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21 俺の評価と、支給金

 金曜日の朝。


 教室が少しざわついていた。


 俺は視線で日向さんを探した。

 いつ、声を掛けようか……。


「大ちゃんおはよ!」

「ん、亮平おはよ」


 俺はびくりとして亮平を見ると、亮平は食い気味に俺に尋ねる。

「なあ大ちゃん、成績と奨学金見た?」


「……へ?」


 俺はしばらくぽかんとしていたが、思い出した。

 今日が、奨学金というやつの支給日か。


「……成績?」


「そうだよ! 毎月成績が出るって、入学時に説明あったじゃん!」

「そうだっけ?」


 俺は欠伸をした。

 亮平は困ったように笑う。


「まあ。大ちゃんは余裕で学年トップだろうから、逆に興味ないかあ」


 いや、普通に興味はあるけど。御影大輔の成績。


「どうやって確認するの?」

 俺は亮平に尋ねる。


「お、学生アプリ出して」


 俺は亮平に言われた通りにスマートリングを操作して、手の上に仮想画面を表示した。


「あ、ここから見れるのか! サンキュー亮平」

 俺はそのまま成績を開こうとすると、亮平は咳払いした。


「……俺、大ちゃんの成績見ちゃって大丈夫なん?」

「? 別にいいけど。亮平が見たくないなら……」

「いや、大ちゃんの成績、見たい!」


 亮平は俺の方に頭を突っ込んできた。


 俺はごくりと唾を飲み、成績開示を選択する。


「……」

「…………」


 表示されたのは。


 言語85、数学87、科学96、社会92、……、魔術理解100、魔術戦闘100。

 順位、1位。


「わお。超、優等生……」

 亮平は吐息混じりに、力の抜けた声を出した。


 まじか。

 というか、御影大輔、座学も優秀だったのかよ……。


「てことは」

 亮平はにやりとして俺を見る。


「大ちゃん、奨励金も多いんじゃない?」

「全員5万円だろ?」

 俺は首を傾げる。


「それは一律奨学金。成績上位者は、さらにプラスでお金貰えるの!」

 亮平は興奮気味に言った。


「ああ~。俺は10位以内に入れなかったからな~。俺も奨励金欲しい~~」

 亮平は窓の外を見ていた。


「へえ」

 俺は『支給金』の画面を開いた。


 “総額100,000”


 いち、じゅう、ひゃく、――。

 10万円……?


「っ!?!!!???」


 俺は勢い余って仮想画面を全閉じして、イスごと後退した。


 いやいやいやいやいや。

 高校生が一度に貰っていい金額じゃねえだろ。


「大ちゃん、大丈夫?」

 亮平が俺の顔を覗き込む。


「あ、や、びっくりして……」

「やっぱ、びっくりするくらい貰えるんだ! 大ちゃんすげーよ!」


 亮平は声高に言った。


 俺はどこからか視線を感じていた。

 前の方から、そして横から。


 ――赤羽と、白金さんが、俺を睨んでいた。


 赤羽は俺と目が合った瞬間に、ふいと目を逸らした。


 白金さんは俺と目が合うと、何か言いたげに口を少し開けて、やはり目を逸らした。


 亮平はお構いなく俺に話し掛ける。

「初めてのお小遣い、何に使おうかなあ~。ゲーム買うとすぐなくなっちゃう……。大ちゃんは、決めてる?」


「まだ」

 俺は即答した。

「でもまあ、ちょっとやりたいことはあるんだよな」


 俺は視線をすっと日向さんに向ける。

 日向さんは俺の視線に気づいてないようだった。


 ……後で、声掛けよう。




 昼休み。


 俺は真っ先に日向さんの席に向かった。


「日向さん」

「えっっっっっっ!!!!」


 日向さんは俺を見て大げさに反応した。


「……そんな驚かなくてもいいじゃん」

「ごめん」


 日向さんは目を開いて俺を見ていた。


 俺は率直に尋ねた。

「あのさ。明日、ヒマ?」


「へえ?」

 日向さんの声が裏返る。

「ひ、ま、だけど」

 日向さんは消えそうな声で答えた。


「じゃあさ、今度こそ、ちゃんとカフェ行こう」

 俺が言うと、日向さんはヒュッと息を吐いて固まった。


 ……まずいこと、言った?


 しばらく固まっていた日向さんは、目を潤ませながら答えた。

「うん、行きたい。行こう!」


 俺はほっとして笑った。

「後で時間と場所決めよ」


 俺は席に戻ろうとすると、日向さんに袖を引っ張られた。


「あのさ、御影、くん」


「おう?」


 日向さんは俯いたまま言った。

「私、成績、学年ビリで。……悔しいから。勉強と、戦闘、教えてくれない?」


 俺は日向さんを見て言った。

「いいよ」


「ありがと」

 日向さんは口元だけ笑った。


「友達なんだから、何でも頼ってくれよ」

 俺は日向さんを見て続けた。


 日向さんの目の光が、一瞬揺れた。


「……うん。そうだよね」


「じゃ、明日、よろしく!」

 俺はそう言って、席に戻った。



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