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俺と異世界とチャットアプリ  作者: 山田 武
【強者の権利】面倒事対処 その05【最下の義務】

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スレ64 タダより高いモノはない

だいたい一ヶ月経ちましたので更新です



 あれから数日後、アウェイオン学園に日常が戻ってきた。

 俺たちXクラスもそう、キンギル先生のありがたい授業を受ける日々となっている。


「──今日の授業はこれまで。各自、宿題をやってくるように」


 終了のチャイムを魔道具が鳴らし、先生は教室から出ていく。


 うーんと腕を伸ばし、凝り固まった体を解していく……凝っているとベストなコンディションにならないからな。


「なあアサマサ、いっしょに飯でも食いにいかねぇか?」


「ブラストの奢りで、サーシャ様が了承したならそれでも構わないぞ」


「チッ、お前が奢るからこその序列特典じゃねぇかよ。どうせ安くなるんだし、大人しく奢れよ!」


「やだよ。俺だって本当は図書館で資料を漁りたいんだ、分かってんなら訊くなよ」


 仕方ない、と思い“虚無庫(ストレージ)”から適当に料理をいくつか見繕う。


「ほらっ、試作品でいいなら食べていいからさ。今度感想教えてくれ」


「さすが親友! いやー、持つべきものは序列十位で料理上手な従者様だな! 俺もアサマサみたいな従者が欲しいぜ!」


[あげない]


 授業についてフェルナスたちと話していたサーシャが戻ってくる。

 ご主人様ポジションを演じてくれていることについて、たしかに俺は感謝している。


[アサマサ、みんなで食べに行く]


「えっ? けど、例の資料がそろそろ──」


[行く]


「あっ、うん……はい」


 そこまで無理を通さなくてもいいと思う。

 まあ、“虚無偶像(アバター)”が別の所で仕事をしてくれているし、一体追加で派遣すればどうにでもなるわけだが。


「よっしゃ! さすがサーシャ、話が分かる友達って助かるぜ!」


[気にしない、クラスメイトだから]


「そうそう。まったく、それに比べてアサマサときたらつれない奴だ……ハァ、もっとご主人様っぽくなれよな」


「はいはい悪かったよ、つきあいが悪くて」


 ハルカに召喚に関する資料を送ってもらったのだが、たしかにハッピーエンドで変えれるような方法ではなかった。


 一度召喚に関する資料を掻き集め、それらの情報を送ろうとしていたのが……つい先日以降、俺がやってきていたことだ。


 だがどうやら、そろそろ学園ものらしく誰かと買い食いをやってみることに……従者である、俺の金で。







 食堂以外にも、学術都市であるこの街には当然食事をする場所がある。

 学生は割引が効くし、もともと安価な品が多い……まあ、子供の味方なわけだ。


「これも異世界人の影響か?」


 最近オープンしたという、Mがシンボルとして飾られた店に行くことになった。

 食べられる物は当然ハンバーガー、少し懐かしい気分になる。


「これが異世界の食べ物かよ!」「手で持てる、携帯食料の一種かしら?」「ふん、問題は味だろう」「……ん」


 そしてなぜか、これまでXクラスで共に勉学に励んだ全員がこの場に居る。


 あのさ、払うの俺なんだからね……どうして全員、セットのサイドメニューをLサイズで頼んでいるのかしら?


[どうしたの?]


「いや、なんでもない……そっちの兄妹まで来るとは思わなくてさ」


「別に構わないだろう。これはアサマサの奢り、序列十位様のご厚意を受けただけだ」

「……美味しい」


「まあ、いいけどさ」


 奢り、と言っても序列入りすると本当にありがたーいサービスを受けられる。


 一定額以下の飯がタダ! それ以上の額でも必ず割引!

 どこのVIP会員だよ、とついツッコミを入れたくなるほどの優遇ぶり。


 また、この広い学術都市の中でたった十人しかいないという高い地位。

 金に困らない貴族の方々も、序列目指してあの手この手使うのも納得だ。


「けど、序列って言われてもあんまりしっくりこないんだよな」


「おっ、強者の自慢話か?」


「そうじゃなくて。ほら、俺ってレイル以外のヤツを知らないし……というか、そもそもなんで序列なんて制度があるんだ?」


「うわっ、そこからかよ……」


 なぜか物凄く引いた表情をするブラスト。

 いやいや、そこまでされる筋合いはないと思うんだが。


 するとコホンと咳払いをしたアルムが、こちらを見て語りだす。


「俺が説明してやろう。序列というのは、学園長が決めた制度だ。目標を提示し、切磋琢磨することを狙ったんだな」


「ああ、そういうことか。それでわざと優遇して、生徒を釣っているのか」


「違うぞアサマサ、生徒だけではない。この学術都市に住まう者の中で、優れた九人……いや、十人が序列と呼ばれるのだ」


 へー、生徒だけじゃなかったのか。

 それってもう、変動しづらいよな。


「考えている通りだ。学園長は始めから参加していないが、他の教職員などはその制度に組み込まれている。実際、ある教師がその枠に居るからな」


「キンギル先生か?」


「いや、違う。あの人もそれなりに優れていはいる。だが、一分野で無ければ序列に入るのは難しいだろう」


 ああ、暗殺系(アレ)のことですね。

 たしかにサーシャが気づいていたし、完全なレベルではないのだろう。


 たぶんリホだったら、サーシャが気づかぬ間に俺の首を斬るぐらいできただろうし。


「まあ、気をつけることだな。そろそろ準備期間も終了し、アサマサを引き摺り落そうとする者が現れる」


「……えっ?」


「これも知らなかったのか。序列入りをしてから一週間が経てば、その者に対戦を申し込むことができる。初めの月だけは、一日一回それを受けなければならない……つまり、毎日勝利せねば座から降りることになる」




 拝啓、地球の皆様。

 どうやら学園物は、とても激しいバトル物だったようです。



次回更新はほぼ一か月後の予定です

皆さんの応援で……的な?

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