表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
始まってしまった…!  作者: 本見りん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/167

25 兄弟ケンカ

 ガシャーン!


 ガラスの割れる音と共に、何かを怒鳴る男の人の声が聞こえてきた。


 ワーグナー侯爵家の応接室でお話ししながら、焼き立てのスコーンをいただいていたマーガレット様と私は、お互いの顔を見合わせた。

 そしてマーガレット様はスッと立ち上がり、侍女を呼んだ。


「何事か、確認し報告を」


 侍女は「かしこまりました」と直ぐに出て行く。


 あの音は屋敷内からよね。


 その間も男の人達の大きな声は聞こえてくる。…あれ? この声の一つは……。


「マーガレット様。この声はマティアス様……ですわよね?」


「…そうね。そしてもう一つはダニエルね」


 マーガレット様は少し不機嫌そうに仰った。


 ダニエル様はマティアス様の弟。王立学園の3年生。たまに学園でお見かけもするけれど、もう軍で鍛えておられて筋骨隆々! マティアス様とはまた雰囲気の違う方だ。

 『真っ直ぐです!!』って感じの方だわね。


 そして、この声がお2人の声なら……。


「やはり、男の子の兄弟ケンカって、なかなか激しいものなんですのね……」


 普段のマティアス様からは想像出来ないけれど、男の子の兄弟って「こぶしで勝負だ!」って感じなのかしら?

 私も弟がいるけれど、男同士のお友達だとこちらが時々ビックリするような遊びをしたりしているものね……。

 と感心していると、


「普段は、こんな喧嘩はしないわ。それに小さな頃ならともかく、いい大人が何をしているのかしら……」


 そこで、先程の侍女が戻り、やはりご兄弟での喧嘩だった事を報告される。

 ついさっき外出先から戻り、言い争いが始まったようだった。


「…それで、2人は今どうしているのかしら?」


 侍女に問うと、侯爵夫人の機嫌が悪いのが分かるのだろう、侍女は少し怯えたように、


「『話は済んだ』…とお互いに今は部屋に戻られております。どちらかと申しますと、激昂されているのはマティアス様のようで……。お2人ともお怪我等はされてないようです」


 それを聞いてマーガレット様は少し驚かれた。


「 マティアスが? …珍しいわね、あの子がそんなに冷静さを失うなんて……」


 と、つぶやいた後、私に向き合って仰った。


「…ごめんなさいね、リリアンヌ。 マティアスも今話せる状態ではないと思うの。

この件は後で私がきちんと話を聞いて、また貴女にも関係あればお話させてもらうわね」


「ありがとうございます。マーガレット様。

私の事は気になさらず、どうかゆっくりお2人のお話をきちんと聞いて差し上げてください。

今日は、これで失礼いたしますね?」


 マーガレット様は心底残念そうなお顔で私を見られた。


「あぁ、せっかくリリアンヌとお話をしていたというのに……。また、私を訪ねてきてね? リリアンヌ。

今度日にちを教えてくれたら、貴女の好きなフルーツタルトを用意しておくわ」


 ! フルーツタルト!!


「是非、ご連絡させていただきます!」


 即答した私にマーガレット様はとても嬉しそうに、


「ふふ……。やっぱりリリアンヌね! 次を楽しみに待っているわ」


 私はマーガレット様にすっかり胃袋をつかまれている……。


 そして私は、今回はマティアス様にはご挨拶出来ないまま、侯爵家を後にしたのだった。

 …そう、今回はマーガレット様に『前世の私特製クッキー』をお渡しするのが目的だったから…。


~~~~~


 帰りの馬車の中。

 私は先程のお2人の事を考えていた。


『珍しく激昂し弟ダニエル様と喧嘩されたマティアス様』

 …何に怒っていらしたのか?


 それは……もしかして、例の件かしら?

 そう、『シュバリエ公爵家とワーグナー侯爵家の婚約話を漏らした』犯人だ。


 ダニエル様、か……。ちょっと納得。(失礼だけど)

 まあ確かに、ダニエル様なら悪気無しにうっかり外で話してしまいそうだわ……。(更に失礼)


 でも、それが王家にまですぐに伝わってしまったなんて。…一体誰にお話されたのだろう?

 軍や学園で話したのなら、普通に貴族達に広まっているはずだわ。貴族達に広まっていたのなら、王家も割り込むのは難しかっただろう。


 周りの貴族達に広まらず、真っ直ぐに王家の耳に入ったという事よね。ダニエル様と王家の方で仲の良い方っていらしたのかしら? 確かに第2王子とは同学年だけど、私が入学してから一緒に居られるのは見た事がないし、そんな位の関係で兄の婚約が決まりそうなんて話さないわよね?


 うーん、これは1人で私が考えても分からないわね……。今度、マティアス様にお聞きして……、って教えてくださるかしら? この件はマティアス様に預ける事になってたのよね……。


 私が悩んでいる内に、馬車はもうカールトン伯爵家に到着した。


「お帰り、リリアンヌ! 今日は良い報告があるのだよ」


 帰るとすぐに応接間に来るようにと言われる。急ぎ行ってみると、そこには上機嫌の父トーマス カールトン伯爵がいた。

 その横でその父のテンションを見守る母ジョセフィーヌと弟ニコラス。


「良い報告?」


私が父のテンションに引き気味に聞くと、


「そう! ニコラスの婚約が決まったのだよ!!」


満面の笑顔で返された。





お読みいただきありがとうございます!


リリアンヌは前世からスイーツ大好きです。

今世でも美味しいスイーツがたくさんあってウキウキですが、前世を思い出してからはこっそりストレッチなどして体型維持に励んでいます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ