アンゼルードキャラでクイズをして、正解者にSSをプレゼントしました!!
昨年末、活動報告でアンゼルードキャラ当てのクイズを出しました♪
彼らの名前を当ててください!
小さいので顔だけアップ
答えは、
1.リカルド
2.サイラス
3.キアリカ
4.シェスカル
5.デニス
6.リックバルド
7.ファナミィ
8.アイナ
9.エルドレッド
10.サビーナ
11.セヴェリ
12.レイスリーフェ
13.ルティア
14.プリシラ
15.シェルト
でした♪
なんと8名の方に回答頂き、そのうちの3名が全問正解!!
引っ掛かりつつ修正した雪乃さん
分からないところは推理で補った舞花さん
完璧な回答をしてくれた秋野さん
その方々には、好きなキャラでお礼SSを書かせて貰いました!
以下はSSになります。
アンゼルードシリーズのネタバレも含んでたりするので、嫌な方は飛ばしてくださいね。
最初は雪乃さんに捧げたデニスSSからです。どうぞ!
◆◆◆
「デニスさん!」
街の広場で彼を見つけてそう声を掛けると、デニスは嬉しそうな笑顔をこちらに向けて名前を呼んでくれた。
「よぉ、ユキノじゃねーか!」
その無邪気で眩しすぎる笑顔に、ユキノは目を細める。
ちょっと頭の方は頼りない人物だが、彼ほど純真な男は他にいないだろう。ユキノはそんなデニスの魅力に取り憑かれてしまった一人である。
「何してるんです?」
「ちょっとそこの宝石店までな」
「宝石? 何を買うんですか?」
「懐中時計なんだ。あ、ユキノ、ちょっと選ぶの付き合ってくんねーか?」
「え?」
ユキノが答える前に、デニスは手を取って引っ張ってくる。その強引さに負けて、ユキノは宝石店へと足を踏み入れてしまっていた。
デニスは、上級学校でひとつ年上の先輩だった。
彼は上級学校の四年に進級出来ずにそのまま学校を辞めてしまったので、実質顔を合わせていた期間というのは二年だけだ。
それでもデニスは、ユキノの姿を見かけると当然のように声を掛けてくれる。まさか覚えていてくれているとは思ってなかったので、最初に声を掛けられた時は驚いたものだ。
彼曰く、「ユキノは俺と同じ匂いがする」んだそうだが、どういう意味だかは分かり兼ねている。
宝石店で女物の懐中時計を買ったデニスは、上機嫌で店を出た。ユキノは隣でデニスが選ぶ物をうんうんと頷きながら見ていただけだ。
「ありがとな、ユキノ! おかげで良いもん買えたぜ」
「私は何も……どなたかへのプレゼントですか?」
「ああ、好きなヤツにな」
好きな、ヤツ。
もしかしたら、そうかなとは思っていたけれど。
ユキノは驚くほど整っているデニスの顔を眺めた。
彼はその容姿と人懐こい性格で、結構モテる事をユキノは知っている。
「好きな人、出来たんですか?」
「おう!」
こういう事を臆面もなく言えるデニスが愛おしくて。でも同時に、とても不安で。
何故ならデニスは過去に付き合ってた女性とは、全員ひどい別れ方をしている。一番最近の話では、ずっと貯めていたお金を巻き上げられ、さらに逃げられてしまったのだ。結局その女は詐欺罪で逮捕されたのだけれど。
その事があってから、しばらくデニスは誰とも付き合っていないようだった。だから、彼が誰かをまた好きになれたというのはとても喜ばしい事なのだ。けれど逆に、また騙されてはいないだろうかと不安にもなる。
ユキノはこれ以上、デニスの落ち込んだ顔を見たくはなかった。
「大丈夫、なんですか?」
「あ? 何がだ?」
「その女の人……」
ユキノの言わんとする事が伝わったようで、デニスはこっくりと大きく頷いている。
「大丈夫だ! 何かを画策できるようなやつじゃねーし」
デニスが自信たっぷりに言っているので、ユキノは大丈夫かなと少しホッとする。
「ならいいんですけど……ちょっと心配だったので」
「俺はあんたの方が心配だぜ。悪い男にコロッと騙されんなよ?」
「私はそんな、騙されたりなんか……」
「そっかぁ? ユキノは、単純で人の言う事をすぐ信じちまうからなー」
「っう!」
デニスの言い分に反論出来ず、ユキノは口を噤んだ。デニスはそんなユキノの頭をガシガシと撫でつけながら「あんたは俺と同じ匂いがすっから」と笑う。
ユキノは頭に置かれたその手が嬉しくて、デニスに隠れるように下を向いてそっと笑った。
「ああ、そうだ。これ、今日付き合ってくれた礼!」
デニスの手の中にはいつの間に買ったのか、一対のイヤリングが乗っていた。ユキノは目を丸くしてデニスを見上げる。
「こ、これ、真珠!? 何にもしてないのに貰えません、こんなの!」
「小さい粒だし、そんな高くねーよ。レジの近くに無造作に置いてあった、セール中のやつだぜ」
「で、でも……っ」
「良いからつけてみろって。ユキノには真珠が似合うと思って買ったんだからよ」
それでも渋るユキノにデニスはすぐに痺れを切らし、真珠のイヤリングを耳につけてくれた。頬に触れる手がくすぐったくて、首をすくめるようにして彼を見上げる。
「ほらな、言った通りだろ! ユキノには真珠がめっちゃくちゃ似合ってるぜ!」
デニスは自分の買い物に大満足と言った様子で、嬉しそうに並びの良い歯を見せて笑っている。屈託のない笑顔を見せられると、ユキノも釣られて笑うしかなかった。
「じゃな、ユキノ! 変な男に引っ掛かんねーよーにな!」
そう言ってデニスは、買ったばかりの懐中時計を握り締めて通りを駆けていった。
ユキノはその後ろ姿を見送りながら、少し困ったように一人呟く。
「変な男になんて、引っ掛かるわけないじゃないですか」
ましてや、好きになった人に騙されるような事など、有り得るわけがないというのに。
ユキノは誰よりも純真な男の背中を、やはり少し苦笑いで見つめていた。
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ちょびっとだけ切ない感じでw
とっても喜んでくれたので、満足です♪
では次は、舞花さんに捧げたサビーナSSです!
◆◆◆
「こんにちはー!」
カランと扉につけられた鐘が鳴って、その人は入ってきた。
深い緑色の髪を持つ、まだ若い女性だ。
「あら、サビーナ。いらっしゃい」
「マイカさん、ちょっとお願いがあるんですが、いいですか?」
「え? 何かしら」
このクスタビ村にマイカがカフェを開いて、半年経過した。サビーナは週に一度は顔を出してくれる常連である。
「実は今度の日曜、ラーシェさんの誕生日なんです。みんなでお祝いしたいんですが、マイカさんも手伝って貰えませんか?」
ラーシェというのはサビーナの友人で、彼女もまたこのカフェの常連客だ。
「まぁ、ラーシェの誕生日だったのね。それは腕によりをかけて、美味しいものを作らないといけないわね」
「マイカさんならそう言ってくれると思ってました! よろしくお願いします!」
サビーナは元気に頭を下げると、ラーシェの誕生日の打ち合わせをして帰って行った。
彼女が帰った後、客の居ない間を見計らって、マイカはペンを手に取る。
「友人のために誕生会を計画、と……」
そう書いた紙を半分に折り、封筒の中へと入れる。
封筒の中にはすでに四枚もの便箋が入っており、それにはぎっしりと文字が書き込まれている。
「さて、そろそろ……かしらね」
マイカは一人そう呟くと、ニヤリと口元を引き上げていた。
***
ラーシェの誕生会は、マイカのカフェで行われた。
メニューはタルトタタン、アップルパイ、リンゴの羊羹、リンゴのゼリー、クッキーはバター、紅茶、リンゴ入りの三種類。
ドリンクはコーヒー、紅茶、アップルティー、ロイヤルミルクティー、フレッシュリンゴジュースだ。全てラーシェのところで取れたリンゴを使って作った。この地域ではリンゴの羊羹が珍しかったらしく、皆に好評だ。もちろんサビーナも嬉しそうにパクついていて、これは報告書に書いておかなくてはと心に留めておく。
ラーシェの誕生会が終わると、サビーナだけが残って片付けを手伝ってくれた。
「お金を貰ってるんだから、片付けなんてしなくても良かったのよ?」
「それは料理の代金だけですから。マイカさんのご好意で、お店まで貸して貰っちゃって」
「ふふ、いいのよ。ラーシェもあなたも楽しそうだったしね」
「あの……マイカさんはどうしてそこまで良くしてくれるんですか?」
サビーナは不思議そうに首を傾げながらマイカを見ている。
バレないように他の村人と同じように扱ってきたつもりではあったが、どうやら気付かれてしまっていたようだ。いや、そろそろ話そうと思っていたので、少しずつ距離を近付けてはいたのだが。
「サビーナ。あなたに、伝えておかなきゃいけない事があるの」
「え? なんでしょうか」
「私はある人に依頼されて、アンゼルード帝国から来たのよ」
そう言った途端、サビーナは持っていた皿をガシャンと落としてマイカから距離を取るようにバックステップを踏む。
「あなたは……っ!?」
「あらやだ、お皿が……大丈夫かしら? 怪我はない?」
マイカののんびりとした物言いにも、サビーナは警戒を怠らない。こういう所が逆に好感を持てるわと、マイカはそっと微笑んだ。
「何者なんですか!?」
「そう警戒しないで。私はこういう者よ」
そう言うと、マイカは名刺をピッと投げつけた。
カッという音がしてサビーナの真横の壁に名刺が突き刺さり、彼女はそれを取って確認している。
「クレイジーソルト探偵事務所所属マイカ……探偵!?」
安心させようとして差し出した名刺だったが、余計に警戒させてしまったようだ。サビーナは壁に張り付き、今にも吠え付かん犬のようにこちらを睨んでいる。
「そんなに警戒しないで欲しいわ。言ったでしょう、私は依頼で来ただけなのよ」
「依頼……誰から!?」
「イーフォとカティよ」
その名前を出した瞬間、サビーナの表情が溶けるように変わる。若干の混乱があるようで、サビーナの口は何かを言おうと開いたまま、しかし何も言葉は出て来ないようだった。
「二人に……あなたの両親に頼まれてここまで来たの。確信はなかったようだけど、もしかしたらここかもしれないと言っていたわ」
本当はイーフォとカティが直接ここに来たかったようだったが、アンゼルードの騎士達に動向を監視されていては不可能だった。もし本当にクスタビ村にサビーナが居た場合、娘を危険に晒す事になってしまうのだから。
「お父さんと、お母さんが……」
「あなたがどんな状況にあるのか、調べてたのよ。ここからアンゼルードまでは手紙を送るのに二ヶ月近く掛かるし、カフェでも開かないとやってられなかったってわけ」
マイカがウインクをすると、サビーナはへなへなと床にお尻をつけている。そんな彼女にマイカは一通の手紙を大きな胸の中から取り出して渡した。
「先月届いた、あなたの両親からの手紙よ。折を見て渡して欲しいって頼まれたのよ。これでようやく任務完了ね」
サビーナは受け取った手紙を急いで開けて走り読んでいる。
その内容はマイカには知らされていないが、手紙を読み終えたサビーナは涙をポロポロとこぼし始めた。
「あり、がと、ございました……マイカさん……っ」
「お礼を言われる事はなんてしていないわ。これが私の仕事ですもの」
サビーナはそれでも礼を言いながら帰って行った。
これでこの仕事は完了だ。クスタビ村にいる意味は、もうない。そう、もうないはずなのだが……。
「もう少しだけ、ここでカフェを営むのも悪くないわね」
マイカはクスッと笑うと、自分の店の中へと戻って行った。
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舞花さんにも喜んでいただけて嬉しかったです♪
ではラスト、秋野さんへ捧げたシェスカルSSです!
シェスカル・ディノークスになった直後くらいのお話。
◆◆◆
ケホッと小さな咳をいくつかした。
アンゼルード帝国の冬は冷える。十二月を待たずして、雪が降る事もしばしばだ。
「風邪か? ラクー」
「大丈夫。咳だけちょっと長引いててね」
ラクーは目の前にいるゴツくて大きな男に目を向けた。
現在このランディスの街では知らぬ者はいないであろう、シェスカルその人である。
ラクーはこの街で『魔女の森レシピ』という店を経営していて、シェスカルは昔からの馴染みの客なのだ。
「なんか面白いもんが置いてあるな」
シェスカルは店の隅に置かれていた、小さな木に見慣れぬ字が書いてあるのを見て楽しそうに手に取った。
「ああ、それは将棋っていうんだよ。東方から取り寄せたもので、チェスみたいな感じかな」
「へえ、ラクーがやるのか?」
「今勉強中。ダンナーが昔やっててね、打倒ダンナーだよ」
「ラクーの集中力はすごいからな。すぐに負かしちまうだろ?」
そうシェスカルが笑うので、ラクーもクスッと笑った。実際の所、良い線まで行っているのだ。ダンナーを倒すのも、もう時間の問題だろう。
「シェスも私とやってみる?」
「ああ、また今度な。それよりダンナーやネムルーは元気か?」
ラクーの旦那と娘の名前を出した彼に、ラクーは頷いてみせた。
「おかげさまで。娘も今年、少年学校に入学したよ」
「ネムルーももうそんな年か。早えなぁー」
そんな風に目を細めてどこか遠くを見るようなシェスカルに、ラクーは違和感を覚える。
いつも明るく軽いこの男だが、決して底の浅い人物ではないという事を、ラクーは理解していた。
「シェスも、そろそろ誰かと身を固めたら? いつまでも遊んでないで」
「俺は遊んでるくらいでちょうど良いんだよ。俺と結婚させると、色々と背負わせちまうしな」
「あの、片腕の女の子とはどうなったの?」
「……他に良い男がいるんだと」
言葉の最後は笑っていたが、その前の悲しそうな顔をラクーは見逃したりはしなかった。つまり、彼は……振られてしまったのだろう。
「まったく……あんたって子は……っ」
同い年にも関わらずそういう言い方をすると、「俺を子供扱いするのはお前くらいのもんだ」とシェスカルは笑う。
「色々と大変なのは分かるけど……大丈夫なの? 一人で……」
シェスカルは強い男だ。少々の事で潰されるような人物ではない。けれども、だからこそ彼の事を心から想って支えてくれる人が必要だと、ラクーは考えていた。
「慰めてくれるのか? だったらお前がいいな、ラクー」
「はあ? 何言ってるの」
「良いじゃねーか、何度も寝た仲だろ?」
「昔の話を持ち出すんじゃないっ! そんなだからプリシラが出て行っちゃうんでしょーが!」
尻軽男の発言に、ラクーはダンッとテーブルを叩いた。しかしシェスカルは全く怯む事なくケラケラと笑っているもんだから、ラクーも脱力してしまう。
「もう……シェスが誰かと結ばれる日はあるのかね」
「ねーだろうな、多分」
そう言い切るシェスカル。不意に怒りが腹の底から脳へと立ち込め蒸気する。悟りきった彼の言い分をどうしても許容できず、ラクーは思わずシェスカルの手を握った。
「ラクー?」
「ばか者ッ!!」
彼の手を強く握ったままラクーが暴言を吐くと、シェスカルは鳩が豆鉄砲を食ったようにキョトンとして。眉尻を強く上げたラクーの顔をじっと見つめている。そんな彼にラクーは声を張り上げた。
「次こそは、手を離すんじゃないっ! シェスを、シェスの事を真剣に想ってくれる女の手を今度離す事があったら、私はあんたを見限るよっ」
この男は、相手の事を考え過ぎてしまうのだ。だから、その手を離してしまう。己の欲のために、相手を縛り付けたりなどしない。
「……ラクー」
再度、『ばか』、と声を漏らした。国や人の事ばかり考えているシェスカルを、ラクーは尊敬している。けれども同時に愚かだとも感じていた。もっと自分のために生きても良いのに、と。
「ありがとな。そんな風に言ってくれんのは、お前だけだ」
そう言って片目を細めるシェスカルは男らしくて。悔しいけど、良い男なんだよねと息を吐いてしまう。
「じゃあな、ラクー。仕事終わりに悪かった」
「気にしなくて良いよ。また、いつでもおいで」
シェスカルはニカッと笑うといつものように手をヒラヒラとさせて『魔女の森レシピ』を出て行く。
ラクーはただ、その後ろ姿を見送るしかなかった。彼の幸せを、願いながら。
数年後、この男から十六歳年下の女の子の相談を持ちかけられるのは、また、別の話。
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シェスカルの昔の女の一人にしちゃいましたww
でも悶えててくれて、大満足ですw
こんな感じで。
こういうファンサービスも、たまには良いですねw
私もすっごく楽しかったです!