エピソード33 結び目の死
結び目の死は
葬送のずれとして現れた
ついに
自分自身を支えるのをやめたもののずれ
埃が広間を低く走った
上へではなく
輪を描くように
この部屋そのものが 最後の息を吐いたみたいに
メラは もうセイガが示した通路へ向かっていた
速く
だが慌てずに
石がどこでよりゆっくり死ぬのか よく知っている者みたいに
ランは無言でその後を追う
レルタだけが もう一度だけ中心を振り返り
それから上へ向かった
ケルトが乾いた喉を鳴らす
- 生きてる者は行く
- 死んだものは 死んだものに残る
ランゼは退路を守っていた
盾を石板に押し当て
リオルはその近く
足がまだ完全には言うことをきかないからだ
セイガは光の糸を継ぎ目へ流す
松明みたいにではなく
まだ嘘をついていない最後の線として
ショーンゴは すぐには動かなかった
見ていたのは中心だ
暗い球はもう脈打たない
学ばない
見返してもこない
ただ内側へ 内側へ崩れていく
ゆっくりと
正しさそのものが 層になって死んでいくみたいに
だがセヴランだけは
まだ砕けた台座のそばにいた
片膝をつき
割れた石へ手を置き
顔からはあの均一な静けさが落ちていた
まるで結び目と一緒に
借り物の確かさまで剥がれたみたいに
- 離れろ
ショーンゴが言う
セヴランは振り向かない
- お前たちは何も勝ち取っていない
掠れた声で言う
- 心臓を引きちぎっただけだ
- 体のほうは まだ落ちている
- なら一緒に落ちろ
ランゼが乾いた声で返す
セヴランは突然 短く笑った
大きくはない
乾いた笑いだった
- 見えていないのか
- 全員は出られない
上の輪から メラが鋭く振り向く
- セヴラン
- 中心から離れて
セヴランはゆっくりと顔を上げる
その目は 初めて人のものだった
記録のものではなく
- お前も知ってるだろ
- 支えを失った俺は
もう上へは行かない
そこに英雄らしさはなかった
だからこそ もっと悪かった
リオルが低く言う
- もう決めてる
セイガは光の糸をさらに張る
前の通路は まだ生きている
だが震えていた
残された時間のほうが
望みより短いのだと分かる震え方だった
- ショーンゴ
セイガが投げる
- もう少しで
この部屋が自分で道を折りたたむ
ショーンゴは通路へではなく
中心へ一歩出た
ランゼが鋭く言う
- どこへ行く
- 仕留める
ショーンゴが返す
嘘ではなかった
核そのものは死にかけていた
だが結び目は まだ壁に残っていた
板に
継ぎ目に
この部屋の幾何そのものに
このまま残せば
よみがえりはしない
だが 周りのすべてを道連れにすることはできた
ショーンゴは半輪だけ下へ降りる
もう塩の匂いはない
あるのは 死んだ石の匂いだけだ
足元で 細い銀の線が乾いた音を立てる
切れた脈の一つだ
その瞬間
死にかけの核が 最後に応えた
規則が動いた
だが これまでと同じではない
渇きでもない
重さでもない
一歩でもない
他人の顔でもない
今 この部屋が奪おうとしたのは
支えそのものだった
輪の石板が一斉に高さを失う
一つの輪は沈み
次の輪は横へずれる
黒い板はまとめてではなく
一枚ずつ 傾きはじめる
重く
機構の歯を一本ずつ抜かれていくみたいに
それを最初に感じたのはランゼだった
盾が突然 重くなる
他人のものとしてではなく
本当に
そのせいで 腕が落ちそうになる
リオルは短く熱を肩へ送る
ぎりぎりの量で
腕がそのまま折れないようにするだけ
それでも十分だった
セイガは糸を辛うじて保つ
その下の通路が 二度も向きを変える
まるで誰を導くべきか
もうどうでもよくなったみたいに
ミロスは中心のすぐそばの影から現れる
下からではなく
横から
結び目の死と一緒に
影の深さまで浅くなったみたいに
- 球を打つな
低く言う
- 配線を断て
- まだ部屋を支えてる
ショーンゴにはもう見えていた
目ではなく
リズムで
暗い球は死んでいる
だが四本の線だけが
死後の痙攣みたいにまだ石板へ噛みついている
この部屋を引きずり落としているのは そいつらだった
セヴランもそれを見ていた
そして最も近い線へ飛ぶ
皆を救うためではない
何か一つでも
この仕組みの破片でも
原理でも
自分の奉仕の意味でも
残すために
ショーンゴは押さなかった
切りもしなかった
ただ セヴランの進路を半歩だけずらした
ちょうど彼の足が
割れている石板の端に乗るように
石が沈む
体が横へ傾く
指先は 線に指一本ぶん届かない
それで十分だった
ランゼはすぐに見た
殴らない
押しもしない
ただ盾を セヴランと中心のあいだの石板へ突き立てる
そこから乾いた亀裂が走り
波のように台座まで抜ける
- これで終わりだ
ランゼが吠える
- もう後戻りはない
セヴランは盾の縁へ掌を打ちつける
だがそこにもう 技も
均一さもない
あるのは 遅れだけだった
リオルはもう一度ランゼを支える
今度は自分が倒れかける
手の熱は煙みたいに薄くなっていた
上からメラが鋭く叫ぶ
- ショーンゴ
- 仕留めるなら今
セイガはすでに
四本のうち一本を光で縫っていた
真上からではなく
継ぎ目の下へ
石板に噛みついている場所を露出させるために
ミロスは二本目を落とした
もう深さを失っていた線を
ショーンゴは三つ目の動きを与える
圧ではない
境でもない
道筋のずらしでもない
最後に残った一本から
中心である権利そのものを剥がした
短く
硬く
決定的に
微かな代価は 激しく返った
右腕は 一瞬 真っ白な痛みそのものになる
心臓は一拍 深く落ち
広間は一呼吸ぶんだけ空虚へ退く
自分のほうが 半分ほど
もうここから消されかけているみたいに
それでも動きは通っていた
四本の線
四つの断絶
一つの死んだ中心
そして町の地下の局所的な結び目は
ついに持ちこたえられなくなった
閃光はない
派手な最後の咆哮もない
あったのは 意味の崩落だった
黒い板は輪になって内側へ倒れ込み
表の式は 石へぶつかる前に消え
台座は乾いた音とともに下へ折れ
暗い球そのものは
銀の脈の欠片を混ぜた濃い黒い塵になって崩れた
あまりに長く
生き物のふりをしていた機構が
最後に砕けただけみたいに
セヴランは止まった
諦めたからではない
もう見えたからだ
これは終わりだと
隠れる余地も
書き直す余地もない終わりだと
その瞬間 はっきりした
局所的な結び目はもう無い
弱ったのでも
止まったのでも
潜ったのでもない
死んだ
同じ形へ戻る可能性を 一つも残さずに
地上の町は それにすぐ応えた
恐怖でも
痛みでもない
自分の中から 他人の手が消えた
その不在として
井戸のそばで 人々は一斉に息を吸った
それまでは 途切れ途切れにしか呼吸していなかったのだと
今になって分かったみたいに
大男は 石の縁へ自分の力で寄りかかり
女は もう普通に立てていた
小さな男の子は 母から目を逸らさない
桶の水は静かだった
波一つなく
まるで地下の底から
ようやく誰かの手が離れたみたいに
デランは拳を開く
掌の硬貨は もう完全に止まっていた
それはどんな兆しよりも怖く
同時にどんな兆しよりも良かった
リズムそのものが終わった証だったからだ
- 終わった
低く言う
- もう 誰も引っ張ってない
赤い髪の女は彼を見て
次に倉庫の方を見た
そこでやっと 信じることを自分に許した
だが地下では
まだ全員が信じられたわけではなかった
この部屋そのものが まだ落ちていたからだ
メラは彼らを通路へ急かす
もう守り手としてではない
出口を知る者として
自分の仕組みの墓で死にたくない一人の人間として
ランは黙ってその後ろへつき
レルタだけが最後にセヴランを見た
- 来るの
セヴランは答えない
死んだ塵の中で 片膝をついたまま
中心と一緒に
自分の最後の支えまで引き抜かれたみたいに見えた
ケルトが乾いた声で言う
- 放っておけ
- もうあいつは ここ側だ
ショーンゴはセヴランを一拍だけ見た
それから背を向ける
- 上へ
今度は誰も逆らわない
セイガがまだ生きている継ぎ目へ光を走らせる
ランゼは中央を押さえる
リオルはランゼとケルトのあいだを守る
ミロスは後ろではなく
横の影を進む
崩落のほうも
まだ彼をどう書き落とせばいいのか決めかねているみたいに
その背後で
最後のずれが来た
重く
鈍く
葬送みたいに
新しい敵ではない
新しい階層でも
新しい房でもない
死んだ地下機構が
ついに完全に落ちる音だった
そして通路が彼らを上へ導くにつれ
もう分かった
二度とここへは戻らない
戻るべき場所そのものが
もうどこにも残っていないからだ




