第10話
ふわぁ、おはよう。とはいっても、もう正午をまわっているけれど。
もう少し寝たいところだが、今日は美鈴から集合がかかっているので、もう家を出なければならない。というのも、今日は美鈴がサンドイッチを作ってくるようなのだ。「いいね?未来ち、来週の土曜日だからね?いいね?」なんて念を押されたのだから、行かないわけにはいかない。べつにそんなこと言われなくても、どうせサンドイッチに釣られて行くのだけれど。
いつもの場所には、すでに3人そろっていた。ん?3人?ああ。もうおわかりだろう、あの失礼な大人だ。
現実逃避でもしようか…。あぁ、春っていいよな。自分は春が大好きだ。花粉症もあるけど、自分はそこまでひどくないほうなのもあって、それを考慮したうえで大好きなのだ。
暖かくて、何かが始まりそうな気がする。ま、何も始まることなんてないんだけど。
「未来ち~!」
うっ。美鈴が大声で名前を呼んでいる。その他もなんかガヤガヤしている気がする。ここまで来てしまったら引き返すわけにもいかん…。
「おはよう、未来ちゃん。」
「…おはよう。」
「未来ち、こんなに知り合いがいたんだね。私以外に2人も!?」
「ガキ。」
ガキは嬉しそうにクスクス笑っている。なんでだよ。
「2人で集まってたら、"未来ちゃん"って呼びかけられて。話を聞くと、未来ちのお友達みたいだったから、智子さんも一緒に食べようってなったんだ。いいよね、未来ち?」
「なんでだ…。」
もう半ば諦めている。コイツらに自分が逆らえるはずがない。…あ、智子っていうんだ。
すでに自己紹介も済んで、仲良くなりかけてやがる…。止められない。
そんなこんなで自分が反対する暇もなくサンドイッチパーティーは始まった。
「今日はたくさん持ってきたからね、智子さんもじゃんじゃん食べてください!」
「マジか…。」
卵、シーチキン、ハム、よくわかんないやつ、フルーツ入りのデザート系にも渡るサンドイッチが敷き詰められていた。こんなに種類を作るのは相当な努力が必要だっただろう。
「美味しそう!美鈴ちゃんすごい!」
ガキはガキらしく喜んでいる。
「美鈴ちゃんすごいのね…。」
智子はやはり恐れおののいている。そうだよな。えぐいよな。
味は美味しくないはずがなくて、ガキは3口食べるごとに美味しい!と騒いでいる。智子がそれを見て微笑んでいる。美鈴は…おおかたこちらを見つめている。平和だな、うん。
「未来ちゃん、こんなに良いお友達がいたんだね。もう、心配して損したよ~。」
智子が煽ってくる。
「そうですか、すみませんね。」
「ほらほら未来ち、心配してくれたんだよ?ん、これ美味しいっ!」
ガキが。
「ふふっ。愛華ちゃんは美味しそうにたべるねぇ。」
「だってこんなに美味しいんだよ!」
ガキの世話係ができたみたいでありがたい。ちょっと煽ってくる人数が増えたけど。
川がキラキラかがやきながら流れている。土手には自分たち4人しかみえない。そんなところで美味しい手作りサンドイッチを食べて、平和なのかもしれない。
「ああっ、それ最後のだったのに!」
「まだこんなにあるだろ。」
「違う!このバナナのやつがそれで最後だったの!」
「あはは、また作ってくるよ。」
「ふふっ。」
「もー、未来ち!」
やっぱりうるせぇな。




