気になったこと
飛雲が常に身に付けているストールのことが気になり出した世莉奈は思い切って何故常に身に付けているのかを聞いてみるのだった。
時刻は14:00のこと。
ホテルで邂逅した鮫のアンデッドを討伐してから約2時間半後のこと。
私はベッドの上で横向きに寝そべっていた。
世莉奈『ねぇフェイ。』
あの気になっていたことを聞いてみようとフェイに声を掛けた。
飛雲『ん?』
私の声に反応した。
いつもの如くタバコを吸っている。
世莉奈『フェイっていつも毛皮のストール身に付けてるよね。』
飛雲『あぁ。シャワー浴びる時は流石に外すがな。』
世莉奈『何か思い入れとかあるの?』
今だってストールを身に付けてるし私と二人で愛し合ってる時も絶対に外さない。
ただわかることと言えば凄く肌触りが良くて私ですら無限に触っていたいと思うこと。
飛雲『何故か?』
世莉奈『うん。』
飛雲『モフモフしている物が好きだからだが?』
世莉奈『え……』
気のせいか?フェイの口からモフモフしている物が好きという言葉が聞こえた気がしたが…
世莉奈『モフモフしている物が好きって言った?』
飛雲『言ったとおりだ。モフモフしている物が好きなだけだ。』
フェイを可愛いと改めて思った瞬間だった。
普段は綺麗で時にカッコいい印象のフェイがまさかモフモフした物がすきだなんて、最早可愛い以外の言葉が浮かび上がらない。
これがギャップ萌えと言う奴なのだろうか?
飛雲『何だ?何かおかしいか?』
世莉奈『いや…その可愛い理由だなって。』
飛雲『何?』
世莉奈『可愛い。今のフェイが。』
飛雲『ほお?』
フェイがタバコの火を消すとこちらを向いてニヤリとした表情で見つめてきた。
飛雲『言うようになったなセリ。私をその気にさせたら歯止めが効かなくなるが?』
フェイは気分が昂ぶっているのか背中の翅をバサバサと動かしている。
世莉奈『いいよ。だって私はフェイの女だもん。』
私も負けじと言い返した。
飛雲『ふっ、君はやはり私の女だ。』
その日は結局日が暮れてもアンデッド討伐の依頼も来ず、事件も無く、フェイと一夜を過ごした。
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翌日の朝、7:45頃。
先に私が目を覚ました。フェイはまだスヤスヤと眠っている。
私はフェイの頬を優しく指で撫でた。
飛雲『…ん。』
気付いたのか目を覚ました。
世莉奈『おはよ、起こしちゃった?』
飛雲『…うん?…あぁ。』
フェイは若干寝ぼけ気味ながらも身体を起こす。
そして棚の上に置いてあるタバコを取り出し火を付けた。
世莉奈『大分お疲れだね。』
飛雲『あぁ、あまり自分ではそんなに疲れを感じてない気がしていたんだがな…』
昨日のアンデッドとの戦いで大分体力を使った様子。
普段は私よりも先に目を覚ましているフェイが私よりも後に目を覚ますのは結構珍しいこと。
世莉奈『ねぇフェイ、そのストール触ってもいい?』
飛雲『構わないが……終わったらすぐに返してもらうぞ。』
そういうとフェイはいつも身に付けているストールを私に渡す。
世莉奈『ちゃんと触るとフワフワしてて無限に触っていたくなる。』
いざ触るとモフモフでフワフワ。あのクールなフェイが病みつきになるのもわかる気がする。
飛雲『セリ…』
フェイが私を呼ぶ。よく見ると何故か寂しそうな顔をしていた。
世莉奈『え、どうしたの?』
飛雲『それがないと死んでしまう…』
普段のフェイからは到底想像できない言葉が出てきた。
世莉奈『…プッww』
思わず私は吹き出してしまった。
フェイは寂しそうな涙目をしている。
世莉奈『フェイ可愛いww』
飛雲『か、揶揄うな…私はそれとセリがいないと寂しくて死んでしまう…』
世莉奈『はいはい、わかったよ。』
そう言って私はストールを返してあげた。
ストールを返すと普段のフェイに戻った。
飛雲『私の弱点を知った以上は相応の対価を支払って貰わないといけないな。』
そういうとフェイはおでこを合わせてきた。
私の心拍数も上がっていく。
飛雲『セリ、もう逃さない…』
そうフェイが言った直後、突如フェイの目付きが変わり、視線を別の方に向けた。
世莉奈『え、どうしたの?』
飛雲『東北東、およそ20キロ先か…?』
恐らく、アンデッドの反応に気付いたものと思われる。
その次の瞬間、私のスマホに一件のメッセージを受信する。
見てみるとやはりというべきか、アンデッド討伐依頼のメッセージだった。
世莉奈『出るの?』
飛雲『無論。』
私とフェイはアンデッドの討伐の準備を始めた。
飛雲『セリ、続きは仕事が終わったあとだ。』
世莉奈『うん。』
私とフェイは手を繋いで自宅を後にした。
反応があった先は駅周辺。
逃げ惑う人々の先にアンデッドがいる。
アンデッド『人間は皆私が喰い殺すのよ!』
飛雲『セリ、そこにいろ。』
フェイがゆっくりとアンデッドに歩み寄る。
アンデッド『あら?もしかして貴方、アンデッドイーターかしら?憎らしいわホント。』
飛雲『ほう、鹿とニシキヘビ…2つの生物反応がする。』
どうやら今回現れたアンデッドは以前市街にて討伐したアンデッドと同じく複数の生物の要素が合わさったタイプのようだ。
???『そいつは私の獲物だ。』
何処からか声がする。
飛雲『ん?』
フェイが上を向くと建物の屋上の柵の上に誰かが立っていた。
そして、その声の主はこちらへ降りてくる。
いつもクールな飛雲の唯一の弱点は実は普段から身に付けている毛皮のストールを取ってしまうことなのだった。
そしてそんな彼女の好きな物はモフモフしている物という意外な側面を加えることで彼女も可愛らしい女の子であることを全面に出した次第です。




