「プロローグ」
真っ白な光が画面を満たし、どこか人工的な清潔さを感じさせる音楽が流れ始める。
〈女性の声〉
「アルマ:テックは、あなたの魂の健康を守ります。」
柔らかな声が響くと同時に、青空の下を子どもたちが笑いながら走り回る映像が流れた。
子どもの胸元には鼓動に合わせるように青く点滅する装置がある。
母親がしゃがみ込み、子供の装置を優しく撫でた。
〈女性の声〉
「魂の変質が日常となった現在。異能の暴走は、誰にでも起こりうる問題です。」
画面が切り替わった。
会社員が異能で書類を浮かし運ぶ。
光の粒子が舞い、周囲の人々が微笑む。
〈女性の声〉
「アルマレギュレータは、魂の負荷を抑え、あなたの毎日を安全・安心に支えます。」
映像は少し古さを感じるものに切り替わる。
爆発が起こり、閃光が強調され、周囲の建物が崩れ落ちる。
〈女性の声〉」
「皆さんもご存じの通り、20年前の“テロ事件”。世界が混乱したあの日、最前線で人々を守ったのも、アルマ:テックでした。」
わざとらしい白黒映像がフェードアウトし、再び明るい街並みへ戻る。
街の電光掲示板には「クリーンエネルギー供給率:99.8%」という文字が流れていた。
映像を追っていくと、巨大な炉のような機械が一瞬映る。
〈女性の声〉
「今では、世界の人々の90%がアルマ製レギュレーターを使用しています。」
人々が互いに支えあい笑いあいながら歩く映像が流れる。
「あなたの暮らしを、もっと安全に。もっと快適に。」
画面がゆっくり暗転し、ロゴが浮かび上がる――
ALMA:TECH
〈女性の声〉
「“魂の未来とクリーンエネルギーは、皆様の献身によって創られていきます。これからも変わらぬ慈愛を世界へ”」
今から20年前、世界は突如変わった。
魂の研究を行っていた第一線企業、『ALMA:TECH』
実験中、研究員によるテロがあり、この世の魂の最深層である、魂基底層に揺らぎが発生。
魂波の乱れによる魂の変質が始まり、異能を使える人間が現れた。
瞬く間に世界に異能者が溢れ、魂の変質による過負荷で異能が暴走。
暴走した異能者が、街のいたるところで暴れまわり、世界は一時大混乱に。
混乱を止めるべく、アルマ:テックは魂の波長の乱れを安定化させる『アルマレギュレーター』を開発。
法整備も早急に行われ、混乱は沈静化。
世界に普及したアルマレギュレーターのおかげで救世主として讃えられ、一大企業の座を築いた。
さらには、魂基底層の乱れは人間だけでなく、自然の動物たちの魂にも変質を起こした。
人と違って動物たちは魂の知覚が出来ない為に、発生例は少ないものの、制御不能の異能暴走生物『魂獣』となって甚大な被害を巻き起こした。
現在は、異能犯罪や魂獣災害を異能災害として、アルマ:テック傘下の民間軍事会社(PMC)が鎮圧する形が出来上がっている。
これはそんな世界で巻き起こる、大きな物語の小さな始まり。




