39話 謎のメンバー
カイとマモルは捕獲した黒パーカーのリトと共に、閉じ込められていた異空間から解放され、誰もいない公園に戻ってきた。
「あっ! カイくん! マモルく……ん?」
「2人とも何処行って……眼鏡! その髪型どうした!?」
元の世界に戻ってきた3人を、カイの友人であるジェイとダイキが出迎える。
マモルは激しい炎で戦ったことにより、髪型はオールバックに変化していた。2人は唐突に変化したマモルの髪型に戸惑う。
「マモルくん、なんで唐突に髪が……」
「眼鏡! そっちの髪型の方がイカスじゃねぇか! 今後はその髪型で学校来いよな!」
「学校は真面目に過ごすところだ。だから俺は今後も真面目眼鏡で登校するつもりだ」
「頭が固てーなぁ眼鏡はよぉ!」
「そんなこと話してる場合じゃないよダイキくん! 2人とも唐突に消えたけど大丈夫だった!? その黒パーカーの人とはどうなったの!?」
呑気なダイキを押し除け、真面目な丸眼鏡のジェイはカイとマモルを心配する。
「ジェイ安心してくれ! もう解決した!」
「えっ、もう!?」
「それより! オレ達が消えた後、そっちはどうなってたんだ?」
「えっ? えーと……目の前でカイくんとマモルくんが消えて……それで、今携帯を取りだして警察を呼ぼうとしてた所なんだよ!」
「ん?」
ジェイの発言にマモルは違和感を覚える。
「もしかして……俺達が消えてからそんなに時間は経ってないのか?」
「1分も経ってないよ!」
「なるほど、異空間との時間差か……」
どうやらカイとマモルが異空間で過ごした時間は、現実ではほんの数分の出来事だったらしい。
「ジェイ、ダイキ、安心してくれ! リトのことはオレ達がどうにかしておくから!」
「カイくん、本当に大丈夫なの……?」
「リトを何とかしてくれそうな人に心当たりがあるんだ! と、いうわけで……今日のところはここでお開きってことで!」
先程起こったことやリトのことを何とかする為、カイはここでジェイとダイキと別れることにした。
「お開きって……カイくん、本当に大丈夫……?」
「ジェイ、心配し過ぎだぜ? 黒パーカーはぐったりしてるし、とりあえずは大丈夫そうじゃねーか?」
ダイキはそう言いながら、カイの足元でぐったりしている黒パーカーのリトを見つめる。
「うーん……分かった。もし何かあったらすぐに警察に知らせてね」
ダイキとジェイはとりあえず納得し、公園で解散となった。
「カイくん、マモルくん、じゃあね」
「カイ! 眼鏡! また明日学校でな!」
「うん! また明日!」
ジェイとダイキはカイとマモルに手を振りながら公園から立ち去る。
「さてと……ヴィオさんに連絡するか」
「マモル、頼んだ!」
「任せとけ」
ジェイとダイキと別れた後。カイとマモルはそのまま人のいない公園に残り、携帯電話でヴィオと通話を始めた。
「ヴィオさん、こんばんは。今お時間よろしいでしょうか…………はい、実は……」
マモルは携帯電話を通して、黒パーカーのリトについて、そして異空間で起こったことを手短に伝えた。
「はい……ありがとうございます。では」
全て伝え終えたマモルは通話を終え、携帯電話を鞄にしまう。
「……メイドのフィオさんを迎えに寄越してくれるらしい。ここで大人しく待つように、とのことだ」
「分かった! そうだ、その間に家に連絡入れとかないと!」
「そうだな……」
家族に通話しようとして、マモルはふとリトに目を向ける。
「ん? これは……?」
「マモル、どうし……ん?」
マモルにつられてカイもリトに目を向け、リトに起きた変化に2人は思わず目を見開いた。
「あっ! リトの髪が!」
「色を失っていく……!」
リトの明るい黄髪が目に見えて暗くくすんでいく。
やがて毛先に僅かな黄色を残し、リトの髪は元の黒髪に戻ってしまった。
「リト、その髪は……」
「……時間切れだよ」
「時間切れ……?」
マモルの質問に、リトは妙な発言をする。
「……僕、薬の力で能力を強化したんだ」
「!?」
リトの発言にカイとマモルは驚く。
「薬って……! 能力を強くする薬なんて聞いたことないぞ!?」
「カイ、声を落とせ。リト、その話は本当か?」
「ほ、本当……僕……」
「おっと、その話はここではよしとけ」
リトが薬について言及しようとしたその時、この場に新たな人物が姿を現して会話を中断させた。
「よー。お前達、待たせたな」
「フィオさん!」
「姉御!」
カイとマモルの前にメイドのフィオが姿を現し、いつもの調子で挨拶をする。
「とりあえず全員で移動するぞ。私に近付け」
「分かりました!」
フィオはすぐさま能力を発動し、この場にいた全員を瞬間移動で転移させた。
移動した先は、ヴィオの所有地であり修行場である何もない広い土地。
そんな土地の真ん中で、いつになく真面目なヴィオの姿があった。
「ヴィオさーん!」
「お2人とも、ご無事で何よりです」
カイとマモルはヴィオに駆け寄り、これまでの経緯を改めて説明する。
「……と、いうことなんです」
「薬で能力を向上、そして宝石から妙なゴーレムですか……」
「マモルの炎が全く効いてなかったんだ! 全力の炎でようやく倒せてたみたいだけど……」
「能力が効かないとは……確実に普通のゴーレムではありませんね。あの、リトさん」
「は、はい……」
ヴィオの声かけにリトは弱々しい返事をする。
「ゴーレムの実物は手元にありますか?」
「も、持ってます……もしものために、幾つか手元に残していて……」
リトはポケットを探り、ひとつの宝石を取り出した。
「これは……!」
リトの手のひらに載せられた宝石を一目見るや、ヴィオの眼光が鋭くなる。
「……これを何処で?」
「えっと……花束持った人から貰った……黄色い髪で、毛先がオレンジ色の……」
「……」
リトから容姿を聞いたヴィオは更に表情を険しくして口を固く閉ざす。
「あ、えっと……他にも人がいて……」
怖い顔をして無言になったヴィオにリトは恐れをなしたのか、犯人について更に言及していく。
「黒髪の地味なやつと、怖いチャラ男みたいなやつがいて……あと、髪が長いやつがいた気が……」
「……」
髪が長いやつと聞き、フィオが僅かに反応を見せる。
「あ、後は……ええっと……そうだ! あの人達……あのゴーレムを引き連れて街に繰り出すとか言ってた……! ゴーレムを街に放って遊ぶって……!」
「街!?」
リトの言葉に、その場にいた全員は三者三様の反応を見せる。カイは驚き、マモルとヴィオは表情を強張らせ、フィオはリトに視線を向けた。
「リトさん。とりあえず、薬やゴーレムを渡してきた彼らとの出会いについて簡単に話してもらえますか?」
「わ、分かりました……」
ヴィオの真剣な物言いにリトは頷き、これまでの経緯について少しずつ話し始めた。




