羞花閉月、顕現する三人目の人造人間‐③
二目木の目には大粒の涙があった。
「ああ、まだ死にたくなかったなあ……」
爆発音とともに、二目木は塵となった。
その場にはただ晒菜一人が残されていた……
どれくらいの時間がたったのだろう。
「…………」
目を覚ました晒菜。眼前に広がる光景、すなわち激しい爆発があったとみられる光景を目の当たりにして驚きのあまり声も出なかった。
二目木、二目木はどこにいるんだ……
いつもみたいにどうせどっかに隠れて、俺の後ろから陽気に現れるんだ。きっとそうに違いない。そうに決まってる……
なのに、そう思ってるのに、心の奥ではそうじゃないってことがわかってるんだ……
なんでだろうな……
どうしてこんなことになってしまったんだよ……
どうして……
一寸木木呂子に続き、
二目木林檎までもが晒菜のもとから離れて行った。晒菜にできた二人目の友達、いやもう、友達以上の存在になっていたのかもしれない。晒菜はしばらくの間この場から動くことが出来なかった。
「嘘だ、うそなんだ……」
晒菜はこの時二度目の涙を流した……
そこに、ザッザッという足音が忍び寄る。
「貴様が晒菜升麻だったんだな……悪いが一緒についてきてもらう」
「…………」
晒菜はなにも答えなかった。ただ、三改木の言われるがままだった。晒菜は考えることが出来なかった。なにもかも全て失った気分になっていた。
そんな晒菜の心境を慮ることなく、三改木が言った。
「晒菜升麻、よく聞け。
お前もよく知っているだろ……
う!?」
三改木がそう言いかけていたところに晒菜が突然彼女に抱きついた。
「う……ッ……っく」
三改木の胸で晒菜がむせび泣いていた。晒菜の心は救いを求めた。晒菜の体は愛に飢えていた。これは、晒菜の無意識の行動だった。
「…………」
三改木は流涕焦がる晒菜をそっと抱き締めた。
「そうか……つらかったんだな……」
「りん……ご……」
晒菜は嗚咽交じりに二目木の名を言ったと思ったら、そのまま眠りに落ちた。
一寸木木呂子、二目木林檎、
――そして、三改木森羅。
彼女たちは人類存亡をかけた戦いを繰り広げるはずだった。
GSS計画推進グループ、通称「緑威」との壮絶な死闘が待ち受けているはずだった。
そして、輝かしい未来を手にするはずだった。
しなければならなかった。
だがしかし、今や残っているのは、三人目の少女、三改木森羅ただ一人だけだった。
次回は8月18日(金)7時更新です☆




