第111話 シュア奪還
新しい剣を買ったレオンと、それに付き合っていたドラン、服やアクセサリーを見に行っていたアリサとココと合流してワイバーンたちのところに戻った。
相変わらず次男は俺のシュアを囲い込んで独占している。
俺のシュアだ。いい加減返せ。
レオンに魔物を大量に出してもらうと、試し切りとか言ってレオンが新しく買った剣の切れ味を試していた。
やはりバルムンクには劣る性能らしい。ただ、とても頑丈でレオンが思いっきり振り回しても壊れたりしないそうだ。
今日も肉焼き職人の仕事をして、ポチとシュアには塩を控えたものを別に焼く。
ポチとシュアには水もたっぷりと用意してやった。
「レオン、ダンジョンは最下層まで潜るのか?」
「ん〜それはやめておく。ボス見つけるのも大変だし、下層に向かう階段見つけるのも大変だもん。ボスと戦えば連携の練習にはなるけど、あと2階か3階くらい潜ったらもういいかな〜」
最下層が何階なのか分からないが、深いダンジョンになると50を超えることもあると聞く。地図がないし最短距離で進めないとなると1階ずつに時間がかかる。だからレオンが最下層まで行くと言わなくてホッとした。
「アデル何それ、めっちゃ美味しそう」
俺がアイテムボックスから、アシュレイと食べたパンケーキを取り出すと、アリサが目を輝かせて近付いてきた。これ美味かったからとりあえず20人前追加で頼んでアイテムボックスに突っ込んでおいたんだ。
色々なフルーツが形を残したまま甘く煮てあって、パンケーキにそれをかけて食べるんだが、きっとアリサやココも好きだと思って買っておいたんだ。
シュアは……食べないか。オーガが甘いものを好むなど聞いたことがない。
「アシュレイお勧めの店のフルーツたっぷりパンケーキだ」
「私たちの分もあるの? ありがとう」
ココが紅茶を淹れてくれて、食後のデザートはパンケーキになった。
森の中なのに優雅な食卓だ。アイテムボックスがあるから食器も割れたりしないし、椅子は折り畳み式のものだが、クッションもあって寛げる。
そして俺は今日、とてもいいものを購入したんだ。
ジャジャーン! 大型テントだ!
「アデル、変な顔しながらテントを組み立てているのはちょっと気持ち悪いぞ」
「誰が気持ち悪いんだ、失礼な」
ドラン、お前は俺の何を知っているんだ。これは大きくなりすぎたシュアと一緒に寝るために買ったテントだ。お昼寝なら外でもいいんだが、夜は空の下の開放感より、自分だけの閉ざされた空間でゆっくりと邪魔されずに眠りたい。
最近昼間はずっと次男がシュアのことを囲っていて、召喚しっぱなしだ。
そしてダンジョンから戻ってきて肉を焼いているときも、次男はシュアを手放さない。
「シュア、今日は一緒に寝よう」
「トト、一緒に寝る」
「うん、おいで」
次男に睨まれた気がしたが、そんなことは知ったことじゃない。シュアは俺のだ。
シュアが次男の魔の手を逃れて俺の元までやってきた。胸毛は相変わらずモシャモシャしていて、発達した筋肉の弾力が最高だ。
「次男に虐められていないか?」
「うん。たまに背中に乗って飛んで楽しい」
「は? 飛んだのか? 大丈夫だったか?」
次男、俺の了承も得ずに勝手にシュアを乗せて飛ぶなど許さんぞ。
あいつの飛び方は異常なんだ。揺れを少なくして、背に乗せた者のことを考えて飛んでくれるなら乗ってもいいんだが、急上昇、急降下、宙返りや横回転などを入れてくるから、落ちないようにしがみついているのが大変だ。シュアを危険に晒すなど何を考えているんだ。
「落ちたら危ないから、これからは地上で遊ぶんだぞ」
「シュア落ちた」
「落ちたのか!?」
「落ちて、拾ってくれた。シュア強いから大丈夫」
オーガJr.の頃から比べて、かなり防御力や身体能力が上がっているとしても心配だ……
「危ないからやめなさい」
「うん。トト怒ってる? もうしないから怒らないで」
シュアがでかい体を丸めて指をモジモジしながら言った。
「大丈夫だ。怒っていないぞ。シュアは悪くない」
「うん……シュアのこと好き?」
「シュアのこと大好きだ」
「シュアもトト好き!」
俺のことをそっと胸に抱きしめて、頬を擦り付けてくる。シュアはブラッディオーガになっても甘えただな。少し言葉は流暢になったが、思考などは変わっていない。俺のことを癒してくれる大切な存在だ。
大型テントは、入り口が閉まらなかった。シュアの大きさを見誤ったらしい……
シュア、すまん……
店で一番大きいサイズを買ったんだが、シュアの脛の真ん中から下がテントの外にはみ出ている。次に買うときはサイズを測って特注で作ってもらうことにする。
閲覧ありがとうございます。




