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婚約破棄? ご自由に。条約違反の責任は国家でどうぞ ~婚約破棄された令嬢、契約で世界を制圧する〜  作者: 白石アリア


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第111話 歪みの先

 ――信用戦争。


 その言葉は、比喩ではなくなっていた。


「……止まっています」


 ノアの声が低い。


 履歴網。


 接続主体の減少。


 さらに。


「国家側の契約も」


 カイルが続ける。


「……遅延しています」


 私は画面を見る。


 国家が強制したはずの構造。


 だが。


 完全ではない。


「承認が追いついていません」


 ノアが言う。


「処理が滞っている」


 当然だ。


 選別すれば、


 負荷が集中する。


 その結果。


 詰まる。


「……効率優先の限界ですね」


 セリーナが静かに言う。


 私は頷く。


 そして。


 もう一つの画面を見る。


「自由圏は」


 ノアが切り替える。


 数字が跳ねている。


 契約数。


 流動量。


 圧倒的。


「……速い」


 カイルが呟く。


 だが。


「……異常です」


 ノアが続ける。


「破綻率、急上昇」


 私は目を細める。


 画面に映るのは。


《契約破棄》

《連鎖損失》

《信用崩落》


「……崩れていますね」


 私は言う。


「はい」


 ノアが答える。


「流れは速いですが」


「持っていません」


 カイルが低く言う。


「……当然だ」


「制御していない」


 その時。


 通信が入る。


《自由圏》


 ヴィクターの顔。


「見ているだろう」


 静かな声。


「ええ」


「崩れている」


 彼はあっさり言う。


「だが問題ではない」


 私は答える。


「問題です」


「いいや」


 ヴィクターは言う。


「これは“調整”だ」


 画面が切り替わる。


 破綻した契約。


 だが。


 その損失が。


 別の契約に分散されている。


「……再編」


 ノアが呟く。


「そうだ」


 ヴィクターは頷く。


「壊れて、再構築される」


「それが市場だ」


 私は静かに言う。


「人が壊れます」


 一瞬の沈黙。


 だが。


「当然だ」


 彼は答える。


 迷いがない。


「壊れない市場は存在しない」


 その言葉。


 冷たい。


 だが。


 正しい。


 通信が切れる。


 沈黙。


 ノアが小さく言う。


「……どっちも」


「はい」


 私は答える。


「完璧ではありません」


 国家は詰まる。


 自由圏は壊れる。


 そして。


 港は。


「……遅い」


 カイルが言う。


 短く。


「成立はする」


「だが遅い」


 その通りだ。


 すべてが中途半端。


 だが。


 それが現実。


 その時。


 契約ホールから報告。


「緊急!」


「三件同時!」


 画面が切り替わる。


 履歴網。


 国家契約。


 自由圏。


 三つの契約が。


 同時に衝突している。


「……何だこれは」


 ノアが呟く。


 条件が噛み合わない。


 信用基準が違う。


 そして。


 どれも優先できない。


「……決まらない」


 カイルが言う。


 沈黙。


 これは。


 初めてのケース。


 三つの信用が。


 同時に存在する。


「……どう処理しますか」


 ノアが問う。


 私は画面を見つめる。


 そして。


 理解する。


 これは。


 構造の限界ではない。


 定義の問題だ。


「……決めます」


 私は言う。


「何を」


「優先順位です」


 沈黙。


「三つの信用の」


「どれを優先するか」


 カイルが目を細める。


「……それをやると」


「はい」


 私は頷く。


「世界が決まります」


 その瞬間。


《速報》


《国家 履歴網強制接続命令 検討開始》


 ノアが息を呑む。


 私は目を閉じる。


 時間がない。


 決めなければ。


 この世界の。


 信用の形を。

三つの構造が、ついに同時にぶつかりました。


国家・自由圏・港。

どれも正しく、どれも不完全。


そして次は――選択です。


続きが気になる方は、ぜひブックマークと評価をお願いします!

次話、世界のルールが決まります。

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