パラリンピックの意義
2020年、日本の障害者数は、
身体障害者366.3万人、
知的障害者54.7万人、
精神障害者320.1万人、
およそ国民の6%が何らかの障害を有している。
多くの陸上系パラアスリートはドイツのオットーホック製か、
アイスランドのオズール製のスポーツ義足を装着している。
しかし道具がよくなったからといって記録は簡単には伸びない。
ソケットが重要なんだ。
ソケットというのは義足義手の装着部分のことだ。
私はパラリンピック100m走の女子日本代表、
そして世界記録保持者だ。
私の場合、
パラリンピックで勝てたのはソケットのお陰だ。
私の義足を作ってくれたのは大田区の町工場だ。
そこの職人さん達のおかげで、私は勝てた。
義足ソケットは義足の最重要パーツだ。
調整はミクロ単位で難しく、
少しでもフィットしないと、
どんなスーパーアスリートでも記録は出せない。
かつてガラス繊維だったソケットは、
ポリカーボネートやカーボンファイバーに代わり、
そこには数ミクロン単位で現代の最先端技術が詰まっている。
そして、そのデーターは個人によって全て違う。
優秀なパラアスリートのデーターは、
義肢性能を飛躍的に進歩させる。
そして、私の、そのソケットのデータは、今や天文学的な金額で取引される。
多くの投資マネーが毎日のようにオファーをかけてくる。
あるウォール街の投資銀行は、
控えめに見積もっても数兆ドルの価値だと言っていた。
世界中の企業が人の能力を補うテクノロジーを活用して、
能力を高めようとしている。
その中でも、今、最も熱いのは、
電源不要の軽量下腿装着装置の商品化だ。
このふくらはぎの筋肉とアキレス腱とを連動させた歩行代謝エネルギー消費を抑制する装置は、
米国ノースカロライナ州立大学とカーネギーメロン大学が開発中の技術だ。
ある投資家がスポンサーになりたいと5億ドルのオファーを提示してきた。
私は丁重にお断りした。
大田区の町工場の職人さんが私のために作った技術を、
金で売りたくはなかった。
ドイツのアウディ社の新しい工場では、
組立ラインで働く作業員がスイスのNoonee社のパワー・アシスト・スーツを身に付けている。
このウェアラブル装置を装着すると、
作業員の身体にかかる負荷を肩代わりしてくれる。
腰の疲労や負傷リスクを軽減してくれる。
この企業も私に専属契約を求めてきた。
提示額は10億ユーロに跳ね上がっていた。
しかし、私はこの契約も同じ理由でお断りした。
私の望みは・・・世界貢献だ。
私は今ある大企業と契約しようとしている。
その企業の開発しようとしてる次世代のパワードスーツは、
どんな身体障害者でも、健常者のように動かせるらしい。
そのために私のデータが欲しいらしい。
私は喜んで協力することにした。
たしか、企業名は、ロッキード・マーティンとかだったけど・・・




