02.始まりはユーザー掲示板
いつものように魔王を倒してゲームをクリアし、
神様から報酬を貰うとはじまりの街へと送還された。
ひなた「報酬ゲット~♪」
ゲームクリア報酬として神様から貰った、
眩い光を放つ剣身の双剣を上機嫌に眺める。
ひなた(さて、と…何しようかな)
双剣を腰の鞘に収めると、青い半透明のウィンドウ画面を開き、
ステータスなどのメニュー画面を上から見ていく。
ひなた(そういえばここ最近、
ずっとユーザー掲示板見てなかったなぁ…。
たまには確認しようかな)
ふとそう思って、メニュー画面の『ユーザー掲示板』を開く。
235:名無しの魔法使い
【求】水晶の森のパーティーメンバー
前衛2、後衛1、支援1。アイテム公平分配。
→返信(5)
271:魅惑のダンサー
恋人募集中で~す!
LV50以上のイケメンお兄さん。セクシーなお姉さんと遊ばない?
→返信(1)
286:迷子
やばい…帰れんくなった…誰かへルプ。
現在、オスティアダンジョン42階層。
手持ちのドロップアイテム譲るから、誰か助けに来てくれ…
→返信(10)
…
ひなた(みんな色々してるなぁ~…)
画面をスクロールし、
そうしてのんびりユーザー掲示板を眺めていると、
ふと…気になる投稿内容を見つけた。
490:アラタ
【悲報】何度も死にまくる
こっちの異世界に転生してから、
何をしてもしなくてもめちゃくちゃ死にまくる…。
もう数えるの嫌になったから細かい回数とか覚えてないけど、
100や200って数じゃないくらいに死んでる…マジ。
なんで俺、こんなに死ぬんだよ…
もう死に戻りしたくない…
誰か助けて…
→返信(0)
…
ひなた(…『死に戻り』?この世界って現実と同じで、
死ぬと終わりだったと思うけどな…。
なんでこの人だけ死に戻りなんてしてるんだろう…。
それに、やっぱりみんな怪しんでるのか…
誰も返信してないな)
そんなことを思っていると、その掲示板を眺めているそばから、
そのアラタって人へ返信が集まり始めた。
→
re:名無し
死に戻り?なんだそれ?初めて聞いたんだけど。
→
re:名無し
ワロタwwww
面白い釣りネタだな、それwwww
…
ひなた(どこにでもいるよね~。こうやって煽る人)
そんなことを思って掲示板をただ眺めていると、
投稿主が返信をしてきた。
→
re:アラタ
釣り? は? なんで誰も信じないんだよ?!
俺、マジで何千何百回って死んでんだぞ!!!!
→
re:名無し
お前、頭おかしいんじゃないの?
→
re:名無し
まぁ、落ち着け。とりあえず病院行ってこい。
…
時間が経つにつれ、そうやってまともに取り合おうとしない
ユーザーが何十人と増えるばかりで、
誰も彼の投稿内容に真面目に返そうとはしなかった…。
ひなた(う~ん…私もそんな能力、聞いたことないもんなぁ…。
誰も信じられないってなるのも、まぁ、気持ちは分かるけど…)
小首を傾げ、考える。
そんな中、また新たな返信が…
→
re:名無し
まぁまぁ、みんな。可哀想だしさ、助けてやろうよ。
…俺はパスだけど。
ひなた(自分はやらんのかい!!この他力本願めっ!!)
と、その返信に思わず内心でツッコミを入れてしまった。
そこに、また新たな返信がつく。
→
re:名無し
あの、私…聖女なので、助けになれるかもしれません。
ひなた(聖女?)
すると、その聖女の返信に掲示板が一気に騒ぎ始めた。
→
re:名無し
聖女キタコレ!!マジで?!?!
→
re:名無し
さすが聖女様。オレ、今日から貴方の信者になります。
→
re:アラタ
え?…聖女…様?
疑いつつもアラタって投稿主が返信をする。
→
re:名無し
はい。聖女なので、呪いや闇魔法の解除も普段行っているんです。
なにかアラタさんのお力になれるかもしれませんし…。
→
re:名無し
聖女様、太っ腹~。よかったじゃん?投稿主さん
→
re:名無し
でもそいつ、本物なのか?
→
re:名無し
そうだな。ただの目立ちたがりとかなんじゃね?
段々と聖女の素性に疑いを向けるユーザーが増え始める。
→
re:名無し
ご存知ない方が多いようですね。
では、簡単に自己紹介を…。
私はアリシア・フォーレット。
聖都エルクレムの大聖堂にて聖女を日々務めています。
→
re:名無し
…はぁ?!マジ?!あのエルクレムのアリシア様?!?!
→
re:名無し
おぉ…本物の聖女様じゃん…
聖女アリシアの返信に、さらに掲示板が騒がしくなった。
ひなた(聖都エルクレムのアリシア…。
あ~…なんか聖都に立ち寄った時に聞いたような気も…。)
随分前の記憶をなんとか辿って思い出した。
そこに投稿主のアラタが返信をする。
→
re:アラタ
え?本物の聖女様?!マジでありがとうございます!!
じゃあ俺、どうしたらいいですか?
→
re:名無し
直接会って、アラタさんの状態を確かめてみないとなんとも…。
ここに待ち合わせませんか?
そして、とある街の聖堂の場所を一緒に記載していた。
→
re:アラタ
分かりました。俺、今すぐそこに向かいます。
その後、解決したと思ったのか、ユーザーたちからの返信も途絶え、
その掲示板は途端に静かになった。
…
ひなた(これで解決…かな?)
掲示板の落ち着いた様子を見て、自分もユーザー掲示板を閉じようと、
青い半透明のウィンドウ画面の角の×ボタンに指を向ける。
が…
ひなた(…。でも、ちょっと続き気になるなぁ…)
もう一度、聖女の示した2人の待ち合わせ場所の文章を見つめる。
ひなた(少し離れた場所で見るだけならいいよね?)
ユーザー掲示板を閉じ、その場で片手を振り、詠唱する。
ひなた「繋がりの扉・オープン!!」
足元に魔法陣が浮かび、青い光とともに転移魔法によって
その2人の待ち合わせ場所へと瞬時に移動した。




