日常37 行き倒れ。フラグ建築士からのフラグ回収士
さて、儂がフラグ建築士だなんだと言われた翌日の放課後。
儂は、とても困惑しておった。
「……あー。なるほど、そう来たか……」
くぅ~~~~~。
そんな可愛らしい腹の音を鳴らす人物を見て、儂は本当に困惑した。
「……」
現在、儂の目の前にはうつぶせになって学園の廊下で倒れている一人の女子生徒がおった。
汚くないのじゃろうか。
「…………一体、何をしておるのじゃ、ましろんよ」
さすがにこのまま放置、というのもあれじゃったので、声をかけてみる。
「……その呼び方、まひろん?」
すると、顔だけが横を向いた。
「うむ。して、おぬしは一体何をしておるのじゃ? いや、先ほどの音を聞けば想像はつくが……」
「……空腹」
なぜ廊下で倒れているのかを尋ねると、たった一言の簡潔なセリフで理由を言われた。
まあ、腹が鳴っておったしな。
「……おぬし、ちょこちょこ行き倒れてはおらぬか? しっかり食べておるのか?」
「……食べてる。でも、空腹。あと、今日はお昼、食べられなかった……」
「何をしておるのじゃ……」
昼食を食べていないというましろんに対し、儂は呆れた。
今日『は』、と言うが、割としょっちゅうこうなっておる気がするのじゃが……。
実際、初めて会った時を含めれば、これで二度目じゃし。
「……まひろん。食べ物、ない?」
「生憎と、今は持ってはおらぬ」
「…………役に立たない」
つまらんやつだ、みたいな目をしながらましろんはそう呟いた。
ふむ。
「おぬしがそう言うのであれば、儂はおぬしを放置して行くからな」
「……冗談。親友は大事。救援を求む」
仕返しの意味を込めて言うと、ましろんは慌てたように救援を願ってきた。
「冗談じゃ。まったく……昨日の今日でこうなるとはのう……」
「……昨日?」
「あぁ、気にするでない。こっちのことじゃ。ほれ、立てるか?」
「……不可能。私、空腹で動けない」
「はぁ……仕方のない奴じゃのぅ」
周囲を見回し、特に人がいないことを確認した儂は、カバンの中から別の今穿いておるスカートとパンツとは別の二着を取り出し、その場で着替えた。
周囲に人がいなければ問題なし。
この二着はそれぞれ尻よりやや上に穴が空いておる。
これは、尻尾穴じゃ。
ふむ。この場合は、狼でよいか。
『獣化』を使用して、狼に変身。
すると、嗅覚と聴覚が鋭敏になり、いつもよりも力が漲るような感覚が、儂の体を巡る。
成功じゃな。
「ほれ、ちと抱えるぞ」
「……おー。軽々」
「呑気なもんじゃな」
こやつは相変わらずのようじゃ。
「ほれ、とりあえず生徒会室に着いたぞ」
「……感謝感謝」
「ほれ、さっさと注文するのじゃ」
「……お金、忘れた」
「まさかおぬし、財布を忘れたから食べられなかったのか?」
「…………ん」
少しの間の後、ましろんは机に突っ伏したまま小さく頷いた。
なるほどのう……。
「仕方ない。儂が代金は出すから、注文してよいぞ」
「……ご飯!」
ガバッ! と勢いよく起き上がるましろん。
無表情ではあるものの、目は爛々と輝き、口からは微妙に涎が垂れておった。
「うおっ、急に起き上がるでない。ほれ、さっさと注文せんと、奢らんぞ」
「……ラーメンと半チャーハン、あととんかつ定食に唐揚げ五個」
「よく食べるのぅ……。その体のどこに入るんだか」
「……ごっ飯、ごっ飯!」
「そう急かすでない。すぐに注文する」
やれやれと肩を竦めながら、儂は生徒会室に備え付けてある、学食専用の電話で注文を済ませる。
こう言うところは、本当に便利じゃな。
っと、そう言えば紹介がまだじゃったか。
今儂の目の前におるのは、この学園の生徒会長の氷鷹真白じゃ。
こやつとは、去年の九月頃からの仲で、割かし仲が良い。
上級生では一番じゃな。
容姿としては、十分美少女と評されるほどに整っておる。
肩口ほどくらいの長さの艶やかな銀髪に、深海のように深い蒼の瞳。
ふっくらとした桜色の唇。
背は140センチ後半と小さめ。発育は……まあ、背丈にしてはやや胸はある。本人の名誉の為に言うが、ぺったんこではない。
普段から無表情であり、尚且つ背丈通りの童顔であるため、精巧に作られたビスクドールのような容姿をしておる。
まあ、ロリっぽいんじゃがな。
ちなみに、こやつが銀髪なのには、ちと理由があるが、その辺りは割愛。その内ということで。
儂らは出会った最初の頃は、今ほど仲が良くはなかったが、ある程度接していくうちに、今のような状態となった。
その結果、お互いの名前が似ているということで、それぞれ『ましろん』『まひろん』と呼び合っておる。
あと、ましろんは敬語をあまり好まないので、儂らは同い年のような砕けた口調となっておる。個人的に、普段通りで話せるのは楽でいい。
「…………ん、まひろん、縮んだ?」
じーっと儂を見つめておったましろんは、首を傾げながら儂の姿を見てそう呟く。
「いや、縮んだどころではないような気がするのじゃが」
縮んだどころか、性別が変わっておるのじゃがな。
「……タイ行った?」
「なぜそうなる」
「……性転換、してるから?」
「性転換したのは間違いではないが、これは『TSF症候群』じゃよ。三月の終わりごろに発症しての。まあ、こんな姿じゃ」
というか、タイではガチもんの性転換手術ではないか。
あっちは人為的。儂のは天災的なものじゃ。
「……なる。まひろん、可愛くなった」
「そうか? 何せ、この姿は儂の理想じゃからのう」
他がどう思うかは知らんがな。
少なくとも、儂と関りのある者たちは可愛いと思っておるようじゃが。
「……まひろん、ロリコン?」
「儂がこの姿が理想と言うと、必ずと言っていいほど言われるが……儂は断じて、ロリコンではない」
「…………そう。性癖は、人それぞれ」
「おぬし、絶対信用しておらぬな?」
「……まひろんは信用してる」
「そうか。ならいいんじゃがな」
どうにも感情が読めん。
いや、付き合いもそこそこじゃから、ある程度は理解できるんじゃが……どうにも、のう。完璧には読み切れぬ。
そのため、こうして信用してると言われても、それが本心なのかがわからない、というわけじゃな。無表情からのう……。
『はいよ、ラーメン、半チャーハンに、とんかつ定食と唐揚げね! 千五百円だ』
不意に生徒会室の扉が開き、学食のおばちゃんらしき風貌の女性が入ってきた。
手には、出前などでよく見かける銀の箱がぶら下がっておった。
「相変わらず学食のデリバリーは早いのう。ほれ、千五百円」
『毎度ありがとうね!』
ここの学食のデリバリーは本当に速い。
注文してから生徒会室まで、約五分以内で届く。
勉強部屋の方はベルトコンベアなんじゃが……なぜ、人力なのじゃろうな、ここは。
「ほれ、食え」
「……感謝! いただきますっ!」
受け取った料理を、ぐでーっと机に突っ伏すましろんの前に置くと、飢えた獣の如き速さの動きで料理を食べ始めた。
おぉ、いい食いっぷりじゃのう。
……にしても、この小さな体のどこにこれだけの料理が入るのじゃろうか。
「もぐもぐ……美味しい」
「あー、ほれ。口元に米が付いておる。こっちを向け」
綺麗な所作ながらも、ものすごい勢いで食べていくましろんの口元には、米粒が付いておった。
スカートのポケットからハンカチを取り出すと、儂はそれを拭う。
「……まひろん、嫁?」
こてんと首を傾げて、儂が嫁だと言ってきおった。
「嫁ちゃうわ!」
くそぅ、なぜ儂はこうも嫁扱いされるのじゃろうか……。
特段、そう思われることはしておらんような気がするんじゃがのう……。
「……でも、まひろん嫁力高い」
「のう、その嫁力という言葉は、女子の間で流行っておるのか?」
「……さぁ。わたし、まひろん意外に友達がいないから、わからない」
「…………なんか、すまん」
こ、心が痛いのじゃが! 友人が儂以外にいないのは辛い!
「……構わない。まひろんがいるし」
「そう言ってくれるのは嬉しいが、それでは学園を卒業した後、友人がいないと思うのじゃが。寂しくはないのか?」
「……別に。前の生活に戻るだけ。あと、まひろんは私を見捨てないと信じてる」
「そうか」
それはそれで問題だと思うんじゃが……まあ、本人がいいと言うのであれば、別に問題はない、のか?
いや、友人がいないのは問題じゃな。うむ。
「おぬし、生徒会メンバーとはどうなのじゃ? 少なくとも、一年の時から生徒会に所属しておったのじゃろ? ならば、その時から同じの者とか……」
「……仲が悪いわけじゃない。でも、友達、と呼ぶには少し……違う」
「む、なんじゃ。煙たがられておるのか? おぬしは」
ほんの僅かに気落ちしたような様子で話すましろんが気になり、思ったことを尋ねてみる。
「…………副会長、私を見るなり撫でまわしてくる」
「……あぁ、なるほど。それで困っておる、というわけじゃな」
「……ん」
若干嫌そうな表情でこくりと首肯。
なるほど、生徒会にもそのような者がおる、というわけじゃな。
「わかる。わかるぞ、その気持ち」
「……まひろんも、撫でられる?」
「まあ、ちとな。あやつも、儂のことをずっと抱っこしようしたり、撫でたり、襲おうとしてくるからのう……」
瑞姫とか特にな。
美穂も最近は混ざってくるし、何かと酷い。
…………ふと思ったのじゃが、アリアがあそこに混ざるとなると……儂、もしや死期が早まるのでは? 三対一とか、勝てる気せんぞ? 儂、死ぬよ? あのレベルのことを三人がかりでされるとなれば、儂死ぬぞ?
……ま、まあ、今更増えるようなこともあるまい。きっと、アリアで打ち止めなはずじゃからな!
「……襲う? まひろん、襲われる?」
「うむ、襲われるな」
「…………相手、男の人?」
「なぜそうなる」
「……TSしてるから。相手は、男の人、なのかと」
「それでは精神的BLじゃろ。いや、儂は別段気にはせんが……」
「……ま、まひろんは、同性愛者っ……!」
「…………正直、今の姿であれば、あながち間違いと否定できんのがのう……」
これでも、女なわけじゃからな。
で、結果的に旦那……ではなく、嫁が三人できたわけで、傍から見れば同性愛者に見えるからのう。
……いや、儂の場合、ただ姉たちに囲まれている妹、というような感じな気が。
背、低いからのう……。
「……ごちそうさまでした」
「早いな」
「……腹八分目」
「嘘じゃろ……。あんだけ食べておいて、腹八分目とか……。相変わらず、大食漢じゃのう」
「……普通」
「いや、おぬしは結構食べるからな? あれを普通と言うのは、いささか問題があるからな?」
ラーメン、半チャーハン、とんかつ定食、唐揚げ五個も食べてることを普通だと言うのならば、世界中のほとんどがぶくぶくに太っておるよ。
……にしても、こやつはよく食う割には、あまり太らんな。
ついでに、
「背も伸びないのじゃな」
「……心外。これでも、二センチ伸びた」
「じゃとしても、百四十後半程度ではないか」
「……問題ない。まひろんに勝ってるから」
ふふんと、軽く胸を反らす。
うーむ、外見も相まって、子供のようじゃな。
「年下、それも発症者と比べてものう……」
そもそも、土俵が違うと思うのじゃが。
「……んー」
「む、どうしたのじゃ、ましろんよ」
「……考え事。それにしても、まひろん。縮んだ」
「まあ、そうじゃな。今では、百二十センチ後半程度じゃからな」
「……私よりも、二十センチ低い。勝った」
「そこで勝ち誇られてものう……」
「……勝ちは勝ち」
読めぬ性格じゃな。
こやつ、外見だけ見ればクール系に見えるのじゃが、時たま変に子供っぽい面を覗かせるんで、なかなかに行動や言動が読み難い。
こやつの魅力でもあるのじゃが、どうにものう……。
「……そう言えばまひろん、なんでこのフロアにいたの? まひろんの階、下のはず」
「あー、仕事じゃよ、仕事」
「…………ま、まひろんが、仕事……? めんどくさがりで、内容によっては梃子でも動かない、まひろんが……?」
「それは言いすぎじゃ。ほれ、おぬしも生徒会長ならば知っておるじゃろ? 儂、今年度の図書委員長じゃからな」
「……そう言えば、資料で見た。同姓同名かと思ったけど、桜花なんて珍しい苗字、まひろん以外見たことないから、その時に理解した」
「ま、儂もそれは自負しておる」
桜花、などと言う名字は儂も他に聞いたことがない。
探せばおるかもしれんが、なかなかに、のう。
……というより、この苗字は名前だと思うんじゃがな。
「……それで、仕事は何? ここに来た、ということは、私に関係あるはず」
「正解じゃ。おぬしは、普段は割とポンコツっぷりを発揮するが、こと仕事になると、かなり頼りになるからのう。ほれ、仕事とはこれじゃこれ。書類の提出じゃ」
儂はカバンの中からA4紙十枚ほどの束を取り出し、それをましろんに手渡す。
「……あ、勉強部屋の運用承認書類。渡したの、昨日だったのに、まひろんにしては早い」
「言っておくが、儂は面倒ごとは早めに終わらせる質なんじゃよ。ほれ、不備はないか見とくれ」
「……ん、すぐに終わらせる」
儂がましろんに渡したのは、勉強部屋に関する書類。
現状、勉強部屋は解禁とはなっておるが、実はまだそうではない。
儂が委員長の仕事を教えられた翌日から、予約の受付は始まってはおったのじゃが、それは正式には五月頭からであり、四月に使えるわけではない。
その間に、生徒会の方から渡された、勉強部屋運用承認書類に図書委員長――つまり、儂がそれにハンコを押さねば、五月でも使用ができない、というわけじゃ。
で、今日はそれを持ち寄ったところじゃな。
ちなみに、美穂たちには仕事があると伝えてあるので、先に帰宅しておる。
アリアに関しては、未だバタバタしておるらしく、なかなか婚姻届を書く時間がないそうじゃ。まあ、結婚に関しては言ってあるそうなんじゃが。
今は、自分の家で暮らしておるそうじゃ。
「……ん、問題なし。確認できた」
パラパラと捲ること、約三十秒。
かなりびっしりと文字が書かれてあった書類じゃったが、ものの三十秒でましろんは確認を終えた。
「優秀じゃのう」
「……これくらい、朝飯前」
「おぬしの場合、昼飯後ではないか」
「……財布が勝手にカバンから出たのが悪い」
「子供のような言い訳じゃな」
「……子供じゃない。まひろんより年上だし、背も高い」
それを子供と言うんじゃが……まあよいか。
「さて、儂はそろそろ帰るとするかの」
「……もう行っちゃうの?」
儂がそろそろ帰るべく席を立つと、ましろんが寂しそうな声音でそう言ってきおった。
ふむ。珍しいな。
「まあ、家に待たせてる者がおるのでな」
しかし、儂とて家に誰もおらんわけではない。
美穂と瑞姫の両名がいる以上、さすがに待たせるわけにもいかぬ。
「…………おかしい。まひろんの家には、両親がいないはず」
「ぬ、なぜそれを知っておる」
「……ふっ」
「そのニヤッとした笑いが怖いのじゃが!」
「……問題ない」
「大ありなんじゃが!?」
こやつ、さてはストーカー気質でもあるな!?
いや、しかし、だとしても儂の両親について知るのは……って、そう言えば、出会った頃に話したような気が……。
「……まひろんが今思った通り、以前話してた」
「あぁ、そう言えばそうじゃな」
「……私特製、自白剤で」
「ちょっと待て! 自白剤? 今、自白剤と言ったか!?」
「……ふふふ」
「怖いわ!」
こやつ、とんでもないものを飲ませておったのじゃが!
え、もしかして儂、その時にとんでもないことを口走ってはおらんよな!? 怖くなってきたぞ!
などと、儂が内心で慌てふためておったら、
「……冗談」
とほんのわずかに口元に笑みを作りながら、そう言われた。
「…………おぬしの場合、冗談が冗談に聞こえん。できるなら、やめてくれ」
ほぼほぼ無表情で普段通りの口調で言うもんじゃから、本当に心臓に悪い。
もっと浮かべて欲しいものじゃな、表情を。
「…………本当は、ちょっと入ってたけど」
「む、何か言ったか?」
「……何でもない。気のせい。だから問題ない」
「そうか。では、儂はそろそろ……」
「……さっきの話、終わってない」
「どの話じゃ?」
「……家で待ってる人」
「……あー、まあ、あれじゃ。親戚じゃよ、親戚」
「…………嘘。まひろん、嘘を吐くとき、大抵『あー』とか『まあ』が付く。よって、嘘」
「くっ、鋭い……」
こやつは時々ポンコツになるが、洞察力は高い。
こうして、たまーに儂の嘘を見抜いたり、他人の嘘を見抜いたりなどがそこそこできる。と言っても、それなりの交友がなければできないらしいがな。
しかし、儂の場合はかなり交友があるため、バレるのも当たり前、というわけじゃな。
くそぅ。
「……それで、誰?」
「い、言えぬ! それだけは言えぬ!」
なぜかわからぬが、こやつに言うのは何かまずい気がする。
儂の第六感が、絶対に言ってはならぬと警鐘を鳴らしておるからな!
「……往生際が悪い!」
「おっと。さすが文武両道の優秀生徒会長! 動きが素早い!」
「……まひろんの運動神経が悪いだけ」
儂を捕まえようと、体を掴もうとしてくるましろん。
背が小さいため勘違いされがちじゃが、こやつの運動神経はかなり高い。
たしか、学園で開かれておるマラソン大会では、毎年一位と聞く。
儂なぞ、真ん中と最下位の中ほど。つまり、遅い。雲泥の差。
運ぶ際に『獣化』を使用してはいたが、運び終えた後はすぐに解除してしまったため、今は使用不可。
よって、現在の姿で避けなければならないわけなのじゃが……。
「くっ、やはり強い……!」
「……観念、して!」
「なぬっ!?」
近づき手を伸ばすのではなく、儂に向かって突進してきた。
背後にはソファーがあるが、このまま儂が避ければ怪我をさせてしまう恐れがある。
……よ、避けられぬ!
「わわわわっ……!」
ドサッ! と、そんな音を立てて、背後のソファーに倒れ込んだ。
しかも、ひじ掛けの方から倒れたため、ましろんに押し倒されるような形で仰向けに寝転がる。
「……捕獲!」
「離すのじゃー!」
「……拒否!」
逃げられないようにするためか、ましろんは儂の両手首に自身の両手を乗せて押さえつけて来た。
しかも、儂にのしかかるような形でもあったので、正直動けん。
この体は非力故……。
しかし、なんじゃろうか。この格好。儂がプレイしておった、TS百合が題材のエロゲにあったシチュエーションな気がするのじゃが……。
たしか、そのゲームでは、ヤろうとした時に、入り口のドアが開いて、
「まひろちゃん、忘れ物を届けに――」
そうそう、このような感じで、知り合いが入ってくる……って!
「み、みみみみ、瑞姫!?」
「……ん、誰?」
「ま、まひろちゃんが……まひろちゃんが!」
現在の儂の様子を見た瑞姫は、両手で口元を抑えながらわなわなと震えだし、そして……
「ふ、フラグ回収した上に、ロリっ子会長さんに襲われちゃってますぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
「ちょぉっ! おぬし、何をとんでもないことを言っておるのじゃ――――――――――――――――――――――!?」
とんでもない発言をし、儂は全力でそれにツッコんだ。
……どうなっておるのじゃちくしょーめっ!
どうも、九十九一です。
昨日出せなくてすみませんでした。まあ、眠かった。最近は眠すぎて辛い……。
さて、なんか早くも新キャラが出てしまいましたね。ロリです。合法の。いや、高校生だから非合法なのか。まあ、ともかくまひろ以外のロリキャラです。生徒会長です。銀髪なのは……まあ、ちゃんと理由があるんで、その内。別に、私の好みだから、とかじゃないですよ? 違いますからね?
明日も10時だと思いますので、よろしくお願いします。
では。




