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星と触れる希望

扉の向こうは——


穏やかな夜空だった。


少女は、光に包まれた塔の世界から 静寂の星の世界 へと足を踏み入れた。


そこには、青く澄んだ夜の大地。

流れる水。

そして、星の光を浴びながら、静かに佇む 一人の女神。


女神は 水を大地に注いでいた。


少女は、ゆっくりと近づく。


「あなたは……?」


女神は、少女を見つめて微笑んだ。


「私は、この大地を潤す者。」


「この水が、新しい命を迎える準備をする。」


少女は、その言葉に耳を傾けた。


その時、ふと気づいた——


女神のお腹が、丸く膨らんでいる。


「……赤ちゃんがいるの?」


少女がそう尋ねると、女神はそっと自分の腹に手を当てた。


「ええ。私はこの子が生まれる日を楽しみにしているの。」


そう言って、再び水を注ぐ。


少女は、その水面をじっと見つめた。


手を伸ばし——


水に触れた。


「……!」


冷たく、透き通っている。

だが、それだけではない。


この水は、温かかった。


「……この水は……?」


少女が尋ねると、女神は静かに答えた。


「未来へと続く流れよ。」


「この大地が、新しい命を迎えられるように。」


「私たちは、未来のために"今"を注ぐの。」


少女は、その言葉に胸を打たれた。


「……"今"を注ぐ……。」


塔で受けた衝撃。

あの光に触れた時、少女は何かを感じた。


——"今までのままではいられない"


でも、それは 壊れることではない。


少女は 水を両手ですくった。


星の光が、透き通った水を照らす。


——未来は待つものではない。

——未来は、今、育てるもの。


「……きっと、素敵な子が生まれるね。」


少女がそう言うと、女神は優しく頷いた。


「ええ。」


彼女の目には、確かな希望が宿っていた。


その瞬間——


扉が現れた。


少女は、ゆっくりとその扉の前に立つ。


この先に、何があるのかはまだ分からない。

でも、未来は 自分が作るもの。


少女は、振り返り、微笑んだ。


「ありがとう。」


そして、新たな世界へと足を踏み出した。

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