3. 謎の白い光
皇宮の庭はとても広く、今日は天気がいいということで侍女達と共に散歩に行くことになりました。勿論抱き上げられています、残念なことに。自分の足で歩きたいですが、それでは散歩どころか転んで即部屋に連れ戻されるだけです。部屋にいるのは嫌いでは無いですけど、たまにはこうして外に出たいですね。美味しい空気を吸うのはとても気持ちいいです。
侍女の腕に抱かれながらゆっくりと庭を眺めていると、ふと視界の端に何かが映った気がしました。
白い影…?
あれ、消えた。気のせいだったのでしょうか…?
「ここなら日に焼ける心配はないですね。」
私を抱いている侍女がそう伝えると、他の人と者達はすぐさま草の上にシートを敷きました。先程の草むらをもう一度見るが、何もありません。やはり気のせいかもしれません。
準備を終えると、私は優しくシートの上に座らされました。まるで絨毯の上に座っている心地です。このシートは優秀ですね。ここでお茶でもするのでしょうか?そういえば後ろについてきた一人の侍女の手にはカゴがありました。きっとその中にはおやつが入っているのでしょう。と言っても、歯も生え揃えていないのでミルクや離乳食のようなものでしょうけど。でも、皇宮のシェフが作ってくださる離乳食はとても美味しいんです。まあ、可愛いお花が木の下に咲いていますね。
「ふふ、皇女様はお花がお好きですか?」
花はとても綺麗ですので、こうやって見ると心が癒されるんです。…なんて、まともにまだ話せないので伝えられるわけもないので、小さく頷きました。するとなぜでしょう、侍女達が心臓を抑えたり頭を抱えたり、片手をおでこに添えて空を見あげます。
「ああ、なんて可愛らしいのでしょうっ」
「まるで天使ですわ。いいえ、天使の遣いに違いありません!」
「皇女様にお仕えできて、幸せな人生です…」
何やら色々と口にしていますが、離乳食が美味しくてあまり聞いていませんでした。天使、という単語がたまに聞こえてきますが、御伽噺の話でもしているのでしょうか?今ここで読み聞かせされると寝ちゃいますので、それはやめてもらいたいですね…
そういえば今日は珍しくエドリック様達が来ていません。でももう6歳と4歳なので、きっと授業や稽古で忙しいのでしょう。この頃は更に授業が増えたと聞きましたし暫くは来れないでしょう。
そのまま私のことに飽きて興ざめするのが目に見えます。それでいいんです。最初から期待なんかしていません。前世は期待など抱いていたからあんな辛い思いをしました。もう二度と同じ過ちは犯しません。期待も愛も、王族貴族である限り求めてはならないんです。辛くなるのは私だけ。自分のためにも、きっと何も求めてはいけない。
そう…そうですよ。寂しいなど有り得ません。私は最初から期待なんてしてませんので、1人でも平気です。この国で第一皇女である私が1人で生きていくためには…修道院?いえ、それですと皇家に恥をかかせてしまいます。彼らに恨みはありません。それでしたら、病弱と称して部屋にとじこもる?それもはた迷惑な話ですね。一人で生きているとは言えません。
…………他国との政略結婚
いえ、一人で生きていくのなら庶民がいいです。自分で住む家を探して、料理も家事もこなし働きながら毎日を過ごす。とても、いい考えかもしれません…!
ですが皇女という身分がある以上そうは行きません。なんとかしてこの身分から解放されたいのですが……
_____何で皇女は嫌なの?
「!」
誰…ですか?
_____あはは!こっちだよ~さっき見えてたでしょぉ?
まるで私の心を読んでいるかのような返事でした。いえ、そんなわけ…幻聴でしょうか?
_____違うしー!幻聴じゃない~僕はここだよぉ
ここって言われましても何も見えーー
「ルティー!」
「!」
「遅くなってごめんね。ここでお茶してるって聞いて来たんだ。セヌアももうすぐ来るからね!」
_____ちぇ、仕方ないなぁ。また遊びに来るね~
エドリック様が来ると謎の声はそのまま消え、結局正体は分からないままでした。
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