パニカさんは眠れない
※パニカ視点
羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、羊が沢山。羊のぬいぐるみが空中をトコトコ歩いてる。
ぼんやりとした陽射しが羊のメリーゴーランドを白く照らす。めぇめぇ鳴きながら歩く羊を見ていると、次第に瞼が重くなっていく。初夏らしい気温だけど風は涼しく、午睡に落ちるにはいい塩梅。シアはベッドですやすや眠り、あたしはその隣でころころ転がる。
今日のシアの寝巻はペンギンの着ぐるみ。ふわふわと手触りも良く、フードにちゃんと顔も付いていて可愛い。是非ともその恰好で「ぺん」と鳴いてほしい。シアの夢から勝手に出てきたペンギンが、同族となったシアを見てずっと喜びの舞を披露してる。ネコ達はトランプで遊びながらも、しょうがないなぁ、という感じでペンギンにおざなりな拍手した。こいつらのコミカルな動きは見ているだけで飽きない。護衛のつもりなのか、小さな木の枝を持ったハムスターが扉の先を睨み付けている。全然まったく頼りにならないが、そのちんまい後姿が微笑ましい。
ほとんど物がない殺風景の極みだったシアの部屋は、今現在は夢生物ふれあいランドに変貌を遂げていた。力を使いすぎたシアが長い眠りにつくと、心配したのかヒマを持て余したのか、呼んでも無いのにこいつらは勝手に遊びに来るのだ。部屋がメルヘンな感じになってしまっているけれど、この生き物たちはみんなちゃんと静かにしている。空気が読める良い子たちだ。
「……ヒアルロン酸……」
またシアが変な寝言を言う。もぞもぞ蠢いたり寝言を言ったりは、目覚めの時が近い合図だ。前回がそんな感じだったのでおそらくそうだろうと思う。シアの髪をそっと右手で撫でた後、あたしは再度転がる。次第にうとうとし始めて、シアの布団に潜り込んだ。あぁスローライフ。完璧なシエスタ。
「キュキュ!」
ウサ丸が小さく鳴いて、ウサ丸を頭に乗せた白い犬がむくりと顔を上げた。しばらくして、玄関先のベルが涼やかに鳴った。来客らしい。やだ。あたしは顔を顰めて、ますます布団に潜り込む。
りんりんりんりんベルが乱打されて、それに合わせてウサ丸が鳴く。やだ。断る。あたしはこのぼやけた空気の中でうとうとするのが好きなのだ。シアの隣で耳を塞いでいたあたしを、白い犬が首根っこを掴んで放り出した。扱いが雑。あたしはため息をついた後、渋々玄関へ向かう。
その冷製スープを口に運べば、やわらかな素材の味がふんわり広がった。アサリが散りばめられたボンゴレビアンコも、黒胡椒がよく効いていて食欲を増幅させる。両方とも、上品な味、というのがあたしの素直な感想だ。上流階級っぽさのあるその味はあまり舌に馴染みのないものだけど、でもとても美味しい。
「あんた、料理人のほうが向いてるんじゃないの?」
テーブルの向かいに座るパンドラは、スプーンの動きを止めて軽く微笑んだ。
「……お褒めに預かり光栄よ。でもこれは悠久の刻の中での手慰み。人間に憧れた頃のわたしの独り遊戯」
「そ、そう」
一瞬何を言ってるのか分からなくて反応が遅れる。思考をフル回転させて「趣味よ」と言っている事は理解できたが、あたしは患ってないのだから手加減してほしい。眉間の皺を深めながら食事を続ける。『崩滅』という物騒な字面の二つ名で呼ばれ、その名の通り迷宮のエリア全体を探索者ごと滅ぼすこの女は、意外なことに料理好きで綺麗好きだ。ここ二日ほどシアの家に訪ねてくるので、その隠された良妻ぶりにすぐ気付いた。一言も喋らなくて滅ぼさなければ良い奥さんになれると思う。パンドラのおかげで美味しい食事にありつけるし、シアの家がどんどんピカピカになっていく。
「ていうか気になってたんだけど、そこに置いてある巨大なアタッシュケースなによ」
ソファの横にはあたしの身体がすっぽり入りそうなほどの黒いアタッシュケースが鎮座している。持ち歩くには大よそ不便な代物である。
「あの中には全てが在る。魔女を魔女たらしめんとする全てが」
「つまり?」
「わたしの世界を彩る七つの遺産」
「つまり?」
「お泊りセットよ」
最初から素直にそう言え。
「いや、てかお泊りて!シアはあたしが看てんだから必要ないわよ!」
「強欲。貴女が口にしているものは何かしら。幾度もその恩恵に預かったのは誰かしら」
この女。連日自主的に料理を振る舞ってくれていたと思ったら、今日この日のための布石か。
「大体、あんたが泊まってどうするのよパンドラ。シアはぜんぜん手がかからないんだからあたし1人で十分なのよ」
「……観測者の事はわたしに任せて欲しいわ。この崩滅の魔女さえ居れば全て事足りる。だから安心して己が世界へ帰りなさい」
「はぁー!?何言ってんの何言ってんの!?あ、あんた自分が看病したと偽ってシアの好感度爆上げしようって魂胆でしょ!ねぇ!ちょ、こっち見なさいよ!!」
このくそ女。パンドラはあたしとは目を合わさず、鼻歌を歌いながら黒猫にご飯をあげてる。てかおい黒猫。『美味』の旗を振るな。この女を調子に乗らすな。このままではあたしのスローライフが滅ぼされる。くそう、罵詈雑言で追い出したいところだけど、実力行使されたらとてもじゃないが敵わない。だからこそのこの余裕。シアの世話は姉たるあたしの役目だ。唸りながら睨み付けてみるも、パンドラは意に介さず上機嫌な様子だった。
水色のドレスを着て、その上に白いヒラヒラのエプロンを羽織るシアはそのまんま不思議の国のアリスに見えた。シアが起きないのをいいことにパンドラが着せ替えたのだ。似合いすぎてる。小鳥やリスなどの小動物に囲まれて、その中で規則的な寝息をたててる不思議の国のシア。童話世界が飛び出してきたかの光景に、パンドラは大いに満足げな笑みを浮かべて写真を撮った。ネコ達がレフ版を掲げて撮影を手伝っていたので、あたしもついでに撮影会に参加した。これは良い写真になる、という確信。
撮影会が終わったタイミングでパンドラに帰宅を促してみたが、完全に聞く耳持たず、今度は椅子に座ってスケッチを始めた。居座る気満々である。トコトコ近づいてスケッチブックを覗いてみれば、沢山の洋服が描かれている。そういえばこいつは服飾店を経営していたはず。仕事熱心な事だ。
「……それは……おにぎりじゃない……」
またシアの変な寝言。一体どんな夢を見ているのか。あたしは慣れたものだが、パンドラは面を喰らって肩をビクつかせた。すかした態度のこの女が驚くのは見ていて面白い。パンドラは首を傾げながらスケッチを続ける。口元をむにゃむにゃさせてるシアを見ていたら眠くなってきた。ベッドに居座る小動物をぽんぽん退けていき、あたしはシアの布団に潜り込む。変な女が一匹増えたけど、静かにしてくれるなら滞在を許そう。涼しい風が額を撫でて、次第に瞼が重くなっていく。
「……永き眠りの観測者。その夜に終わりは来るのかしら。その夢に果てはあるのかしら」
「んぅ?えーっと……、どのくらい寝るのかって事?今日で三日目だし、心配しなくてもそろそろ起きるわよ」
「そう……、覚醒の刻は近いのね」
寝る寸前で話しかけられた。おのれ。妹を心配してくれるのは嬉しいがちょっとは空気読んでほしい。パンドラはあたしの答えに満足したようで、表情ゆるやかにスケッチを続ける。邪魔されたあたしは顔を顰めて目を瞑る。額にカメが乗った感触。なぜ乗る。でもひんやりして気持ちいい。
「……たった独りで子鬼の群を滅ぼしたと星が告げたわ。立ち会ってみたかった、その舞台に」
こいつ。今日はやけに口数が多くてめんどくさい。もしかしてシアの家にお泊りが出来るのが嬉しくてはしゃいでるのか。あとで付き合ってあげるから今は静かにしてほしい。
「……あたしも、シアの活躍見れなかったのよ。腕を切られて気絶しちゃってね、起きたら全部終わってたわ」
そう、あたしはシアの活躍を何一つ見ていない。治療院で目覚めた後、トムさんから経緯を聞いたがあまりにも意味不明だった。湖の上に騎士団が現れて、シアがロボになって暴れ、5階層クリアした。なんじゃそりゃ、である。トムさんは始終ロボの話で興奮していてヤバい人になっていた。説明を聞く相手を間違えたと悟り、他に誰かいないのかと尋ねたが、チンピラはボスの自爆攻撃に巻き込まれて死に、子分どもはあたしを放って帰宅していた。碌なのがいない。ゆえにあたしにも詳しい事は分からない。そう、パンドラに説明すると、残念そうに眉を下げて「そう」と呟いた。
「起きたら本人に聞けばいいじゃないの。まぁ、シアは説明下手っぽいからわけ分かんなくなるかもだけど。後、シアがすややかに寝てるんだから、静かに」
パンドラは頬を緩めて頷き、あたしはひとつ鼻を鳴らして眠りに集中する。こいつはシアの事を持ち出せば従順になるのだけど、そのシアに対する好感度の高さは一体なんなのか。
「……5階層、探索者への洗礼。わたしも呼んでくれれば駆け付けた。そうすれば全てを塵に還したわ。全てを虚無へと還したわ」
「あァァァもう!うるさいのよ!あたしも寝るの!呼んでくれればって言うけど、絵にかいたようなクソ真面目のシアなのよ!?どうせ友達を利用するみたいで嫌だとか言うに決まってるわ!自分の能力にすら遠慮するような子なんだから!」
「……ふふっ」
「喜んでんじゃないわよ!!静かに!穏やかに!静寂に身を委ねたいの!」
ニマニマと笑うパンドラに背を向けて、あたしはギュッと目を瞑る。眠いのだ。とにかく眠いのだ。目覚めたら夕方がベスト。ご飯を食べて、お風呂に入ってまた眠る。それ即ち至福。
「キュ!」
ウサ丸が短く鳴いて、次いでリンリンとベルの音。このタイミングで来客である。いやだ。寝たい。パンドラは鼻歌を歌いながら絵を描いていてスルーする腹積もりらしい。シアの隣で耳を塞いでいたあたしを、白い犬が首根っこを掴んで放り出した。扱いが雑。あたしはため息をついた後、渋々玄関へ向かう。
「かっ!かわいい!!シアちゃーん!シーアちゃーん!」
寝室に入った瞬間にエステルがベッドにダイブした。布団の上から抱き着かれたシアが苦しげに唸る。かわいそう。エステルはパンドラに目もくれないが、パンドラは真顔でベッドの二人を眺めてる。こわい。
あたしは寝室の入り口で立ち尽くし、頭を抱えた。こいつらのどっちかだけなら、まぁいい。シアの姉としてそれぞれに挨拶にいったし、シアグッツを渡せば従順だ。でも、揃った。端的に言って最悪である。シアの家なのに、気分的には迷宮最下層に足を踏み入れたような心持。玄関先でシアの状態と経緯を説明したはずなのに、エステルは遠慮のえの字も無いくらいにシアをもみくちゃにしてる。
「強欲。この静謐なる世界に発情期の犬が乱入してきたわ」
「ん?もうすっかり夏だね!夏虫の不快な鳴き声が聞こえる!」
やめようよ。たった一言で部屋の空気を地獄にするのやめようよ。パンドラの台詞が何故か白い犬にも刺さったみたいで、悲しげな目をして部屋の隅に移動した。超可哀想。地獄のイカレ女共は真顔で見つめ合ってる。あたしはエステルに一生懸命帰るように言ったのに、後日出直すように懇願したのにまるで話を聞きやしない。ゆえにこの惨状。
「こ、ここはシアの家なのよ……?」
あたしのうわずった声が悲しく響く。二人はジッと光の無い目でお互いを見たまま微動だにしない。夢世界の動物たちは空気を読んで、パンドラ軍、エステル軍の2つに分かれて睨みあいをしてる。ぜんぜん空気読んでなかった。
「話はパニカちゃんから聞いたよ?わたしがシアちゃんの看病するよ。だから崩滅は帰ってどうぞ」
「……後から来て何を言うのかしら。貴女が看病?逆に変な病気を移しそう。人知れず孤島で土に還って欲しいわ」
エステルの顔が引き攣った。勘弁してほしい。提灯通り崩壊の日が脳裏に浮かび、自然に足が震えてくる。あの時は結界越しだったから良かったものの、今は何の守りも無い丸腰だ。
「……ちくわが……ちくわが生えてきました……」
シアの変な寝言が静かな部屋に響き、二人の動きがぴたりと止まった。
「いや……です。ちくわは、嫌だ……」
シアがしくしく泣きはじめる。本当にどんな夢を見てるのか。一体ちくわに何をされた。一瞬で重い空気が霧散して、二人の頬がゆるゆるになった。エステルがシアを丁寧に寝かせ、パンドラが崩れた布団を直していく。そしてお互い目を合わせて、ふふ、と笑った。なんだこいつら。あたしには想像もつかないようなこの奇妙な関係性に、内心頭を抱えながらも肩の力を抜く。とりあえず危機は脱した。
殺し合い寸前だった空気が払拭され、さあ惰眠を貪ろうというあたしの思いは意外な方法で阻害された。エステルがお土産を持ってきたのだ。
「こっ、これコケ・コーラじゃないの!何で!?缶もそのままだし!え、もしかしてこれハナハナちゃんの能力で!?」
「そうだよ~。鈴蘭商店街に『ハナハナマート』って店が出来たからパニカちゃんも行ってみるといいよ?お菓子も豊富だし、カップメンもあったよ?」
「懐かしいわ。最初の世界の味。チープで、甘すぎて、とても美味しい」
ハナハナちゃんは過去に一度でも触れた事のある物を、お金を対価に召喚する能力を持っている。【創造】と本人は言っているけれど、【即席通販】という名前の方が似合ってる気がする。何も無かったシアの部屋に勝手に絨毯とローテーブルが置かれ、そのテーブルの上には昔懐かしい前の世界の食べ物が山盛りに積まれていた。これは眠ってる場合じゃない。コケコーラをキュッと飲み干すと胃まで痺れる爽快感。エステルは延々とチョコを口に放り込んでいて、パンドラは駄菓子を好んで食べていた。
ついでにいえばエステルがあたし達に無料で振る舞う訳がなく、シアの家のお泊りの対価である。家主に無許可な挙句に、シアはパンドラの料理もエステルのお菓子も食べてない。なんだか不憫な気がするけど、まあいいか、と思考の外に追い出して、あたしはポテトチップに集中した。甘味は世界を平和にする。切っ掛けひとつで魔界になるけど、砂上の楼閣だとは分かっているけれど、でも今はこの平和を謳歌したい。夢の動物もちゃっかり同伴に与かっていて、動物好きらしいエステルはせっせと餌をあげている。
「直に夜がやってくる。ディナーの希望は在るかしら。折角の機会だもの」
「んぅ?パンドラの料理だったら何でもいいわ」
「へぇ、崩滅は料理できるんだね?わたしはニンジン抜きならなんでもいいよ?お肉とか好きかな」
「任せてちょうだいな。鮭のムニエルとスープ。後はニンジンのグラッセを添えましょう」
さらっと嫌がらせである。
「でも崩滅の料理って大丈夫?なんか混ぜ物しそうで怖いんだけど。トカゲとか髪の毛とか入ってない?食べると呪われそう」
エステルが反撃に出た。
「安心なさいな。普段残飯しか口にしてない野良犬なら天に召すほどの食事を味わえるわ」
「それ毒入ってない?ねぇ、わたし一番風呂貰っていいかな。こんな毒虫の後じゃお湯が毒沼になっちゃうよ」
パァンッ、とあたしが持っていたポテトチップが弾けた。重圧で負荷がかかったらしい。勘弁しろ。なんでそうギスるのか。もしかして今日は延々とこうなのか。仮初の平和が刹那に終わった。
「……殺人鬼の後?笑えない冗談ね。湯船に見知らぬ他人の臓物が浮かんでいるかもしれないのに」
「見知らぬ他人?変なの。浮かぶとしたら崩滅の身体くらいだよ?」
「切る対象を選ぶ知性があったのね」
ゴトッ、とローテーブルが真っ二つになってお菓子が流されていく。
「こちらを向いて息をするのを控えてもらえるかしら。血の臭いと野良犬の臭いが混ざって昏倒しそう。奈落の臭いがするわ」
「何言ってるの?普段おトイレでご飯食べてる崩滅は純粋にトイレ臭いよ?」
ボッ、と音をたててお菓子が灰になっていった。もうこいつら嫌だ。シアさえ起きてれば何とかしてくれるのに。
ベッドの方に目を向けると、涙目で口をあわあわさせてるシアと目が合った。震えながらエステルとパンドラを交互に見て、スヤリと目を閉じた。おのれ。完全なる寝たふり。
「ねぇ、そもそも何でここにいるの?いつも魔女を自称してるんだから魔女狩りに合わない様に山奥に引きこもれば?良かったね!異世界でも引きこもれるよ?やったじゃん!」
エステルがにっこにこ笑顔で拍手し始めた。一方パンドラは微笑みながらそれを見ているのが一際不気味。動物たちは帰還し始め、シアは冷や汗をかきながら寝たふりを続けてる。こいつらはシアに懐いてるから、たぶんこの家を壊すような事はしないだろう。そう、心から願い、あたしは布団に潜り込んだ。もう知らない。知ったこっちゃない。そもそもこの二人はあたしの手には負えないのだ。シアの近くにいれば多分安全だと微かな希望を胸に、ぎゅっとシアにへばり付く。
寝たふりを続けていたら、いつの間にか本当に寝入ってしまい、目が覚めた時には既に夜だった。窓からは月明かりが射しているというのに部屋には明かりがついていない。暗がりの中を見回すと、ベッドには震えるシアが膝を抱えて座っていた。
部屋の中心には血まみれの死体が二つ。いや、死んだら教会に送られるはずだから生きてはいるのだろう。よく見れば空のポーション瓶がいくつも転がっている。
「……殴り合い、でした……。ずっと……ずっと」
シアのか細い声が胸に突き刺さる。寝起きにとんでもないものを見せられたシアに同情の念が尽きない。あたしはそっと頭を撫でて慰める。
「シア……、うちに来る……?」
こくん、とシアが頷いて、血が飛び散っている陰惨な部屋を二人で脱出した。玄関の外に出て安心したのか、よっぽど怖いものを見たらしいシアが声を上げておいおい泣いた。そっと背中に手を添えて、怖いものなんかないあたしの小さな家に連れて行く。お風呂に入って、ご飯を食べて、そして積もる話をしよう。この不憫な妹の心はあたしが守るのだ。




