2 まえがき
まえがき
夏も過ぎた頃に思い立ち、仕事の合間を縫ってこの小説を執筆した。
筆者の愚作が読了に堪えうるものであるのか、はなはだ疑問ではあるが、最後までお付き合いしていただけると幸甚の至りである。
冒頭から言い訳がましくて申し訳ないが、本稿は当初、志保に感謝を表すために書き始めたのだが、書き進めるうちになにやら様相が様変わりしてしまった。さしずめ、若き悠次の苦悩、といったところである。
美しく爽やかに書くつもりであったが、主人公の心理を描写しないと訳がわからなくなるために、重くならざるを得なかった。その重さといったら、書いた本人が途中で投げ出したくなったほどである。
でもそんな事は気にせず、志保には軽い気持ちで読んでほしいと思っています。
志保には遥か忘却の彼方の話だと思うけど、「そういう事もあったね」とか、「そんな事あったっけ」といった具合に読んでくれたら幸いです。
この小説は志保に不快感を与える可能性があるので、帰郷している間は読まない方がいいでしょう。復路の機内で読んで貰って、羽田空港で本稿を遺棄してくれる事を希望します。
主人公に都合よく解釈した部分があるかもしれないけれど、そこは小説として大目に見て下さい。




