幽閉/尋問
ーー教会
【教皇】【女教皇】【皇帝】【女帝】の4人が創立した、悪魔や魔神を敵と教える教団組織。
それは国の発展の歴史に深く根付いており、国が争いあれば駆けつけ人々を守り。“国のため”生まれ育った地を愛し、そのために殉ずる者達。
事実、帝国創立から数100年“魔神領”からの侵攻を防ぎ続けている。
そんな“教会”の総本山の地下に、捕えられた【魔神七将】が幽閉されていた。
「貴方……意外とタフなんだね」
『あ?うるせえぞ。今考えごとしてんだ、集中させてくれ』
その部屋を一言で表すなら、“何もない”が妥当であろう。
どこにでも売られている木で出来た簡素な椅子に始まり、同じく木材で作られた机と地面に藁の敷物が敷いてあるだけ。
『節制』を倒した人物であるはずなのに、その体には拘束の一つもされてはいない。
捕えれた事による油断?全ての『宝具』を没収した事で、戦えないと判断した?
ーー断じて否。
教会も、国も、ハルトと言う脅威に最大限の警戒を敷いている。
故に、あえて拘束しない事が彼にとって一番の枷となる。
ハルトの目の前で監視しているのは、異世界の勇者の1人である、渡辺愛莉。21しかない権能を持ってる1人。
【運命の輪】
生者の運命を、辿った歴史を改竄する。
過去一度も観測されなかった、守征二十一柱の一翼を担う者。
そして、ハルトがいる牢屋の一つ上の階には、『剣聖』フラベル。
ここではない別の異世界にて、【魔王】と呼ばれる存在を撃ち倒した、生きる英雄。
どちらか1人でも、国を相手に出来る“規格外”な存在。
「ねぇ……」
その片割れ【運命の輪】に選ばれた少女は、目の前の仮面を被った男に話しかける。
「どうして『剣聖』のフラベルさんや、『勝利』のヘルメさんを殺さず、私達“勇者”ばかり狙ったの?」
『はっ、んな事言ったってよ。燃費が良いからとしか言いようがねぇよ』
「ーーそんな理由で?」
『あぁそうだそんな理由でだ。そうだな、オレは今結構機嫌が良いんでな、この際だオレがやろうとしてる事を言ってや』
「ーーもう良い。もう良いよ、晴翔」
顔を上げて、見た彼女の顔は今にも泣きそうで答えを求めて迷ってる、幼い子供のようだった。
「アレから、私達が別れてもう2年も経ってるんだよ?貴方は何を見てしまったの?どうして……私は晴翔君を傷付けなきゃいけないの?」
気づけば彼女は椅子から立ち上がって、オレの前に格子の向こうで膝をついて、涙を流しながらこちらを見ていた。
「ーー私、強くなったよ?晴翔君がいなくなって、寂しいけど、それでも頑張って能力だって、守征二十一柱って呼ばれる凄い能力にだってなった。今なら!!」
「ーー晴翔と一緒に私……戦えるよ……?」
『ーーオレの計画には、“魂”がいるんだ。それも、ただの“魂”なんかじゃない。燦爛輝く、屈強な“魂”が』
「ねぇ……何で?どうして、駄目なの?」
『オレの権能は『死神』だ。そしてオレは、一度蘇ってる』
「ーー分かんないよ。何で、どうして、そこまでやろうとしてるのか」
『ーーあげれるヒントはここまでだ。』
【運命の輪】の欠点。自らを能力の対象に出来無い。
「ーーごめん愛莉。俺とはここでお別れだ」
自分の真後ろに瞬間移動したハルトによって、愛莉の意識は容易く刈り取られた。
意識を失い、力無く倒れてる。殺すなら今、普段の自分ならそうしてる。
もし本当の顔があったら、今頃酷い顔なのだろう。
『ーーアンタの敗因は、オレに時間を与え過ぎたこと。あんだけ時間があれば、単発型【短距離転移魔術】程度組めるさ。まぁかなりギリギリだったけどな』
背後は、振り返らない。振り返れない。振り返ったらまた、手を……取ってしまいそうだったから。
『さて……ここまでは計画通り。最後の大一番と行きますか』
目指すは聖女が肌身離さず持ってる『世界』の断片。
『ーー行くか』




