表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
革命のリリィ  作者: 鳩ポ
10/40

十話 リトライ

「お前が砂漠にできたクレーターの中で倒れているのを見つけた。装備を見れば分かる。お前、戦闘員だろう。」


男は鋭い目で私を見据えながら問いかけてきた。


「……はい。」


自分でも驚くほど、声が弱々しかった。何も守れなかった自分が、戦闘員であったことすら恥じるほどに。もう、そんな過去に目を背けたいと思っていた。


「そうか。戦闘員だったなら、体調が戻り次第、うちの部隊で働いてもらうことになる。」


「……何勝手に……。」


抵抗する気力さえ湧いてこない。言葉は小さく漏れたが、それ以上は何も言えなかった。


「なりたくないのか?お前の顔を見た時、AIに恨みでもあるのかと思っていたが……見当違いだったな。」


デリカシーの欠片もない物言いに、思わず腹立たしさを感じたが、そんな感情に構っている余裕はなかった。今は知るべきことが多すぎる。


「一つ……聞きたいんですけど、私の他に誰か……他に誰か、一緒に連れてきた人は……いませんか?」


声を震わせながら、私は勇気を振り絞って質問した。心のどこかでは、もう答えは分かっていた。


「お前一人だ。ほかに誰もいなかった。」


その答えが返ってくると同時に、覚悟していたはずの言葉が心に重くのしかかる。胸が締めつけられ、目頭が熱くなるのを感じた。分かっていたはずなのに……やはり、涙が溢れて止まらない。


「……そう、ですか……」


涙を流し、鼻をすすりながら沈黙する私に、男が静かに話しかけてきた。


「もう一人いたのか……戦友か?」


「いえ……私の師匠です。爆発の瞬間、私をかばって覆い被さって……」


「なるほど、そういうことか。」


「……そういうこと?」


「お前が倒れていた周りに、シールドを張った痕があった。おそらく、その師匠が覆い被さったときにお前にシールドを使ったんだろう。」


その言葉を聞いた瞬間、私は一気に胸が締め付けられ、申し訳なさでいっぱいになった。師匠が死んだのは私のせいだ。もしシールドを自分に使っていれば、今生きていたのは師匠だったかもしれない……。


「……私のせいで、師匠は……」


その思いに耐えきれず、顔を伏せて涙がこぼれ続けた。


「そんな顔をするな!」


突然の厳しい声に、私は驚いて男の方を見上げた。彼の表情は真剣そのもので、私の胸に響いた。


「お前は師匠の死を無駄にするのか?師匠はお前に託したんだろう。お前が、師匠の思い描いた未来に連れていくんだよ。」


その言葉が、私の中で何かを突き動かした。ずっと自分を責めていたけれど、師匠が私を生かしたのは、彼の意思だった。彼は、自分の命をかけて私を守り、未来を託してくれたのだ。ならば、私はその意思に応えなければならない。


そうだ……私は勘違いしていた。私が生き残ったのは、師匠の選択だったんだ。


「……そうだ……師匠は、私に未来を託したんだ……」


私のやるべきことが、今はっきりと見えた。師匠の思い描いた未来に行くために、私は戦わなければならない。


「私、戦います。」


たとえ、手足が無かろうとも。私は、この体がどうなろうと、最後まで戦うことを決めた。師匠の意思を背負い、AIを倒し、この世界に未来を取り戻すために。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ