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始まってしまった…!  作者: 本見りん


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30 伯爵家とノーマン公爵

「お嬢様は私共がお運びいたします。どうか、こちらへ……」


 執事がノーマン公爵に言う。執事にはこの方が誰かなんて分からないから当然ながら警戒している。

 うん、お願い! この状況は恥ずかし過ぎる……!


「いや、このまま運ぶ。一刻も早く休ませてやりたい」


 いやいや、降ろしてくれれば歩けますから……!

 

 我が家の執事が戸惑いながら問う。


「…失礼ですが、貴方様は……」


「控えよ! こちらにおわすお方ををどなたと心得る! 恐れ多くもこの国の王弟、アルフレッド ノーマン公爵であらせられるぞ! ええい、頭が高い! 控えよ!!」


「……ノーマン公爵閣下……!?」


 うん……? どこかで聞いたセリフね?

 先程からノーマン公爵の後を付いてきていた青年が、なんだか印籠いんろうでも出しそうな勢いで現れた。


「やめぬか。……すまない、それよりも今はリリアンヌ嬢を……」


「恐れ多くも我が国の英雄が伯爵令嬢如きをお運びくださっているのだ! お前達はその栄誉を一体なんだと……」


「いい加減にせぬか! お前は下がっていなさい!」


「……申し訳ございません……」


 ノーマン公爵のかつに青年はシュンとなった。

 我が家の玄関先で繰り広げられるこの寸劇すんげきのその間も、お姫様抱っこの苦行は続く……。

 すみません、早く降ろして欲しいのですが……。


「あの……、ノーマン公爵様? 私……歩けますので、降ろしていただいて大丈夫ですわ……」


 よし、ちゃんと声も出るようになったわ!


「何を言っている! 顔も赤く熱もあるようなのだぞ? 執事殿、早く彼女の部屋に案内を!」


 ここにノーマン公爵に逆らえる者はいません……。


 私はお姫様抱っこのまま、屋敷の皆に見られながら部屋まで運ばれたのだった……。



~~~~~



 私の部屋に案内され、ベッドにそっと降ろされる。

 やっと……! はぁ……。

 は、恥ずかしかった……!

 ちょっと……! 屋敷中の人に見られたわよ……!


「大丈夫か? 服もゆるめた方がいいな……。む、侍女を呼ぶか……」


 はい、そこ! 言いながら赤くならない!

 こっちまで赤くなりますから……!


「! やはり、熱があるようだな……。執事殿! 医者を呼んで…」


「待って! 待ってください、本当に、大丈夫ですからー! 今顔が赤いのは、その……、恥ずかしかったからです! その……、大きくなってから抱っこなんて初めてだったものですから、恥ずかしくて、赤くなったのです!」


「……! そうなのか? だが、最初は本当に顔色が悪かったぞ?」


 そうでした。あの時は『王女様によって歪められた世界』の事に気付いて、気分が悪くなって――


 また考え込みそうになったところで、ハタと気付く。

 ダメだ! また心配されてしまう!

 コレは、また後だ! 後で考えよう!!


「あの時は少し具合が悪くなりましたが、今はすっかり! 良くなりました! もうだいじょー……ぶっ⁉︎」


 言ってる途中で、ノーマン公爵が手を、私のおでこに当ててきた。

 うわぁ! コレは!!

 両親や侍女やお医者様なら、全然、なんっとも思わない行為だけれど、この、国の英雄の美丈夫に、間近で金の瞳で見つめられながら、大きくて少しひんやりする手で触られると………。


 ボンッ

 また顔が真っ赤になりました……。


「……やはり、熱がある。医者を呼ぼう。執事殿! お医者様を呼んでくれ!」


 ダメだ……! もう、好きにしてください……。


「……なんだか、新婚の夫婦みたいだね」


「「!!」」


 不意に聞こえた爆弾発言に、ノーマン公爵と私は同時に部屋の入口を見た。

 そこには13歳の我が不肖の弟、ニコラスが執事と一緒に立っていた。


 一瞬、みんな時間が止まったかのように固まったが、1番に執事が立ち直りノーマン公爵に言った。


「ノーマン公爵様、ただ今医師をお呼びしました。ご足労いただき誠にありがとうございました。本来ならばこの伯爵家の当主トーマスより御礼とご挨拶させていただくところでございますが、生憎あいにく夫妻共に留守にしておりまして……。

ここに伯爵家嫡男ニコラスよりご挨拶を……」


 そう言って紹介されたニコラスは……。


「お初にお目にかかります。カールトン伯爵家嫡男ニコラスでございます。

ノーマン公爵様におかれましては、ご多忙中にも関わらず姉の身を案じこうして送り届けていただきまして、誠にありがとうございました」


 と挨拶をした。うん、普通に。


 さっき聞こえたのは幻聴だったのかしら……?


「あぁ……。リリアンヌ嬢の弟君だね? ニコラスか……。良い名だ」


 ノーマン公爵が笑顔で言うと、ニコラスもニカッと笑った。


「先日は、美味しいお菓子をいただき、ありがとうございました! 家族皆で美味しくいただきました。

姉はコッソリ1人で食べようとしていたようですが……」


 ちょっと! 何を言い出すのよ!


「そんな訳ないでしょう⁉︎ 皆で分けようと思っていたけれど、帰ってすぐに貴方が見つけて全部取っていったんじゃない! ……ちょっとだけ、自分用によけておこうと思ってたのに!」


「ほら! やっぱりそうだ!

ノーマン公爵様! 姉はこんな風に食い意地が張っていて、いつもしっかり食べているので、そんな薄幸はっこうの令嬢のような扱いをしていただかなくとも大丈夫ですので!」


 そう得意満々にノーマン公爵に告げた。


「別に食い意地なんて張っていないわよ⁉︎ ……ただ、食べ物は美味しく頂こうと思っているだけで……!」


「……ふっ、ふははっ……。君達はとても仲が良いのだね。

大丈夫。リリアンヌ嬢。君の事をそんな風には思っていないからね」


 ノーマン公爵は笑いながら言った。


「食べ物も、そんなに美味しく食べてもらえたなら幸せだろう。

そして、リリアンヌ嬢。元気が出てきたようで良かった。

でも無理は禁物だよ?

今日はゆっくり身体を休めた方がいいね」


 そう言って、私の肩をポンポンと撫でられた。


 部屋の扉の前で、その様子をノーマン公爵の従者は信じられない様なものを見る目で見ていたのだった。



お読みいただきありがとうございます!


引き続き、ノーマン公爵が暴走気味、そして何故か従者もどこかの元副将軍のお付きの助さん風になって、同じく暴走気味でした…。

リリアンヌは、前半ずっとお姫様抱っこされたり色々ありすぎて、この日は疲れてぐっすり眠りました。

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