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婚約破棄? ご自由に。条約違反の責任は国家でどうぞ ~婚約破棄された令嬢、契約で世界を制圧する〜  作者: 白石アリア


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第103話 再接続

 ――もう戻れない。


 その言葉が、頭から離れなかった。


 港の外れ。


 人の流れは、まだ続いている。


 出ていく者。

 残る者。


 そして。


 迷っている者。


 私はその場を離れた。


 見続ければ、判断が鈍る。


 構造を見るなら、


 距離が必要だ。


「……戻りました」


 執務室。


 ノアが顔を上げる。


「外は」


「想定通りです」


 カイルが短く言う。


 想定通り。


 その言葉が、妙に重い。


「履歴網の状態は」


「安定しています」


 ノアが答える。


「ですが」


 言葉が止まる。


「何か」


「……違和感があります」


 私は視線を向ける。


「どこに」


「流れです」


 画面を切り替える。


 履歴網の全体構造。


 資金の動き。

 契約の連結。


 正常。


 だが。


「……一部の流れが、不自然に滑らかです」


 カイルが眉を寄せる。


「どういう意味だ」


「遅延も、摩擦もない」


 ノアが言う。


「本来あり得ない動きです」


 私は画面を見つめる。


 確かに。


 滑りすぎている。


 まるで。


 “誰かが整えた”ように。


 その時。


 扉が、静かに叩かれる。


「……入れ」


 開く。


 そして。


「お久しぶりです」


 ミリアだった。


 室内の空気が、一瞬で変わる。


 ノアが息を呑む。


 カイルが一歩前に出る。


「何の用だ」


 ミリアは微笑む。


「仕事です」


「あなたは停職中のはずだ」


「解除されました」


 短い返答。


 私は静かに言う。


「理由は」


「必要だからです」


 彼女は迷いなく答える。


「今の履歴網は、危険です」


 沈黙。


「具体的に」


 ミリアは端末を取り出す。


「これを」


 画面に映るのは。


 履歴網の一部。


 だが。


 私たちのものではない。


「……何だこれは」


 カイルが低く言う。


「影です」


 ミリアが答える。


「履歴網の外で、同じ構造が動いている」


 ノアが顔を上げる。


「……そんなはず」


「あります」


 即答。


「保証枠を使わず」


「履歴を使わず」


「だが信用を模倣する構造」


 私は理解する。


「……裏市場」


「はい」


 ミリアが頷く。


「違法信用取引」


 沈黙。


 重い沈黙。


「規模は」


「急拡大中」


 短い答え。


 私は目を細める。


 当然だ。


 制限ができれば、


 抜け道が生まれる。


「誰が動かしている」


「不明です」


 ミリアは言う。


「ですが」


 一瞬だけ、間を置く。


「自由圏の可能性が高い」


 ノアが息を呑む。


 カイルの目が鋭くなる。


「……証拠は」


「ありません」


「だが構造が似すぎている」


 私はミリアを見る。


「あなたは、どこまで関与している」


 彼女は、少しだけ笑った。


「疑いますか」


「当然です」


 沈黙。


 そして。


「……関与していません」


 短い言葉。


「だが、知っています」


 その言葉が、重い。


「なぜ」


「私は」


 彼女は言う。


「一度、壊そうとしたからです」


 静かに。


 だが確実に。


 空気が変わる。


「履歴網の弱点は知っている」


「そして」


「それを使う者が現れることも」


 私は理解する。


 これは。


 外の問題ではない。


 内と外が、繋がる問題だ。


「……対処します」


 カイルが言う。


「封鎖を」


「無理です」


 ミリアが即答する。


「見えない場所で動いている」


「止められない」


 沈黙。


 ノアが小さく言う。


「……どうすれば」


 ミリアは、ゆっくりと答えた。


「見つけるしかない」


 その時。


《速報》


《不明信用市場 急成長》


 画面が赤く染まる。


 私は静かに呟く。


「……来ましたね」


 信用は、分裂した。


 だが今。


 もう一つ。


 “見えない信用”が生まれている。


 そしてそれは――


 誰のものでもない。

ミリア、再登場です。


そして物語は「第三の市場」へ。

ここから一気に複雑さと面白さが上がります。


信用はもう二つではありません。


次話、この裏市場の正体に迫ります。

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