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始まってしまった…!  作者: 本見りん


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18 マティアス様達の過去

「あの……、よろしいでしょうか?」


 私はノーマン公爵に発言の許可を求める。


「リリアンヌ、ここは私的な場所なのだから、その様な気遣いは無用だよ。好きに発言しなさい」


 優しい笑顔で許可される。


「ありがとうございます。あの、ソドムス侯爵家のラウラ様が亡くなられたのが約3年前、そして第2王子ルーカス様とカタリーナ様が新たにご婚約されたのが2年半程前……。半年しか期間がありません。まだご婚約者ラウラ様の喪が明ける前ですよね?

しかも当時の世情はまだ流行病から完全には立ち直ってはなく、その時ルーカス様はまだ16歳。

一般の方ならともかく、王家としては世情を考えて慌てて婚約を発表する必要は無かったかと思うのですが……」


 2人はこの発言を何とも言えない苦々しい表情で聞いている。不敬だったかしら? でもちょっと、いやかなり? 疑問なのよね……。


 普通、お祝い事というのは不幸な事とは時期を空けて行うものだわ。

 自分の婚約者の喪があけない内に新たな婚約をする、なんて亡くなられた婚約者に失礼だわ。愛情のカケラも感じられない。

 それに余りにも早すぎて、次の婚約はもう早くから決まっていたのか? と思われかねない。


 そして、2年半前はまだあの流行病は収束感はあったものの、新たな患者が全く出ていない訳でもなかった。

 そう、あの時期は多くの犠牲者の死を悼む、そんな時期でもあったわ。

 流行病の収束を待っての新たな婚約ならともかく、この流行病で前の婚約者を亡くしての次の婚約なんて、発表するような時期ではなかったと思う。


 特に国民の見本となるべき王族のする事ではないわ。



「それは、私から説明しよう。マティアス、君も思う所があれば訂正してくれるかい?」


 ノーマン公爵がマティアス様を気遣う様におっしゃった。

そして頷くマティアス様。

 ? 何故ここでマティアス様に気遣われるのだろう?


「リリアンヌ、君にも辛い話かもしれないが、ここはきちんと聞いておいて欲しい。

…好き合っていたカタリーナ嬢とマティアスが、どうして婚約出来なかったのかを」


 ドクンッ。


 今、心臓を鷲掴みにされたような、そんな気持ちになった……。


~~~~~


 隣国との戦争が終わりオブシディアン王国に平和が訪れて数年――。


 高位の貴族が集まるお茶会で小さな頃から交流を深めていた公爵令嬢カタリーナと侯爵家嫡男マティアス。

 2人は幼い頃は兄妹の様に、成長してからはお互いを必要とし唯一無二の存在と認識していた。


 ただ、2人共高位の貴族家の跡継ぎ。それが話を難しくさせていた。


 とはいえ、ワーグナー侯爵家は3兄弟。弟が2人いる。いるのだが……。


 二男ダニエルは領地が近い幼馴染の子爵令嬢に昔から夢中で、人柄は悪くはないのだが勉強やその他の資質からも、侯爵家の跡継ぎに相応しいとはいえない。


 三男ノエルはマティアスと10歳違い。兄がいるのに跡継ぎと定めるには幼かった。


 対してシュバリエ公爵家は公爵夫人が身体が弱かった事もあり、子供はカタリーナただ1人。


 であるから、絶対的にマティアスが婿に入る事が求められるのだが――。


 そうして今から2年半前。


 国中に広がっていた流行病が落ち着き始め、三男ノエルも9歳となった。なかなか見どころのある子であったし跡継ぎと定めて問題ないだろう。マティアスを好きな人と一緒にさせてあげよう。そうワーグナー侯爵家では決意した。


 幸いシュバリエ公爵も2人の気持ちを考えて、カタリーナに婚約者を定めずにいてくれた。


 公爵家と侯爵家で話し合い、後は王家に届け出るだけ――。


 そんな時だった。王家から第2王子ルーカスとシュバリエ公爵家令嬢カタリーナとの、婚約の正式な使者が来たのは。


 王家よりの正式な婚約の申込――。それは絶対に断る事が出来ない、という事だった。

 それでも公爵はいきなりの正式な通達に対し抗議はしたのだ。しかし当然のようにその決定は覆らなかった……。


~~~~~


「――当時、私は国境の領地で、流行病や隣国の調査をしていてね。第2王子の新たな婚約はのちに全て決定事項として聞かされた。随分歯痒い思いをしたし、王にも抗議した。だがどうしても聞き入れられなかった。

…身内の情けない話だが王妃様がね、当時婿養子をとる予定の家がもう他は伯爵家しかないと、可哀想だと、そう泣きつかれてどうしようもなかったのだと……」


 ノーマン公爵が苦しげに仰った。

 そこで、マティアス様は言う。


「アルフレッド様は最善を尽くしてくださいました。悔やむべきは私がもっと早くに両親を説得出来ていれば……という事です。公爵家の後継娘、という誰もが手を伸ばしたい存在を、シュバリエ公爵様は私達の為に守ってくださっていたのに……」


 そういう事だったんだ……。始めから、2人のお心は決まっていたのに、周りもそれを温かく見守っていたのに、何か歯車が狂ってしまったのね……。

 そして、私もその歯車に巻き込まれてしまったのだわ。


 そして一度狂い始めた歯車はタイミング良く王家を巻き込んで……、……?


 ん? 待って? どうしてそんなにタイミング良く王家は割って入れたのかしら。



お読みいただき、ありがとうございます!


二男ダニエル君は、ご両親に次期当主から外されていますが決して出来ない子ではありません。

ただ、『侯爵家』を継がせるには…、という苦渋の決断で、ご両親もそれで長く悩んだようです…。

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