表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生審査課 ―死後の市役所で、仮職員になりました―  作者: 寿 明結未(ことぶき・あゆみ)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/34

第34話(閑話)影は蠢く

 ――???Side――


「室井は査定を受けたか」

「バレないようにとあれ程いっておいたのにな」

「いや、本来なら謎として消えるだけの問題だった。……坂本チームか」

「誰が行った?」

「谷崎と……あの小僧だ」

「ああ……例の」


 そんな会話をしながら、幾つもある会議室を借りて俺達は酒を持ち出し話し合う。

 酒を飲んでも、所詮は酔えない体だ。

 それでも、多少なりと気持ちが楽になるためには、気分で酒を飲むしかない。


「中島だったか?」

「今は中野らしい」

「ああ、忌々しい。元々、俺達のような死に方をしていないくせに居座るなど」

「全くだ……目障りで何度刺したかわからない」


 苛立ちを押し殺すような声が漏れる。


「なのにアイツは、血だらけの姿で仕事をする」

「俺達への当てつけだ!」

「落ち着け……今はどこに居る?」

「異世界安置所だ」


 ――異世界安置所。

 市役所から異世界へ送り出され、死んで戻ってくる場所。

 それが異世界安置所だ。

 そこで〝奴ら〟の査定を受けて地獄、はたまた輪廻転生を受ける。

 ああ、忌々しい。

 あいつら諸共、消えてくれればいいのに……。


「なぜ、上の連中は奴らの存在を了承したんだ」

「全くだ。奴らこそ我らの最もたる忌々しい存在にしかならないのに」

「それだけじゃない。半年後……本当に市役所職員として仕事が出来ているのかどうか、定期的にだが――」

「ああ……それもあったな」

「名を書けぬものは消え去る……。俺は消えるだろうな」

「ははは、お前は既に八人の魂を冒涜したからな」

「冒涜されるような奴らだ。正しいのは私たちだろう?」


 ――異世界転生審査課にいつつ〝異世界転生反対派閥〟である俺達は、酒をぐいっと飲んで溜め息を吐く。

 せめて、中野とあの安置所二人を苦しめてから消えてやりたい所だ。


「だが、どうする?」

「今後は動きにくくなる……」

「魂を弄る時間はないな……」

「今後は二人バディで魂を送る作業だからな……。一人でいいといっても、規約上それは許されないだろう」

「かと言って、反対派閥でチームを組めば、あっという間に見つかる可能性もある」

「今のチームに、二組ずつ……それが妥当か?」

「だが、やりすぎればまた問題になる」

「全くもって動きにくい……室井はやりすぎたな」


 魂IDの改竄と聞いた時は皆が歓喜に湧いたが、今となってはそれがきっかけで締め付けが厳しくなった。

 ああ、なんて面倒臭い……。


「坂本チームは優秀人材が多い」

「こちらにしてみれば忌々しいだけだが」

「取り敢えず、今まで弄っておいた転生していった人間共の魂がどうなって還ってくるか。それだけが少し溜飲が下がるネタだな」


 今まで撒いた種が、どんな形で『異世界安置所』に運び込まれるのか。

 それだけでまだ皆の顔は明るい。


「だが、何時までも異世界安置所に居るわけではないだろう?」

「中野か? さてな……少なくとも半年はでてこないだろうな」

「別の課が中野を気に掛けるとは思わなかった……くそっ!」

「なに、まだ安置所なら我々も動きやすい。警備課と仲良くなったらことだが」

「やめろ、本当に警備課と中野が手を組んだらと思うだけでゾッとするわ」

「不正がバレないように、我々も今まで以上に神経を使おう……」


 そう話し合い、俺達は何もなかったかのように酒の入った缶を捨て、各自マンションに帰る。

 半年――中野は異世界転生審査課には居ない。

 それだけで俺達の胸のざわめきは落ち着くはずだ。

 だが……安置所に三人が集まっているとなると……。


「いっそ、奴ら全員の魂を消せるか、試すか?」


 だが、それをするには余りにもリスクが有る。

 下手に動く輩がいなければいいが。


 あの三人の存在が疎ましく妬ましい。

 さて、今後どうしてやろうか。

 怒りで目を血走らせながら、私は暗い部屋へと消えていった――。

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ