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始まってしまった…!  作者: 本見りん


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16 パーティーに向けて

 卒業パーティーまであと一月。


 第2王子の周りではゲーム通りに話が進んでいる様に見える。


 まず、ますます第2王子ルーカス様と子爵令嬢マリー嬢のイチャつきぶりが目立っている。そしてそれを取り囲む様に王子の側近の令息達もマリー嬢を崇めている様に見える。

 側近の令息達にも婚約者の方がいらっしゃるでしょうに、きっと大変な思いをされているでしょうね……。

 コレってなんだろう、本当にゲームの強制力って事なのかな?


 そして、それを見る周囲の冷たい視線に気付いていない様だ。…気付いていないのか、気にもしていないのか……? 6人共皆なかなかの強心臓揃いだわ!


 高位貴族であれば恥ずべき行動を堂々とされている……。これでは、卒業パーティーの前にこの人達は然るべき人に罰せられるのでは……、と本気で思ってしまうわ。



 あれからこちらも色々と動いている。


 ノーマン公爵は『断罪イベント』が起こったとして、それぞれの王家の方々や有力貴族達がどう動かれるかの調整。

 後の3人は自分の立場で集められる、現在の彼らの状況の証拠集め等……。カタリーナ様なら、彼らが接触してきた日時やその行動を詳しく書き留め、その様子を見たと思しき人もチェックしていただいている。

 

 あ、私は学園での他の生徒達の様子、彼らをどう見てるかとマリー嬢達の偵察もしている。

 ちょっと前世の忍びとかスパイみたいで、本人も乗り気です。


 カタリーナ様との連絡は学園では私、王宮ではノーマン公爵、そのノーマン公爵はマティアス様と軍や屋敷で、そしてマティアス様は婚約者である私と、という形で繋がっている。


 カタリーナ様とマティアス様、ノーマン公爵と私は会っていない。

 主役2人は今は会うのはマズいので仕方ないと思う。


 けれど今日は経過報告の為、私はマティアス様と一緒にノーマン公爵邸で、公爵と1ヶ月ぶりにお会いする事になっているのだ!

 ここにお邪魔するのは2回目だけれど、緊張感はハンパないです……。


 前回も通された重厚なこの応接間は、人に聞かれたくない話をする時の特別なお部屋らしい。

 防音や盗み聞き等出来ない仕掛けがされているらしくて、ノーマン公爵は初めから、私達の話を周りに聞かれないように配慮してくださっていたそうだ。


 さて前回と違うのは、この机に並べられた美味しそうなスイーツ達かしら……。というか、見事に私の好みのスイーツばかりなのだけれど? お菓子を見、その後チラッとマティアス様を見ると、


「いや、君がどんなものを好んで食べるかと問われたので、君が我が家で出して喜んでいたものをお伝えしたんだよ……」


 苦笑いしながらお答えになった。

 苦笑い……。うん、だってコレ結構な種類が机いっぱいに並んでいますわよ? 私こんなにあれもこれも好きって言いましたっけ……?

 ええ、実際好きなものばかりですよ? でも好みを聞かれたら一つか二つを伝えません? こんな、食べるの大好き! みたいに沢山お伝えしなくても……!

 

 えぇ、確かに侯爵家で出されるお菓子はどれも素晴らしくて、いつも美味しいって残さずいただいておりましたけれども……!


 1人悶々としていたら、


「せっかくだから美味しい物を食べて寛いで欲しくてね。君の好きだと言うものを揃えてみたんだ。

 我が家のパティシエが腕によりをかけて作ったから是非どうぞ?」


 ノーマン公爵が向かいの椅子に座り、金の瞳で見つめながら笑顔で言う。


 そう、先程からスイーツを見る私の様子をずっと見て? 観察して? いらっしゃるのだ!

 …そんなに見られたら、食べられないじゃない!


「とても美味しそうですが……。ノーマン公爵様? こんなにたくさんご用意していただいて、とても有難いのですがこの人数ではとても食べきれません。もったいないですわ」


 お二人共一瞬固まって、そして少し苦笑された。

 あ、気分を害されたかしら?


 でも、元日本人としては『もったいない』は許せない! のです!


「…君の言う通りだ。少し張り切り過ぎたよ。この後使用人達にも分ける事にするよ。でもせっかくだからいくつか包んで持って帰るかい?」


「是非お願いいたします」


「…ふッ……」


 つい即答したら、また笑われてしまった……。


「…次からは数種類位ずつ出すようにするよ。楽しみにしていて?」


 ん? 次? パーティーはもうひと月後で、今回もお邪魔するのは一月ぶりだしそんなにここに来る機会はないと思いますけれども……?

 あぁ、社交辞令ですね。


「…機会がございましたら、是非……」


 と当たり障りなく答えておく。


 横ではマティアス様が微笑んで見ている。一体何かしら? このお二人は完全に私を揶揄うモードに入っているわよね⁉︎


「ところでリリアンヌ嬢、学園での様子はどうだい?」


 ノーマン公爵が不意にまともな話を振られたので、私は気を取り直しここぞとばかりに話し出す。


「はい! …気を付けて第2王子様周辺を見ていると、恐らくマリー嬢は『自作自演』で、嫌がらせを受けていると主張している様に見受けられます。

それを王子様と側近の方々は迷う事なく信じられている様です。学園の周りの方々には冷たい目で見られておりますが、ご本人達は全く気にされる様子はありません。

そして……」


 私は最近少し引っかかっている事を話す事にした。


「側近の方のお一人、ソドムス侯爵家嫡男レナルド様のご様子が、何か少し気になるのです」


 お2人共、そのお名前を聞いて明らかに驚かれた。


「レナルド ソドムス……。ソドムス侯爵家、か……」




お読みいただきありがとうございます。


机には、アフタヌーンティーのような3段のお菓子セットがいくつも並べられました。

最初、『わぁ、すごぉい!』と見ていたリリアンヌですが、次から次へと運ばれてきたスイーツ達に『…』となったようです。

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