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婚姻の日。  作者: 夜凪
4/4

次の日の朝。

R15を一応つけてみました。

一応……です。

ふと人の動く気配に目を覚ましました。

身を起こそうとして、体に力が入らず微かに首を持ち上げるくらいしか叶いません。

どうしたのでしょう。

頭も何だかボゥっとして、何も考えられません。

ただ、心も体もフワフワして何だかとても幸せな感じで……。


「すまない、起こしたか」

「………イリアス様」

ベッドが人の重みにたわみました。

そして、横になっている私の顔の横に手をつき見下ろしてきた人に、ようやく私のボンヤリした頭が動き出したみたいです。



そういえば、昨日は私達の婚姻の日で、披露宴をして、その後………。


思い出した記憶に顔が熱くなりまりました。

絶対真っ赤になっている自信、あります。

結婚前のたしなみとして、お母様や侍女ににどういう事が行われるかは何となく聞かされていましたけど、最終的には「イリアス様に任せていれば大丈夫です」で締めくくられてて……。

だから、あんな……あんな風になるなんて……。


体を伝う指先。それを追いかける唇に全てを暴かれ、触れられていない場所なんてもうどこにも無くて。

何よりも、少し辛そうに眇められたイリアス様の視線や私を呼ぶ掠れたこえが。

「………アイリーン?」

そう、こんな風に密やかな甘い声で………って!


ふと我に帰れば、もの凄く近くにイリアス様のお顔がありました。

と、いうか、近すぎて吸い込まれてしまいそうに黒く神秘的な瞳しか見えません。


「………何を考えていたんだ?アイリーン」

もう少しで唇が触れてしまいそうな距離。

囁かれれば吐息が唇に触れ、くすぐったいです。


甘い声に尋問されて、何でも答えたくなりますが……無理です。言えません。

初夜のあれこれを思い出していたなんてはしたない事、恥ずかしすぎます。

キュッと唇を閉じ、微かに首を横に振れば、イリアス様がクスリと笑いました。


「………婚姻を結んで次の日にはもう、夫に隠し事?悪い子だね、アイリーン」

少し笑みを含んだ声は怒っている様子はありませんけど、………これ、隠し事になるんですか?

だって、……やっぱり言えません。

イリアス様の色っぽい顔や与えられた快感を思い出していました、なんて。


「………まぁ、聞かなくても大体分かるが、な。目が潤んで頬が紅い」

そう言うと、まぶたの上に口づけが落ちてきました。

スルリと指が頬から耳をたどり、首筋へと滑って行きました。そうして……。


こぼれ落ちた吐息は自分で聞いていても恥ずかしくなるほど甘い艶を含んでいました。

「………まだ、体に力が入らないだろう?湯をためていたんだ。入るか?」

耳元に落とされる囁き。

それすらも、今の私には毒のよう。

だって、戯れのように動く指先1つで私の体は昨夜の熱を呼び起こされていて………。


考えるよりも先に動いていた腕はイリアス様の首筋に絡みつき、その体を引き寄せていました。

薄いローブを羽織っただけの体に寄り添えば、鍛えられた体の感触が伝わってきます。

でも、直接に触れ合う肌の熱さを知ってしまった今では、それだけではもう、物足りなくて……。


だけど、この気持ちをどう伝えれば良いのか分からず、私はイリアス様を縋るように見つめました。

一瞬驚いたように開かれた目が、スッと眇められます。だけどその瞳の奥に昨夜見た焔を見つけて仕舞えば、怖さを感じるどころが体の奥が痺れたように感じて、吐息が漏れました。


「………イリアス、さ……ま……」

呼ぶ声はスグに唇へと飲み込まれ、私は再び嵐のような感覚へと巻き込まれて行ったのでした。







ふと、目を覚ませば腕に温かな体をしっかりと抱き寄せていた。


目を落とせば黄金の髪が白いシーツに柔らかに広がっていた。

瞳は閉じられたまま長い睫毛がアメジストを隠している。

いつもは淡い色の唇が赤みを増し、まるで紅をさしているかのようだと思えば、脳裏に昨夜の初々しい痴態が蘇った。


与えられる未知の感覚を必死に受け入れる様は痛々しくもあったが、もっと暴いてしまいたいという欲も煽った。

ついついやり過ぎてしまった感はあるが、ようやく全てを手に入れた花嫁に浮かれるなという方が無理があるだろう。


「………う……ん……」

脳裏に浮かぶあれこれに思いを馳せていたら、無意識のうちに抱きしめた腕が動き肌を辿っていたようだ。

微かに漏れる吐息に我に帰った私は、そっとその身を離すと、浴槽に湯を張るべくその場を離れた。


昨夜は気を失うように眠りについてしまったので一応タオルで肌は清めてやったが、やはり目が覚めれば湯の一つも浸かりたいだろう。

甲斐甲斐しく動く自分に少し苦笑も漏れるが、喜ぶ顔を思い浮かべれば苦でもない。


休みはまだ5日もある。

それほどの長い時を共に過ごすのは初めての事だ。

ゆっくりと遅い朝食でも取りながら、何をしたいのか話し合うのも良いかもしれない。




そんな事を思いながら湯を張っていた私は、貴重な休みの殆どをベッドの上で過ごす事になるなどとは…………少し、思っていたかもしれないな。うん。




読んでくださりありがとうございました。


ハニームーン期間なので……大目にみてください。

なんかいつまでたっても甘そうな気もしますが……。

ちなみに出会った頃には副隊長でしたが、現在は隊長に出世してます。

すごく忙しい中もぎ取った休暇でした……。

まぁ、2人とも本望なんでしょう(遠い目)

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