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第一話 運命の歯車

 初めまして、零崎 極識です。何となくで思いついたものを文に起こしてみました。見切り発車ではありますがよろしくお願いします。(もしかしたらどこかで見たことのある展開も……?)


 人類は3度の世界大戦を経て人口を大幅に減らした。その結果得たのは再利用の困難な土地と莫大な難民だった。そして残った人類は地球環境を回復させるために地球の土地を離れて宇宙への移住を決めた。そして建造されたコロニーにおいてひとは子を産み、育て、そして死んでいく。


 それから数世紀の時が経ち人類が地球という面影を次第に忘れていく中で人々は宇宙という環境の副産物のためか『超能力』という特殊能力に目覚める者が現れた。だが、全人類がその能力に目覚めたのではなく突発的に、そして何千人という中で1人という確率で目覚める者に対し大多数の普通の人間は、管理をしようと考える。


 そして超能力者だけで構成された都市を作り上げてまるで箱庭のように管理される社会。もちろん、それをゆるはずもなく抵抗する者達がいるのだが、彼らには力が足りなかった。それでもなお、自由な明日を掴むために彼らは戦うのだった。


□□□□□□


「お兄ちゃん、早く行かないと遅刻しちゃうよー?」

「ああ、分かってるよ」


 春の日差しが降り注ぐ暖かい気候の中、俺と妹の『真由里』は新学期を向かえるために学校へと歩みを進める。


 ここ『エリオスシティ』は超能力者ばかりを集めた地方の中のさらに小さな街だ。政府の方針で超能力者と診断された人は皆、この地方に集められてひとつの地方として政府に管理されている。俺たちのいる、この街は政府のある地方との境目ということもあり、普通の人と超能力者が混ざっているちょっと特別な街だ。


「それにしても、最近物騒だよねー『クロノス』がまた活動を再開したんでしょ?」

「そうらしいな……全く……平和に暮らしたいというのに……」


 『クロノス』というのは超能力者の自由を勝ち取るために抵抗運動を続けている組織の名称だ。最近ではもっぱら幹部を処刑されたか何かで活動が沈静化していたようだが、どうやら再び動き出したらしい。


「何かあったら守ってね?お兄ちゃん!」

「真由里……俺より強いよな?」


 何を隠そう、真由里は超能力に目覚めていて能力は『燃焼』だ。能力を使えばたちまち対象を燃やすことが出来る。


「でも不思議だよねーお兄ちゃんだけ能力ないの」

「……確率に負けただけだよ」


 不幸なことに俺の家族では俺だけが超能力に目覚めなかった。もっともそんなことを気にしない親のおかげでどうにか普通に育ったのではないかと思う。


「ま、出来ることはするさ」


 そして見えてきた『楓坂高校』の校門をくぐり抜けて自分たちの教室へと向かう。


「じゃあ私はここでお別れだねー放課後にね!」


 真由里は1年生の校舎へと向かい、俺は2年生の校舎へと足を進める。そして2年生の校舎の掲示板へと目を向けて自分のクラスを確認する。どうやら今年も3組らしい。


「よっ雅人、また3組か?よろしくな!」

「お前との腐れ縁はいつまで続くんだろうな!」


 声をかけてきたのは『楠 真司』。幼稚園からずっと同じクラスの友達だ。見た目からしてチャラチャラしてるが案外真面目でよく、ギャップに悩まされているらしい。


「それにしてもここまでクラスが同じだと運命感じるよなー」

「……お前との運命なんざ死んでも嫌なんだが……!」


 俺はさすがに男と結ばれるようなことは是が非とも避けたいところだ。できれば彼女が欲しい。


「ま、お前は外面が厳ついからなーなかなか近寄り難いんだろうよ」

「やれやれだぜ、ほんとに」


 確かに幼少の時から同級生が俺の顔を見て泣くという事が度々あり、ついたあだ名は『般若』だった。その時は凹んだ。


「ひとまず教室に入ろうぜ?どんな子がいるか楽しみだ!」

「……声かける勇気は無いくせに……」

「うるせぇよ!?」


 そんなこんなでバカ騒ぎをしながら教室に入り席を確認すると真司が後ろの席だった。もうこれ以上反応するのはよそう。


「いひひっ、よろしくな、雅人!」

「……よろしく、真司」


 何がどうしてこうなったんだ……そして、俺は考えるのをやめた。そして始業のチャイムが鳴り先生が入ってくる。


「ひとまず皆、進級おめでとう。これから益々厳しくなっていくけど頑張ってくれ。とりあえず最初のHRだから自己紹介をしてもらおうと思う」


 そしてクラスメイトの自己紹介が始まった。皆が当たり障りのない自己紹介をして俺の番が回ってきた。


「『桐谷 雅人(きりや まさと)』です、よろしくお願いします」


 特に当たり障りなく自己紹介を終え席につくと真司が(個人的には)面白い自己紹介をするもだだ滑りをするということを除いては平和な自己紹介が終わり休み時間に入った。


「俺の鉄板ネタが……」

「俺は好きだぜ、うん」

「下手な慰めはやめろ!!!」


 そんな馬鹿みたいな掛け合いをしているうちに何やかんやで休み時間が終わり、気がつくと放課後になった。


「それじゃあなー」

「おう気をつけてな!」


 真司と別れて俺は校門へと向かう。しばらく歩いていると真由里が校門で同級生だろう男の子と何やら話しているようだが……揉めている?


「桐谷さん、一緒に帰ろうぜ?同じクラスになったことだし仲良くしたいんだよ」

「予定があるって言ったでしょ?それに、しつこい男は嫌われるわよ」

「そんな予定なんかすっぽかしちゃえって」


 どうやら妹に無理やり迫っているらしい。まぁ身内贔屓とはいえ妹はかなり可愛い分類ではあるしな。


「あっお兄ちゃん!」


 真由里が俺に気づいたらしくダッシュで俺の方へと飛び込んでくる。さすがに人の目がある以上抱きしめるようなことができる訳もなく、体を回転させながら真由美を背中の方へ誘導する。


「あれ?あれれ?」

「……少しは緊張感を持ったらどうなんだ……」


 俺はそう言いながら声をかけていた男子生徒へと体を向ける。相手は2人組だがこの分だと余裕で勝てそうではある。


「えっ、お、お兄さんですか?」

「そうだぞ」

「妹さんと一緒に帰らせてください!」

「……お兄ちゃん、私を売るの?」


 なぜ前と後ろから板挟みされないといけないんだ……


「あーすまんが、妹がこういっている以上……譲れないな」

「そうですか……なら、実力で奪わさせていただきます!!」


 男子生徒はそう言うと右手を俺の方へと突き出した。次の瞬間俺の体に正面から衝撃が加わり突き飛ばされた。


「先輩、僕は能力者なんで……痛い目を見たくなかったら降参してください?」

「……はっ、先手は譲ったんだ痛い目を見るのはお前だぞ?」


 後ろ受身をとってすぐさま体勢を立て直すと地面を蹴り体を地面とほとんど並行になるように走り出す。


「くっ!このっ!」


 男子生徒が俺を捉えるために手を突き出すが次の瞬間には相手の懐に迫っている。そしてこちらを捉えようとする右手を体の軸線から外してはね上げ、がら空きの胴体に掌打を叩き込む。その勢いを受け止めた胴体は逃げ場所を後方へと選び数メートルぐらい、生徒を吹き飛ばした。


「おっとやりすぎたか」


 もう1人の生徒は完全に戦意を喪失して吹き飛んだ生徒へと駆け寄っていた。


「さっすがお兄ちゃん!」

「ちょっとやりすぎたけどな……」


 そう言いながら倒れ込んだ生徒へと歩み寄る。


「おーい生きてるか?」

「ひぃっ!」


 俺の顔に完全にびびったのか一目散に俺の前から姿を消した。


「……お兄ちゃんやっぱり怖いんだねー」

「あんまりいい思いはしないけどな……」


 肩を落としながら妹と2人で校門を抜ける。


「あっ、そう言えば今日から新作のお菓子が発売されるんだけど一緒に行こ?」

「いいぜ、楽しみだ」


 見た目にそぐわず俺は甘党なために一部の友達(特に真司)からはギャップの高低差がありすぎとまで言われている。そんなこんなでやってきたのは徒歩10分程度の距離にある大型の商業施設だ。様々なジャンルのお店があり真由美の言っていたお店もその中にある。


「それにしてもいつ来てもここは人が多いねー」

「逆に言えばここしか遊べる場所はないしな……」


 辺境ということもあってか都市部よりもやや廃れているような雰囲気はあるもののそれでもかなり便利な場所ではあると思う。


「おお!ってあちゃー結構並んでるね」

「この分だと……夕飯にはギリギリってところか?」


 ここのスイーツを目当てにきた人がそれなりに多く待ち時間も結構かかりそうだ。だが、それでも食べたい俺はしっかりと列の最後尾に並ぶ。


□□□□□□


「予定通りに配置に着きました」

「よし、では予定通りに作戦を始める」


 いかにもショップの定員と言った風貌の男が何やら電話越しに話しをする。そして足元にはどこからか調達してきた武器などが置いてあった。


「……超能力者こそが頂点に立つのが正しいのだよ……!」


 そしてその男は地面に置いていた武器を持ち上げると目的の場所へと向かっていくのだった。


□□□□□□


「それにしても……『クロノス』の連中は本当に来るんですかね?」

「大丈夫だ、協力者からの連絡だと既に配置に着いているらしい。こちらも後手に回らないように対策をするぞ」


 私服の男達は腰のホルスターに入れている銃を触りながらゆっくりと準備を整えていた。


「超能力者なんざ……この世界にはいらねぇんだよ……」


 先頭にたった男がそう言い放ち吸っていたタバコを揉み消した。


 そしてここから雅人と真由里の運命の歯車が大きく動き出すのだった。

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