まぁ、俺らには関係ないがな」

 「だよな」

 「そうそう、あんなのでいじめやめるわけないっつーの」


 ゲラゲラと笑いあう三人組。


 僕はいつまでたっても弱者のままなのか?


 「そういえばさ、お前、絵が描くのが趣味でこれが一番大切なんだよな」


 清原は僕のスケッチブックを見せびらかす。


 「こんな気持ち悪いのをよく大切にしてるな。気持ち悪いから俺が処分してやるよ」


 すると、バックからライターらしきものを取り出した。


 僕は気づいた。こいつが僕の大切なスケッチブックを燃やす気だと


 「やめろ!」


 俺は気づくよりも早く駆け出して、清原からスケッチブックを奪い取ろうとする。


 だけど、井野と大原に進路を阻まれ、両手を掴まれ地面に滑稽にひざまついた。


 「抑えとけ、井野、大原。今目の前でこれを燃やしてやるから」


 必死にもがくが、バスケ部に所属している体格のいい二人に僕が敵うはずもなく、目の前大切なスケッチブックを燃やされた。


 俺は今まで、大切にしてきた、拠り所にしてきた、努力をし続けた結晶を、こんなくだらないやつらにくだらない理由で燃やされた。


 「いいねー、その絶望した顔、最高だよ!」


 また、ゲラゲラと笑いあう三人組。


 

 僕は、心の中でグツグツとなにか湧き上がる感情があることに気が付いた。


 僕はいままで、いじめられるのは自分のせいだと思ってきた。


 僕が、陰キャだから、オタクだから、コミュ障だから、ぼっちだからいじめられると


 僕が弱いからいじめられると受け入れてきた。


 だから、変わろうとして、努力した。


 だけど、それを否定されて、大事なものを奪われてしまった。


 これは僕のせいなのか。


 



 























 いや、違う!間違っているのは、正しくないのは、悪なのは、あいつらだ!



 僕は初めて感じたこの激情の怒りの感情を糧に清原に殴り掛かった。


 「お前が間違ってる!お前が悪い!僕が正しいんだ!」


 「何してくれるんだこのやろー!」


 キレた三人組は殴りかかってきた僕を殴り返してくる。


 殴ったり、蹴ってきたりしてくる。痛い!僕は運動神経もないのチビに対して、あっちはバスケ部所属だしガタイもがっしりしている。殴り合いで勝てるはずない。


 

 そんなの関係ない!



 僕はこんなに理不尽なめにあっているのに黙ってられるか!


 僕は痛みに耐えながら、脛を蹴り、腕を噛み、腹に頭突きをかます。


 「なんだこいつ!」

 「早くつぶすぞ!」

 「コイツ、いてーだろ!」


 抵抗するも体力がないため、僕は力尽き、されるがままに暴行される。


 だけど、僕の気持ちは爽快だった。生まれ変われた気がした。


 もう痛くてなにがなにかわからない。


 でも、自然と気持ちのいい痛みだった。


 僕が見ているアニメだったら、いじめられているヒロインの前にヒーローが現れてくれるはずなんだけど、


 あれは、フィクションだから


 ヒーローなんていない。いないはずだ。


 


 






















 「よくやった!吉田!」


 



 声の方を振り返ると、そこにはヒーローがいた。


 「さ、笹原君」






 

 

 


 

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