第21話 ドラン、道連れだ
「なぁアデル、お前レオンの何なんだ?護衛か?魔法師団で見たことがある気がしたんだが。レオンは実は戦えたりするのか?あのヒール普通じゃないだろ。気を付けろよ。」
「あぁ。後で少し話をできるか?」
「あぁ、構わない。」
今までの対応からして、ドランはレオンを気に入っているし、弟分とでも思っていそうだ。乱暴者のドランの近くにいれば変な奴は寄りつかないかもしれない。ドランにはレオンが勇者であることを明かしておくか。
いつかはバレるにしても、まだ力が伴っていない時にバレるのは避けたい。
「お兄さん、それ何て武器?格好いいね〜」
「あぁ、これはロングソードだが、このガード部分の彫刻とグリップに巻きつけた革が格好いいだろ?」
「うん。めっちゃ格好いい!その青いの革なんだね〜」
「これはリザードマンの革だ。」
「へー、リザードマンって確か魔物だよね?お兄さんが倒したの?」
「あぁ、俺たちが倒した。それでグリップに革を巻きつけたんだ。」
「お兄さんたち強いんだね〜
格好いいね〜」
「お前も頑張れよ!」
「うん。頑張る〜、俺もいつかリザードマン倒せるようになったら剣のグリップ?その持つとこに巻きつけたい。真似していい?」
「あぁ、いいぞ。」
レオンはというと、楽しそうに冒険者の剣を眺めながら話をしていた。
街に着くと、冒険者たちはレオンに感謝を述べて何かあったら頼れとも言って手を握っていた。
「アデルー、ギルドに戻って怪我人がいたらまだヒールかける練習するね〜」
「あぁ、分かった。」
レオンとドランと共にギルドに戻ると、レオンは怪我人を探してはヒールをかけて回っていた。
「それでアデル、話とは何だ?」
「いつかはバレるだろうが、まだ周りには明かさないでほしいんだが・・・、レオンは俺が別の世界から召喚した勇者なんだ。」
「は?ゆ・・・」
ドランは叫びそうになって慌てて自分の口を押さえた。
「なるほど。」
「レオンはまだ魔法がまともに使えない。武器も持ったことがないし、レオンはまだ戦えない。虫も殺せないとか言っていたから、戦いに身を置く生活ではなかったんだろう。」
「そうか。」
「魔法がない世界だったらしくてな。今は魔道具すらまともに使えん。」
「あぁ、勇者だと知れたら変な奴らが戦いを挑んでくるかもしれんが、まだそれを返り討ちにできるような実力というか経験がないということか。なるほどな。」
「だから、周りにはまだレオンが勇者であることを明かさないでほしい。」
「分かった。しかし、レオンは随分目立っているが大丈夫か?」
「正直不味いかもしれん。とりあえずギルドには伝えておこうと思う。
それでギルド内で絡まれた時は対処してもらう。」
「それがいいな。何かあれば俺も力になろう。」
「助かる。」
ドランは気に入った人間に対しては悪い奴じゃないようだ。誰彼構わず暴力を振るったりするわけではないんだな。
人とは話してみないと分からないこともあるものだ。
「えー!!!マジ!?」
なんだ?レオンの叫び声が聞こえてドランと一緒に駆けつけると、何てことはなかった。
「猫人族?え〜!!その耳本物なの?すごーい。そして可愛い〜」
猫人族を前に興奮するレオンがいた。
何かと思ったが、大したことはなくホッと胸を撫で下ろした。
そして隣を見ると、ドランもホッとしている様子だった。やっぱりドランはレオンのことが気に入ってるんだな。
「おいレオン、何をしているんだ?」
「アデルー、猫人族なんているんだね〜、俺この世界に来てよかったよ〜」
「そうか。もう帰るぞ。」
「分かった〜、みんなまたね〜」
「レオン助かった、またな〜」
「おう、レオンまたな〜」
「レオンさんまたね〜」
「レオン、お礼に今度剣を教えてやるよ。」
「レオンまったね〜」
いつの間にかレオンはギルドで人気者になっていたらしい。
まぁ確かにポーションを買うのも高いしな。無料で治療してくれるなら助かるだろう。
「アデル、あの感じならレオンはギルドでは安全なんじゃないか?」
「・・・そうかもしれません。」
俺はレオンを連れて家に帰った。




