おかしいですか?
ポ~ン♪
インターホンが鳴る。
「誰だろ?」
土曜日の昼下がり、
デスクに向かっていた奴が振り返る。
俺はソファーでテレビ鑑賞中だ。
奴が立ち上がりインターホンの通話ボタンを押す。
「はい?」
「しんのすけ!!」
「え? か…母さん?!」
あ~母さんね…
「なに?!」
ソファーから飛び起きた。
美魔女(?)が玄関に現れた。
「なんね? 友達がおると?」
「いや…友達っていうか…」
「俺が今受け持ってる作家先生…」
「ええ! なんでそれをはよ言わんとね!!」
「新之助がいつもお世話になってますぅ」
「あ~いや…俺の方が御世話になってるっていうか…」
見た目20代後半くらいにしか見えないが、
奴の? お母さん?
「随分お若いんですね」
引きつった笑みで聞いてみた。
「あら?! 先生お上手!!」
やばい、これは美咲と同じタイプだ。
「えと…お姉さんの間違いじゃないですよね?」
「正真正銘、新之助の母ですぅ」
奴が辛そうな表情を浮かべる。
それから新之助・母のマシンガントークが小一時間続いた。
「へぇ、じゃ夢さんが19の時に?」
「そう!! 切迫早産で大変やったと!」
「しかもこの子の父親がろくでもない男でねぇ!」
俺と夢さんがビールを飲みながら話す間、奴はキッチンで黙々とつまみを作っている。
「すげぇじゃん! こんな若い母ちゃんいるって!!」
キッチンの奴は険しい表情だ。
「あら! 秀ちゃんもお母さんは『母ちゃん』呼び?」
「あ~そうっすねぇ」
「新之助もそうなのよ!」
その言葉に、顔を赤くした奴が。
「やめろよ!」
「なんでよ!『クレヨ○しんちゃん』みたいでええやない!」
だめだ!!おもしれぇ!!
夢さんはすっかり出来上がってソファで眠っている。
「良い母ちゃんじゃん」
「それにしても若すぎてビビったけどな」
奴は夢さんに毛布を掛けながら、
「おかしいかよ?」
「いや? ただ羨ましいだけだ」
「俺もこんな母ちゃん欲しかったよ…」
奴が俯きながら、
「悪い…」
「なんで謝んだよ?」
「…」
「一週間ほどおるからね」
翌朝、夢さんの言葉に呆然とした。




