時代の節目②
「いったい何が!!?」
そんなことを叫びながら英雄、およびそのハーレム御一行が会議室に駆け込んできた
正直来ないでほしかったな
今ここにいるのは姫さんと俺、魔王に国王、宰相のアイアス・サローンに大将軍ベニアミーノ・トスカーニ。それから今来た英雄と愉快な仲間たちだ
「今から説明するとこですので落ち着いてください」
宰相の言葉でなんとか落ち着き、席につく御一行
「揃いましたね…結論から言います。土の魔王が死にました。現在ロンダンの政治は国王一人の独断で行われています。魔王の代わりとなるものも立てられており、今後魔王の会議で審議されることになるかと」
「王…ロンダンはカエイラと同じ王と魔王の2トップ制なのか?」
「そうじゃ…あそこの国王は魔族の血筋じゃな」
「その中で人間が魔王の地位を手にしたと騒がれてたが…………まさか」
「えぇ、姫様の考えの通り、魔族による蜂起です。現在国王を中心に人間狩りが行われているようです」
…まじか
「そ、そんなっ!?」
「ロンダンのプリュオファミリーのうち風と無は人間の家だったな…そこも潰されるか」
「えぇ。その2家はもう既に潰されているようです。今回の件、気付いているのは各国上層部のみで、ニュース等には情報が入らないようにされていますね」
「ちょ、ちょっと待ってください!なんでそんなことをする必要が!!?今魔族や獣人と人間は仲がいいんじゃ…」
「英雄…少し黙ってろ」
「なっ!!?」
「ちょっとあなた!」
「うるさい、現状の理解の前に基本的な種族間の事も理解してないんだよそいつは。教えとけ…それより姫さん、ロンダンの人間人口の割合は?」
「約二割じゃ…獣人は一割、ほとんどが魔族の国じゃな。…宰相よ、中心となってるのは国王か?」
「いえ、違うようです。どちらかと言えば後発的に動き出してますね…今回の件、中心的に動いてるのはプリュオファミリーの氷のグゼニナ、雷のキルピオ、光のアーレ、創造のギルデン…この四家です」
「…あの事件か」
「えぇ…先日の誘拐事件、結局ほとんど帰ってこなかったそうで、その時被害のあった家が中心ですね…その時は基本魔王の対応が肝心になってきますが、失敗したようです。人間だということも災いして…」
「ちょ、ちょっと待ってください?」
巫女に説明を受けていた英雄が復活してきた
「魔王ってその国の最強がなるんですよね?それを殺すって…」
「魔王は別に最強じゃねぇぞ?」
「えっ!?」
「その国の武力のトップ、それは変わらん…だがな、各国に毎回その国の魔王の属性にあった者が最強だということがあるか?」
「…ならどうやって」
「簡単だよ、その国の属性で最強のやつがなるんだ。まぁ実質先代の子がなりやすいがな…それに最強と言ってもそれは表での、だ。少し調べただけでも魔王以上の犯罪者はゴロゴロいるぞ」
「そうなるな、理解が早くて助かる。本題に入ろうかの…今後我らはどうすべきだと思う?」
「そんなの決まってるだろ!ロンダンの人間を助けに行こう!」
「そうですね、カエイラは人間が一番多いですから…ロンダンとの交易がたたれる可能性もありますしね。今回の件で人間を完璧に袂を分けようとしてますしね」
「流石は勇者殿ですね!先程初めて種族間の事を知ったのにすぐ最善の手を思い付くなんて!」
「あ…えと……その…」
「勇者様、そうと決まれば用意しましょう!」
今のは上から英雄、巫女、魔術師大隊長、魔法剣士大隊長、第三王女…はぁ、英雄の場合困ってるやつは助けるのが道理、見過ごせないってだけの思考回路だからな
「落ち着きなさいルナ…他の者はどう考える?」
ほぉ、何だかんだでちゃんとした国王だなこいつも…少し見直したわ
「俺は反対だな」
「ですね…ロンダンとの交易を切り捨ててでも優先すべき事がありますし」
「私も大将軍に宰相と同じだ、父上」
「な、なんで!!?」
焦った感じの英雄…あいつは理解できないだろうな…だが
「な、なぁ力也、お前は…?」
「悪いな英雄、今回は他国に干渉してる場合じゃない。宰相の言う通り優先すべき事がある」
「なっ!!?」
英雄同様絶句してるハーレムメンバー…いや、魔法剣士大隊長はオロオロしてるだけか。てか大隊長クラスがここにいていいのか?
「ふむ、どうしてそう考える?」
「950年前と450年前」
「…なんだ?それは…」
「ほぅ、勤勉だな…国王様。950、及び450年前ににたようなことがジャッポネやローシャで起こりましたが、その時はその後数年以内に全ての国で魔王の入れ替わりや我が国で言うドゥーカ・ファミリー、つまり選ばれし名家の交代や名家、貴族の没落が起きています」
「…なるほど、今回もということか」
「あぁ、歴史は繰り返すものだしな…今は自国をしっかりと固めないと、下手すりゃ内部崩壊すんぞ」
「ふむ…宰相!大将軍!」
「「はっ!」」
「人選ややり方は任せる、早急にドゥーカ・ファミリーの調査を行え!」
「「了解しました!」」
返事をするやいなや話し合いながら駆け出ていく二人
「国王様!俺にも手伝わせてください!」
「いや、勇者殿には何かあったときの鎮圧に動いてもらいたい」
…良いところを持っていかせて名声を手に入れようってとこか…兵士だけでも…ん?そういやなんでドゥーカ・ファミリーの人間が部隊の重職に就いてないんだ?
「鎮圧ですか…それまでは待機、ですか?」
「あぁ。それまでは今日までと同じように自己の研鑽に努めてくれ」
「はっ!」
そう言うとギャーギャーいって騒がしいハーレムを引き連れて出ていった
「国王よ、話がある。ついて参れ」
「あぁ」
続いて魔王に連れられ国王も退出
残るのは俺と…姫さん?
「なぁ力也よ」
「なんだ?」
「お前は何者じゃ?」
「質問の意図が分からないが?」
「簡単に言うとじゃな、力也は異端すぎる…今までの勇者がどんなものだったのか、理解してるじゃろ?なら自分の行動がどれだけ異端かわかるじゃろ」
「…初めての魔法にテンションが上がり、楽しむからすぐに相当な力をつける。そしてすぐ国の中でも随一のレベルに到達する。また、強大な己の力に溺れ、無駄な正義感により無理な事をしやすく、大体の勇者は一度大きな失敗をしてから大きく変わるってとこか?」
「あぁ。もう一人の方はまさにその通りだ。それに言い方は悪いが、今までの勇者は、もう一人の方もだがほとんどが無知だ。そして正義感が強い…つまり」
「簡単に操られてただの戦闘ロボットになる」
「!?」
「気づいてないとでも思ったか?正義感が強いってことは弱者を守りたがる。そこをつけば良いように使われる…簡単じゃないか。まだその域までいってないから良いが、このままなら英雄は操り人形だな」
「…まぁそちらのことは今はどうで良いんじゃ。それより力也、何を考えている?」
「別に…ただ俺は自由にやりたいだけだよ…使われるのなんて嫌だね」
「そういうことではないんだがな…まぁいい、そのうち聞かせてもらおう」
…この人には気を付けておくべきかな
「あぁ、1ついいか?」
「なんだ?」
「英雄の事なんだがな、あいつはまぁ前の世界から主人公やってたんだが、基本的に全く失敗をしないわけでもないやつなんだよ…今までのやつらは前の世界ではほとんど自分の思い通りにいってるような奴らだろ?」
「あ、あぁ…だからもう一人の方もそうだと思っていたが…」
「まぁね、ほとんど失敗はしないよ?それにきっと、英雄は以前までの勇者と違ってそれほど大きな失敗はしないと思う」
「…何故じゃ?」
「あいつはさ、学ぶんだよ…それほど大きな、重大な失敗をする前に必ず、それよりかは小さな失敗をしてさ…」
「…なかなか不思議なやつだな、もう一人の方も」
「まあな…で、これが言いたかったことだが」
「あぁ」
「恐らくあいつは、今回の件で失敗するな」
「!!?早くないか?今までの勇者は大体こちらに来て数年たった頃に自分以上の魔物や人間に挑み負けるんだぞ?」
「いや、今回だな…あいつはそういう奴だ」
「…例えそうだとして、私に何をしろと?」
「特に…その現場に俺がいれば何とかするし、居なくても英雄は無事だろうから英雄やこの国にとってはそれほど大きな失敗にはならないだろうね」
「…それほどの者なのか?あいつは」
「あぁ、なんたってあいつは、英雄、英雄だからな。実力不足を補う天運がある。まぁバカだから負けることはあるだろうし、あいつの運をも越える実力者が現れないとも限らない…でも1つ言えるのは、あいつに関わったら、大体の奴は脇役になるよ」
「…そうか。ならば暫くはこの国も安泰か」
「まぁ、あと数年はね」
「やはり気付いているか」
「まあね…相手は何処?」
「あぁ…魔王が最も望むのは、ジャッポネだ」
…やっぱそうくるか




